くすり。
大きなものが、ひとつ。それを手に取った。
小さくて軽い、それは。僕の心の支え。
喚いて喚いて喚いて。頭がぱぁっとなっちゃって。
僕は遠くに行きたかった。もうここにはいたくなかった。
これは僕が遠くに行くための、小さな切符。
ひとつ、ふたつと握りしめ。
僕はそれと、一緒になる。
だけど。
たとえそれが小さなものから大きなものに変わっても。大きなものの数を増やしても。
僕は遠くには行けない。
代わりに残ったのは、悲しみと、痛み。
僕の心の薬。小さな毒。
それは体に痛みだけを残して、無情にも消えていったのだ。