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第4話 猛者たちとの戦い

怪しげなハンサムのルシファーと旅をする事になった僕、まずは冒険者のギルトがあると聞いたのでそこに登録する事にした。ネットも新聞もないこの世界では、冒険者のギルトは情報が回る中心であり、魔王を倒す旅の仲間を探すのにも、この世界のどこかにある聖剣のうわさを聞くにも冒険者ギルトに所属する事がちょうどいいらしい。

 僕はフンフーンと鼻歌を歌いながら、町を歩く美人にウインクするルシファーのそばを歩く事が重く感じた。女性の熱い視線と、不細工な男たちの冷たい視線を直接浴びなくとも、地味で小市民な僕にはきつかった。


 (本当にルシファーって何者なんだろう? ルシファーって名前、どこかで聞いたことあるような気がする。・・・慨視感(デジャヴ)かな?)


 僕は思案した。

 城でルシファーに睨まれた猛者は気絶し、キスされた女性を昏倒した。彼の能力は謎のままだが、少なくとも僕より遥かに強い事は確かで、火を見るより明らかだ。下手に彼を問いただして争うより、今は様子を見る方がいいだろう。藪をつついて蛇を出すのは得策ではない。


 「ドウシマシタカ?勇者殿。ギルドニ着キマシタヨ。」


 「あぁ・・、うん・・。」と返事して僕の意識がギルドへ向く。


 僕達が建物に入ると厳つい男達がたたずんでいた。

 僕は気負けしそうになったが、ルシファーは鼻歌を歌いながらギルドの受付に向かい、僕は流されるように続いていった。まるで、僕がルシファーの従者みたいだ。

 僕が受付に目を向けると、ハシバミ色のきれいな髪をした女性が受付をしているのに気が付いた。


「こんにちは。今日はどのような御用ですか?」


 ルシファーは、身を乗り出して受付嬢の手を握り、とろけそうになる笑みを彼女に向けた。


「コンニチハ、美シイ御嬢サン。私ハ、貴女ノ美シサと高貴ナ薫リニ惹カレテ来マシタ。今夜、一緒ニ食事ト、二人ッキリノ熱イ夜ヲ過シマセンカ?今夜、一緒ニ二人ノ未来ヲ作リマショウ!」


ルシファーの輝く笑顔と露骨な誘いに彼女は赤くなる。でも、まんざらでもなさそうだ。


(露骨にナンパしないで欲しい・・。後ろのモテナイ猛者達の視線がチクチク痛い。・・・・ハぁ。)

 

 勇者は逃げたくなった。しかし、周りはきつい視線で囲まれてしまった!

 

 「ルシファー、露骨すぎるよ。初対面の人をナンパして何処まで行く気なの。」

 僕はルシファーに耳打ちする。


 「勇者殿、モチロン、ベッドノ中マデ、トカ、彼女ノ中マデ、でーす。」


 「(ひそひそ)もうちょっと控えてよ。」


 「分カリマーした。彼女ト、愛ノ真理ノ探究ト、生命誕生ノ神秘ニ立チ合イマス。」

 

 「表現を控えるんじゃなくて、行動を控えて欲しいんだけど・・・。とにかく、ルシファー・・、僕達はナンパしに来たんじゃなくて、ギルドに登録しに来たんでしょ。」

 僕はルシファーを諌める。


 「チッ!」

 輝く笑顔でされた舌打ちに恐怖を感じるものの、僕は受付嬢に意識を向けた。


 「すみません、ギルドの方。僕達は冒険者のギルドに登録したいのですが・・・。」


 僕は彼女の目の前でブンブンと手を振り、彼女の意識をルシファーからこちらにそらした。彼女は僕を見て、がっかりしたような顔をしている。(ガキでダサくて悪かったね!)


 「・・・・えっと、ギルドの登録ですね。すみませんが、お名前とそれと身元を証明するような物はありますか? 身元を証明する物がありましたら、煩雑な手続きを省くことができます。」


 僕はこの世界に来て3カ月たつが、城から一歩も出た事はなく、家なんて持っていない。何か身元を証明できるものはあるかな?と、考えていたら王様から渡された「仲間募集」の紙が役に立つかな?っと、思った。

 彼女に渡すと少し驚いた様子だった。


「(ひそひそ)本当に勇者様と御一行様なのですか?本物の王家の紋章がありますが・・。」


 「えぇ、そうです。」

 僕もつられて小声で答える。


 「分かりました。身元を保証する物はこれで十分です。では、従者様。こちらの方に勇者様と貴方様のお名前をお書き下さい。できれば戦いにおいてのプロフィールも書いていただけると助かります。」


