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第6話 空色の少女

 僕とルシファーはようやくスタッカート村に着いた。

 木の小さな小屋が数個並んだだけのさびれた村だった。

「さてと、同じ依頼を受けている人は何処にいるかな?もう出発してたりして。」

「サテト、水色ノ髪ノ美少女ハ何処ニ居ルカナ?早ク会イタイナ。」

僕とルシファーは依頼を受けた冒険者を探す。ルシファーの目的は変わってしまったようだが。

 村の端っこでは畑を耕している人がいたり、あっちこっちで鶏を小屋で飼っているようだ。

「すみません。南の迷いの山脈に現れる魔物についてお聞きしたいのですが?」

僕は畑を耕す男に声をかけた。

「はぁ?畑を手伝いたい?なら、頼むよ。」

男は耳が遠かったみたいだ。

「違います。南の魔物についてお聞きしたいのですが?」

「そうか、なら畑を頼むよ。」

「違います!だから・・・」

「聞こえてるよ!バーロー!ここは素直に手伝うって言いやがれ!手伝わねぇなら帰れ!あぁ、仕事メンド癖―。」

男が怒鳴る。

 僕は茫然とした、徐々に腹が立ってきた。

 僕はいら立ちを隠しながら子供達に声をかけた。

「君達、南の迷いの山脈に現れる魔物について何か知っているかい?」

 子供たちは足を止めて僕を指差した。

「あぁ、魔物が来たぞぉ!石投げろぅ!」

 ガツン、ゴツン!!

子供たちはふざけて僕に石を投げつけてくる。そこそこ痛い。

「痛い、どうしよう、ルシファー・・・」

 僕は助けを求めるべく、顔を手で庇いながら、首を回してルシファーを探す。

「辺境ノ村ニ隠レタ女神様、私ト、ロマンチックな夜ヲ過ごシマセンカ?」

 早速村娘を口説いていました。

 

