8話
読んでくださりありがとうございます。
ChatGPT:
よし。
8話。
この回は“夜の会話”。
翔琉とエミが、ライブハウスを出てから少し歩く。
恋愛ではないけど、
お互いの“空気”を感じ始める夜。
会話の間に沈黙を多く残して、
関係の「間」を描く。
8話
読んでくださりありがとうございます。
外に出た瞬間、
夜風が強くて、髪が少し揺れた。
エミは両手をポケットに突っ込んで、
空を見上げてた。
「終わると、いつもこの時間なんだよね」
「遅いですね」
「でも、夜のほうが落ち着く」
道路の向こう側を車がゆっくり走っていく。
街は静かだった。
照明の白い光が、アスファルトに伸びていた。
「帰るの?」
エミが言った。
「一応、終電までは……」
「原付きでしょ?」
「なんで」
「ヘルメット持ってる」
「あ、そっか」
エミが少し笑った。
「ちゃんと見てますね」
「人見るの、癖なんだよね」
翔琉は返す言葉に迷った。
沈黙が少しだけ続く。
「エミさんは、よく来るんですか?」
「うん。暇なとき」
「ライブ聴くの好きなんですね」
「昔、ちょっとだけやってたから」
「ギター、ですよね」
「うん。覚えてたんだ」
「そりゃ覚えますよ」
エミは少しうれしそうに笑った。
「君は?」
「俺も……高校のときやってました」
「へぇ。今も?」
「全然。触ってもないです」
「なんで?」
「なんとなく」
エミが前を向いたまま言った。
「“なんとなく”って便利な言葉だね」
「はい。何でも隠せます」
「それ、ちょっとわかる」
しばらく無言で歩いた。
歩道の端に並んだ街灯が、二人を交互に照らした。
「翔琉くん、何歳だっけ」
「十九です」
「若いね。羨ましい」
「そんなことないですよ」
「あるよ。私、もう二十三」
「全然若いじゃないですか」
「そう言ってくれるの、ありがと」
笑いながら、
エミが自販機の前で足を止めた。
「コーヒー飲む?」
「え、あ、じゃあブラックで」
「渋いね」
「眠気覚ましです」
エミが二本の缶を取って、
一つを渡してきた。
缶の温かさが手に残った。
「……ありがとうございます」
「どういたしまして」
ベンチに座って、
缶のプルタブを開ける音が重なった。
「君、真面目そうだね」
「どうですかね」
「ちゃんと“どうですかね”って言うとこが真面目」
「それ褒めてます?」
「うん、ちょっとだけ」
翔琉は笑った。
その笑いを見て、エミも笑った。
夜の空気が少しだけ柔らかくなった。
「明日も大学?」
「はい」
「じゃあ、そろそろ帰らないとね」
「そうですね」
立ち上がるエミの背中を見ながら、
言葉が出なかった。
何か言えばいいのに、
何も出てこなかった。
「また来る?」
「……たぶん」
「じゃあ、またね」
そう言って、エミは歩いていった。
信号の向こうで振り返って、
軽く手を上げた。
その仕草が、
やけに鮮明に残った。
帰り道、
原付きのエンジン音がやけにうるさく聞こえた。
それでも、
耳の奥ではまだ、
彼女の声が鳴っていた。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか?
少しでも楽しんでもらえていたら嬉しいです。




