第1話 それぞれの旅立ち
すみません、異世界召喚ものを読んでたら僕も書いてみたくなりました。偉大なる賢者★トール&徹(徹)も書いてる最中なので、こちらは気が向いたら書く事になりそうです。
俺はルシファーて名前だ。俺は神に愛されて天使の中で頂点に立つものだ。
俺は神の如き力を持ち、神の様に美しい容姿を持つ。俺様は完全無欠だ。
「おい、ルシファー。お前天使長としての仕事はどうした!しっかり、働け!これが最終警告だ!」」
おや、こうるさい天使副長のミカエルが来たな。
「メンドーだ。ミカエル、適当にやっといて。」
俺は寝っ転がりながらワインをぐびぐび飲む。天使長なんてメンドくせー管理職だ。そんなもん、ミカエルに任せときゃ万事OKさ。いつもミカエルに任せときゃ上手くいくんだからな♪
ミカエルは、ハァーとため息をついた。
「ルシファー、俺は『最終警告』と言った。神はお前の怠惰な生活の罰を与えると告げられた。」
俺はワインをブーっと吐き、むせた。
「な、何!神が俺に罰を!」
「そうだ、お前が仕事を投げ出した、お前が人間界に降り、人間のふりをして、人間の勇者と共に魔王を討伐の手助けをせよとの事。それまで、お前は天界に帰ってきてはならぬ。ちなみに、人間界に落ちたらお前の力の1%しか出せないよう制限をかけておく。」
「そ、そんな殺生な!なんで完全無欠美男子天使の俺がたかだか人間風情の尻拭いをせにゃあかんのだ!」
「自業自得だ!さぁ、行け!」
ミカエルが手を振ると、俺の脚元の雲が割れ、俺は人間界に落ちた。
(とある森の奥深く)
「……たしか、この道であってるはず……」
空のような鮮やかな青色の髪と瞳を持つ少女が、木々で囲まれた道なき道を歩き進む。
彼女の片手には、魔物の絵と特徴が書かれており、もう一方の手には詳細な大陸の地図がある。
「……太陽が上るのが西だから、……沈むのが北……」
彼女は今日も道なき道を突き進む。そこに世界がある限り……。
(森の中の小さな小屋の中)
大きな黒いローブを着込んだ、一人の子供が水晶玉を覗き込んでいる。彼は占われた未来に対して若い顔にしわを寄せた。
「魔王がこの世を支配してしまうと、500年後の未来、アーサー王がこの世に誕生できない……。キャメロット王国すらこの世に存在できないかもしれない。大変ではあるが魔王は倒すしかない。この世に召喚されるだろう勇者と共に!」
彼は壁にかけられた大ぶりな杖を見上げる。
「……この杖を使うときが、とうとうきた……」
彼は感慨深げにつぶやいた。
(城の中の巨大な魔法陣のある部屋)
僕はごく平凡な中学2年生。友好関係もそこそこあり、学校生活にもそれなりに満足している。この世に不思議な事を夢見たりしないし、地に足をついてる事の方が好きだ。別に超常的な力に憧れてもいないし、喧嘩も嫌いだ、というか強くない。
「勇者、ワタル・ハセガワよ。汝を召喚した理由は、汝にこの世の征服を企む魔王を打ち滅ぼして欲しいのだ。どうかこの国、いやこの世界を救っては下さらぬか。」
と、セイルーン王国の国王が僕に頼み込む。
僕は平凡な生活が結構気に入っていた。それなのに異世界に勇者として召喚されるとは・・・・。
王様と王妃様と姫、近衛兵達が緊張した様子で僕の返事をうかがっている。
そう、みんな不安なのだ。
魔王に生活を脅かされて、何時、己が死を迎えるかわからないこの怖れに。
苦肉の策として召喚した勇者(僕)に断られるのではないかと怯えているのだ。
僕だって魔王と戦うなど怖くてしょうがない、いや喧嘩をする事にですら僕は怯える。
もちろん力になってやりたいと思う心もある。みんなを安心させてやりたい。
そう、だから僕は決心した。決して後悔なんてしたくない。
僕は勇気を振り絞り、そっと口を開く。
「すみません、王様・・。僕は戦ったどころか喧嘩すらした事もないので、皆様方のお力になれる自信はありません。」
断るための勇気を振り絞った。みんな、真剣な頼みを断る事だって、相当な勇気がいるんだよ。まさに場の雰囲気を壊す事を恐れずに、自分の意見を言う事は、勇者の称号に値する。
王様はしばらく考え込み、
「ふむ、勇者殿がそうおっしゃるのであれば致し方ないが、もう少しだけ考えては頂けぬ「嫌です、無理です、僕には荷が重いです。」・・・・・・・・かなぁ?」
僕は間髪入れずに、すぐさま即答。僕は喧嘩ができないが、ゲームには腕があり、ボタンの早押しの経験を生かして即答した。
「しかし、勇者、ワタル・ハセガワよ。汝を召喚した理由は、どうしても汝にこの世征服を企む魔王を打ち滅ぼして欲しいのだ。どうかこの世界とその未来を救っては下さらぬか。」
会話がループしました。ドラクエをやっていて、会話をループさせるのを見てバカだな―と思ったが、実は泣き落としと同じぐらい効果があったりして・・・。これって遠まわしに僕に有無を言わさずに命令しているような・・。
僕は心を落ち着けて答えた。
「王様。僕は魔法どころか武術もやった事ありません。それなのに盗賊どころか魔王を倒すなど絶対に無理です。」
「おお、それについては心配せずとも良い。勇者がこの世界に召喚されてから、勇者は強靭な肉体と強大な魔力を授かって召喚されるのだ。さっそくだが、勇者の力を測定してみようではないか。」
王様は僕に魔王を倒すと約束させる事は難しいと判断したようで、今は会話をそらすようだ。
黒いローブを着た魔術師が水晶玉を持ち、僕の前に来た。
「さぁ、この水晶玉に御顔を映してくださいまし。」
僕は水晶玉を覗き込んだ。
魔術師が「はぁ!」と魔力を込めたらしい。水晶玉を覗き込んでいた魔術師は徐々に微妙な顔をし始めた。
能力を測定する際に『見習騎士』とか『ベテラン魔術師』などがあり、それぞれの能力を6段階に判断するらしい。ここでは分かりやすく、S,A,B,C,D,Eとしておく。
僕の能力
戦士の才 ;D (僕は喧嘩した事がないからだ)
魔術師の才;B (どんな魔法が使えるか楽しみだ)
僧侶の才 ;E (僕は信仰深くないからだ)
狙撃士の才;A (ちょっと意外だ)
諜報士の才;D (僕は頭が悪いからだ、しかし勇者にいったい何をさせる気だったのか?)
鍛冶家の才;B (僕は図工が結構とくいだ)
商人の才 ;E (僕には頭も財産もないからだ)
料理人の才;A (これまた意外だ)
僕も王様王妃様も近衛兵も難しい顔をした。とても勇者の能力には思えない。これでは勇者をやるなど無理だと思うし、せいぜい勇者御一行様の一人になるのが精一杯だ。僕と王様の困惑した視線が交叉した。ちなみにまだ10歳ぐらいの姫様は居眠りしていた。
「ごほん。しかし、近衛兵の中でも上位に位置するぐらいだ。恐らく勇者はこれからとてつもない成長を遂げると思う。きっと大器晩成なのだ、そうに違いない。」
王様はめげなかったようだ。きっと若い頃はどんな苦境にも立ち向かう方だったのだろう。みんなの困惑の視線を向けてくる中、僕は勇者としての使命を流れで任せられたようだ。