プッチン

何かが弾けた様な音がした気がした。


「フギャァァァ!む・か・つ・くー!!」

 僕は大声で喚いた。

 子供達は怯えて逃げ出したが、鈍くさい鼻たれ坊主一人だけが尻もちをついた。

 鼻たれ坊主は「うわぁーん!!」と盛大に泣きだした。

 僕がイライラ、イライラ、イライラしていると、どこからともなく、箒を手にしたおばちゃんが現れた。

「うちの子に何をするのよ!」

 おばちゃんが箒の先を僕に向かって振りおろす。

 僕はあわてて避けると、次から次へとありえない方向から箒を繰り出してくる。

 箒を避けている内に家の壁まで追い詰められてしまった。

「ちょっと、待って!その子供たちに石を投げられたんだってば!」

「嘘言うんじゃないよ!うちの子がそんな事するはずないでしょ!」

 異世界だろうとモンスターペアレントは存在するらしい。

 すると、にやにやこちらを見物していたルシファーが助け船をだしてくれた。

「スミマセン、奥サン。彼ハ私ノ仲間デス。誤解デスよ。」

 ルシファーはハンサムオーラでおばさんを照らした。

 おばさんは顔を赤らめルシファーを眺めるも、ルシファーはこっそりとそっぽを向いて、吐きそうな顔をした。

 おばさんが落ち着いたのを見て僕はおばさんに声をかける。

「そうです、僕達は南の迷いの山脈に住む魔物を倒しにきました。」

「そうかい、それは御苦労さま。ここまで来るのは大変だったでしょう?」

 おばさんは打って変わって穏やかな対応になった。

おばさんの相手も大変な事の一つでしたが・・・。


 僕達はようやく話がつきそうだった。

 しかし、それを邪魔するものがいた。

 いきなり殺気を感じて僕は横に転げた。

 その刹那、

ズドーンと爆発的な破壊音が響く。

 横を見ると、巨大なバスターソードが僕の横に小さいクレーターを作っていた。

 顔から血の気が退きまくる僕はバスターソードを握る人を見る。

 その髪と瞳は晴天の空の様な水色で、僕と同じ位の背をして、普通の女の子と同じぐらいの腕の太さだった。

 そんな女の子が自分の背に迫るほどの大きさのバスターソードを片手に一本ずつ軽々と持っている。

 女の子が視線をこちらに向ける。その瞳には一切の感情がうかがえない、とても冷たかった。

 彼女はその可愛らしい口を無表情で開く。

「お前がこの地を荒らす曲者か。」

「ち、違います!僕はここの村に来て5分も経っていません!」

 彼女の勘違いに僕は慌てる。

「嘘をつく必要は無い!この人相書き、お前にそっくりだ。」

 彼女はそう言い捨てて、一枚の紙を突き出す。

 その人相書きの人物は、僕と同じ黒真珠のような髪と瞳。

 その顔の肌は日本人みたいな肌色。

 目は二つ、鼻と口は一つだった。

 問題は、その人相書きはまるで、クレヨンで描いた子供のいたずら書きのようで、黒髪と黒い瞳の人間ならば、男も女も当てはまってしまう人相書きだった。

「・・・・・、あまり似ていませんよ・・・・・。」

 これで似ていたらちょっとショックだ。

「そんなはずは無い!この人相書きでは・・・・」

 彼女は改めて人相書きを確認した。

 すると彼女はしばらく黙った。

 彼女は少しだけ申し訳なさそうな顔をした。無表情なので分かりにくいが・・・。

「やっぱり、人違いだよね。その人相書き全然似ていないよ。」

 僕が笑いながら言うと彼女は答えた。

「・・・すまない、この人相書きはお前に違いないが、この村とは別件の人相書きだった。」

 痛恨の一撃!僕は二重にショックを受けた。

「この村の件は、・・・これだ。」

 彼女は漁った鞄から、一枚の人相書きを出した。

 それは人型の黒豚が描かれていた。

・・・僕とは黒以外の共通点が無い、というか人ですら無い。

「それで、お前に関しては・・・、えっと・・、何で私はお前の人相書きを持っているんだっけ?」

「僕に聞かないでよ!僕が聞きたいぐらいだ!」

 首をかしげる彼女に僕は不満をもらす。

 ふむ、と頷いて彼女は僕に問う。

「お前は何の目的でこの村に来たのか?」

 この村に来て初めて話がかみ合った。

「僕達は冒険者ギルドの依頼で、この村の南にある迷いの山脈に住む魔物を退治しに来た。」

 彼女は少し考え込んだような顔をした気がした。

「私も、この魔物に手を煩わせている。他者と協力してはならないという決まりは無いので、お前は私と協力しないか?」

 努力が実を結んだ。魔物退治は全く進んで無いけど。

「僕の名前は長谷川亘(はせがわわたる)。」

「私ノ名前ハ、ルシファーと申シマス。以後、御見知リ置キヲ、美シイお嬢サン。」

彼女は無表情な顔で僕とルシファーを見る。

ルシファーのハンサムオーラも彼女には効果が薄いようだ。

「・・・了解、私はキリ―だ。」

 彼女はバスターソードを肩に収めながら自己紹介した。

「・・・では、早速出発する。」

「へっ、もう日が暮れますよ?」

僕は驚く。

 夜になり、魔物が活発になっては非常に困る。

「魔物対策はあるのですか?」

僕の問いに彼女はコクンと頷く。

「私がいれば、ザコが千でも万であろうとも変わらない。」

 ・・・・、不安が増えました。

「・・・行くぞ。」

 彼女は東に向かって歩き出す。

「・・・・迷いの山脈は南ですよ、そっちは東。」

 彼女は立ち止り、南へ方向転換する。

「では、改めて、・・・行くぞ。」

 彼女は南へ真っすぐと進んだ。

 バキッ!!ドガッ!!

民家の壁にぶち当たるも、彼女は壁を蹴り破る。

 仲良く食卓を囲み、団欒を楽しんでいる家族の夕飯を足で踏みつけて先を進んだ。

 彼らは目をまん丸にして、口をポカーンと開けていた。

僕は慌てた。

「何をやっているの!?」

「何って、迷わないように、南へ真っすぐ進む。」

「民家は迂回すればいいじゃないか。」

「迂回する内に、自分では気がつかない内に道が逸れ、とんでもない所へ辿りついてしまう。山を目指しているのに、気が付くと何故か海や、砂漠とかにいるものだ。目の前に壁があるならば、それをぶち破って真っすぐ進む。そんな格言が有った様な、無い様な。」

 ・・・その格言、使い方が違う!人生で挫折しかけた時の格言で、本当に迷子になった時の格言では無い。もしかして、こんなに強いのに1カ月も依頼をこなせないのは方向音痴だから?・・・

 彼女はまた壁を蹴り破って外に出て、ルシファーも面白そうに後に続く。

 僕も外に出ようとして後ろから肩を掴まれた。

「お・ま・え・ら、何の家を荒らしとんじゃどりゃぁぁ!!」

 こちらのお家のお父様はどうやらお怒りのようです。

「御免なさい、さよならー。」

 僕は勇者の足を生かして、その場から逃げだした。


 無事に?水色の戦士の少女と合流した、勇者ワタルの御一行は南の迷いの山脈へ向かう。

 ここまで苦難の道のりであったが、彼らにさらなる試練が待ち受ける。

 まぁ、ここまでの道のりはスライム一匹だけだったが・・・。

 さぁて、謎の少女キリ―と怪しいハンサムのルシファーの正体はいかに!?

 次回で明らかになるか!?・・・・・・・・まだ無理かもしれません


もうすぐ夏休みも終わりで、学校が始まったらなかなか書けないと思います。

できるだけ書くつもりですが、更新できなかったらごめんなさい。

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