 どうやら僕は彼女に勇者様の従者と見られたようだ。

 僕はうさんくさいハンサムを見上げる。そのハンサムは不細工な猛者達の視線を平気な顔で浴び続けている。

 

・・・。僕が勇者だとばれたら、仲間の行動についての責任を男たちに問われそうだな・・・。

 

僕は責任回避をするべく、彼女の勘違いをそのままにした・・・。

ジャジャーン♪(効果音)勇者は世渡りが上手になった。

 

 僕は僕達のプロフィールを書いた。僕は城の一般兵ぐらい、ルシファーは城で誰よりも強いと書いた。(実際はもっと強そうだが、僕にはそこまでしか分からなかった。)

 チーム名を何にしようか?と、考えていたら、ルシファーが横からペンを取り、「レディーの見方」と、勝手に決めてしまった。

 

 「えぇ~・・、『レディーの見方』御一行様。クエストとレベルについてのご説明をさせていただきます。」


 受付嬢はチーム名に顔を難しくしながら言った。


 「レベルは受けられるクエストを制限する物です。これは無謀な挑戦をしないようにと配慮しての事です。クエストを沢山成功させたり、能力について実績を得たりすると、レベルが上がり、より高いレベルのクエストを受理する事ができます。ちなみにクエストを失敗、又は放棄すると異契約金を支払わなければならなくなるので、十分にご注意ください。貴方方様は実績があまりお持ちでいらっしゃらないようなので、初期レベルのEから初めて頂くことになります。レベルはS,A,B,C,D,Eの6段階となります。」


 ルシファーが話を聞いて顔をしかめた。


 「メンドーデスネ。実績ガ有レバ、高レベルカラ始メラレマスカ?」


 「えっと、そうです、はい。」


 ルシファーは戸惑った顔の受付嬢から体を後ろに向け、猛者たちに視線を投げた。


 「コノ中ニ、高レベルノ人ハ居マスカ?居タラ、私ト決闘シテ下サーイ。何人デモ、一度ニデモ構イマセン。」


 「えっと、ルシファー!」


 僕はルシファーの挑戦的な発言に慌てた。

 でも、時は既に遅し! ルシファーのハンサムな容姿と女たらしさが不細く・・、じゃなくて一流の猛者達の心に火をつけた。


 「うぉぉぉ、ハンサムだからっていい気になるな!」

 「お前の顔をグチャグチャにしてやる!」

 「手前みたいな軟弱な顔を踏みつけたかったんだ!」

 「女を全部持っていくな!」

 「俺にも女を分けろ!」


猛者達は心からの叫びと悲痛な願いを口にしながらルシファーにかかっていった。

ルシファーは不気味な笑みと共に両手の指を三本立てる。


「なんだ、6分で十分という意味か?」

僕は緊張する。ルシファーは強いと思うが、指を立てた意味が全く分からない。


猛者達を激突する寸前、ルシファーの姿がブレタ!

猛者達は次々に後ろへ吹っ飛んでいく。

一部の猛者は壁に頭を突っ込み、尻を向けている。

一部の猛者は隅で積み重なり山となっている。

一部の猛者は天上に頭を突っ込み、首から下をぶらぶら揺らしている。


6秒もかからなかった・・・。


ルシファーは両小指を口の前に持っていき、フ―ッと、息を吹きかける。

彼の小指はほんのり赤くなっているので、恐らく小指でデコピンをしたのかもしれない。無茶苦茶だ・・。


(ルシファー・・・、本当に恐ろしい子・・・。)


僕と受付嬢は目をまんまるにしていた。

ルシファーが輝く笑顔を受付嬢に向けた。


「美シイ御嬢サン、コレデ高レベルカラ始メラレマスカ?」


思わずコクコク頷く受付嬢。まるで人形のような動きだった・・・。



僕達はクエストレベルAから始める事になった。あの中にレベルAの猛者が3人いたらしいが、ルシファーが軽々と倒してしまったからだ。あの騒ぎの後、巡回していた衛兵が事件を問い詰めたが、「私は彼らに襲われました!(一応、嘘ではない)」と言い、ルシファーは何も罰を受けなかった。ルシファーの魅力は男にも通用するのか?あるいは何かの力を使っていたのか?とにかく事件を問う衛兵の目が少しおかしかった。


僕達はギルドに届け出られたレベルAのクエストを見て、近隣の村の近くの東の山で暴れる謎の魔物を倒す依頼があったので、それを受けてみる事にした。

それには御城で防具・武器を貰ったが一応武具店を覗いてみる事にした。


(魔物よりもルシファーの方が謎だけどね・・・。)


急遽変更!次回はチートなオリジナルヒロインを出そうと思う予定です。

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