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第一章:お箸と眼鏡と、わんぱくサンド

平日ランチの、公園のベンチ。

夢子には、どうしても譲れない

「こだわり」が一つだけある。

「平日のランチは、公園で自作の

おしゃれサンドを食べる」こと。

しかも「お箸」を使って。


渾身の「萌え断」わんぱくサンドを

ピクニックシートに広げた。

お供はもちろん、お気に入りの箸。

「さあ、完璧な一口を……」

箸を構えた瞬間、小さなスズメが

目の前をサッと横切った。


「わっ……!」

驚いた夢子は、持っていた具沢山の

サンドイッチをひっくり返した。

お気に入りのフレアスカートに、

タルタルソースが盛大にダイブ。

夢子の目の前が、真っ白になった。


「あ……あ……」

フリーズする夢子に、ハンカチが

そっと差し出された。

「あ、あの。これ、使いますか?」

顔を上げると、そこには眼鏡を

クイッと直す気弱そうな男子。

「あ、ありがとう……。私、お箸派

なのに、つい具を欲張っちゃって」

「お箸……? サンドイッチを、

お箸で食べていたんですか?」


彼は夢子の膝の上で散ったレタスと

桜の my 箸を交互に見て目を丸くした。

「変だよね。無駄なこだわりだって

自分でも分かってるんだけど」

恥ずかしさで顔を赤くする夢子。

すると遠くから「おーい、健太!

また重い本読んでんのかよ!」


派手なグループが彼を冷やかして

通り過ぎていく。彼は消え入りそうな

声で「あ……うん」とだけ返した。


「……変じゃないです。僕だって、

この図鑑を置いていけって言われる」

健太はリュックから分厚い図鑑を

取り出し、ベンチにドサッと置いた。

「自分の『譲れないもの』を守るのは

立派な戦いだと、僕は思います!」


その時。中学生たちがハトを

面白半分に追い回し始めた。

「あ、危ない……」

夢子が呟くより早く、健太の肩が

ビクッと跳ねた。

彼は震える手で眼鏡を直すと、

ガクガクの足で中学生たちの方へ

走り出した。


「あ、あの! 健太くん、私も行く!」

夢子は膝のレタスを放り出した。

手には最強の武器(お箸)。

ポチャポチャの頬を膨らませ、

夢子は勇敢な背中を追いかけた。


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