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ムサビとベムスターが好きだった叔父の物語  作者: 巳ノ星 壱果


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22話 幸せナルシスト

 第22話 幸せナルシスト



 弱っていく、にいちゃん。

 でも、私の前では元気に振る舞ってくれた。


 私は、にいちゃんを連れて母と外出した。

 母にとある依頼をされたからだ。


 抗がん剤の影響なのか、この1カ月で

 にいちゃんのまつ毛は長く伸びていた。


「いっちゃん、にいちゃんのまつ毛、なかなか長いと思わないかい?

 抗がん剤の影響が、まつ毛に出るとは思わなかったよ。

 父さんが、昔よくにいちゃんを見るたびに“俺に似ていい男だ”って言ってたんだよ」


「私のまつ毛より長くていいね」


 そんな二人の会話を、母が無言で聞いていた。


 抗がん剤の影響なのか、

 それとも何か別の薬の影響なのか。


 理由はわからない。


 にいちゃんは、まつ毛だけでなく

 髪の毛までふさふさになっていた。


 まるで、わんちゃんをトリミングしなきゃいけない時期が来たみたいに、伸びていてふさふさだった。



「にいちゃん、床屋行くよ」



 嫌がるにいちゃんを、私は無理やり連れ出した。


 にいちゃんは、私の言うことだけは聞いてくれた。


 だから母は、私に任せたのだろう。


 千円カットの外で、私はにいちゃんのトリミングを待っていた。


 にいちゃんは、ずっと鏡の一点だけを見ている。


 ときどき手を顔に当てながら、にいちゃんは自分の顔を見ていた。


 そんなに、にいちゃんは鏡が好きなのかと思って、

 私は思わず笑ってしまった。


 プロ意識の高い店員さんにも、感動した。


 トリミングされたにいちゃんは、

 少しかっこよくなった。


 ナルシストは素晴らしい。


 そう思った日だった。

挿絵(By みてみん)


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