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9 責任転嫁 零

女子トイレから出てきたのは見慣れている奴...真央だ。『なんでここにコイツ居るんだ』という眼差しを送りながら俺は呆然と真央を見つめる。本当になんでここに居るんだ。


「何見てんの気持ち悪いんだけど?」

「あ、悪い」


真央の言葉に我に返った俺は謝罪をして真央に質問を投げた時に、真央から食い気味に話しかけてくる。


「なんでこ...」

「逃げてきたの。優花を探していたときに悲鳴が聞こえてきて、何か事件でも起きたのかと思ったわ。そしてこの有様よ」

「質問の察しが良すぎるな」


コイツは一見感染してなさそうだな...。相変わらず冷たいのは変化なしと。うん、怖い。今、玲央が居てほしかったわ。そして目線を頑張ってそらしていた時、男子トイレから悠真が出てくる。


「そーた、今大丈っ...」


トイレから戻ってきた悠真は真央を見て口を開けながら立ち尽くす。多分、突然ここに居たからびっくりしてるんだろう。


「え?」


真央は何も言わずにじっくりと悠真を睨んでいる。睨み方が怖い。よく玲央は仲良くできるな…。玲央はすっげぇ明るい性格とか照れたらクソ可愛い。って言ってたけど、玲央だけじゃないのか?あ、もしかして真央は…やめとこ殴られる。俺はずっと口を開けて立ち尽くしている悠真に話しかける。


「すっげぇお前のこと見てるけど」


悠真は口を閉じて目線を固定しながら、ゆっくりとまたトイレに戻ろうとしている。あっ、見なかったことにしようとしてるのか!?発想が面白いが...俺もやったら怒られると思うからやらないようにしとこ...。


「なにやってんだお前」

「あ、足が勝手に」

「んなわけあるかよ」


やっぱこいつも真央のことが怖いらしい。悠真はゆっくり今さっき立ち尽くしていた場所まで戻ってきた。少しの沈黙が流れ、何を話そうか迷って壁に寄りかかると真央から質問が飛んできた。


「で、これからどうすんの?」

「あ、えっと」


気まずい空気から不意にまた質問が飛んできた俺は、早口になりながら答える。まず解決するのは玲央と合流すること。それからこの緊急事態の真実を暴くことだ。


「あ、玲央を助けに行かないといけない」

「何したの玲央が?」


真央が壁に寄りかかり、少し首をかしげて質問をする。俺は何故か真央が少し切なそうな表情をしているように見えた。それはそうだ。こんな緊急事態に単独行動は禁物だ。もしかしたら襲われている...そんなことも考えてしまう。


「玲央が俺らの囮として逃げてくれたんだ。俺は『囮やってくれ』なんて頼んでないぞ!?」

「何やってんのよあいつ...」

「まず玲央と合流することにしよう」


一応勘違いされてほしくないから補足を追加しといてよかったぜ。危うく責任転嫁されるところだった。


「とりあえず体育館から出ませんか?」


俺と真央は頷いて体育館を後に、休憩を兼ねつつ歩いて玲央と合流を目指すことにした。

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