2 キスの代償
優花の口から絶対言わなそうな事を聞いた。
「優花なにいってんだ?」
「物足りないの...」
俺は思った。これ優花この中一男子とキスしたんじゃね?その優花のキスで中一男子は死んだ。いやこれは流石におかしいか...分からねぇ...
「キスしたのか?」
「うん...」
おいおい...マジかよ。俺もキスされたら死ぬ...?早く逃げないと...!
「あーなんか腹痛くなってきたわー」
これで理科室から抜け出した!早く颯太に話さないとまずいことになりそうな予感がする。そう思った。
「颯太!優花がやばいんだ...」
「優花居たのか?」
「キスしたいとか言ってきたんだ」
チャイム音が鳴りながらも俺は颯太にありのまま起こったことを全部話した。
「なんだそれ?ーーーー(規制)のーーー(規制)みたいな展開」
「やめろ、BANされかねない。というかなんでクラスのみんなは居ないんだ?」
「クラス全員優花が居なくなってて探してるんだ。あいつはいつも授業前には教室に必ずいるからな」
「お前も教室に居らずに探せや」
しかも授業を放っておいてまでみんな優しいな。ってみんなを呼び戻さないと!
「その事みんなに話していいか?」
「あぁ!俺も今から皆探してくるから!」
俺は教室から出て探し回った。すると、千尋と他男子生徒達を見つけた。
「お前ら、優花見つかったぞ!」
「怜央!助けてくれ!こいつが千紘にキスされてこいつが倒れた!」
「ぐすっ...っ...」
おいおい、いまさっきの優花と同じ事が起こってるじゃねぇか?これは何かがおかしい...
「これはいつからだ?しかもなんで中一まで?」
「いまさっきです。怜央先輩がくる前」
「僕らは、優花先輩と僕たちの同級生を千紘先輩達と探しに来ました」
「突然千紘が叫んだんだ」
「優花と同じ事が起こってる...とにかく今はここから離れた方がいい。とりあえず教室に戻ってみんなと話そう」
俺は、見つけた生徒達と教室に戻ることにした。戻っている途中、俺は後輩に話しかけられた。
「怜央先輩、なんでキスで人が死ぬんですか?」
確かにおかしい、不明な現象?それともウイルス?考えても分からない。まず優花をそんなことをするやつが見つからない。
「わからない...」
教室に戻ると、颯太が既に数人の男子生徒と一緒に待っていた。
「怜央、みんな見つけたか?」
「いや数人ぐらいだ。けど千紘も優花みたいな事になってたから、一旦集まろうかと思ったんだ」
「おいおい、何が起こってんだ...」
颯太が頭を抱えながら呟く。
「まず優花の事について怜央、話してくれ」
俺はみんなに優花のことについて話した。
「なんだそれ?」
「それって...千紘先輩と同じ事が起こってますね」
「先輩、これ女子が関係してる可能性ありますよ」
確かにそうかもしれない。優花や千紘は女子であって、今のところ女子にしか異変が起こってない。
「なるべく女子には触れないようにした方がいいかもしれない」
俺は教卓の前に立って話したあと颯太に代わってもらった。
「おそらく何かの感染か異常な現象だ」
「そんな漫画見たいな事有り得るかよ!」
そして考えてる間に俺はふと思い出した。
「先生は居ないのか?」
「ワケあって今、先生全員居ません」
「授業の意味!」
事態を考えてる間に教室の外から声がした。
「誰かいるの...?」
俺は教室から少し顔を出して見た。廊下の先には優花がいた。
「まずい優花だ。颯太、みんなの事を頼む!」
「どうゆう事だよ!」
俺は教室の窓とドアを閉め、廊下に出た。この事について優花と話がしたかった。出来るか分からないが一か八かの行動だった。
「怜央...会いたかった」
「優花、お前は何がしたいんだ?」
俺は恐る恐る近づいてくる優花に距離を取りながら話しかけた。
「どうして中一の男子を襲ったんだ?」
優花はこの言葉に反応するかのように微笑んだ。
「襲ったなんて酷いよ。ただの欲求だわ」
「欲求?」
「分からないけど、キスしたら満たされるの」
意味が分からなかった。でも今から逃げても遅い...俺は、続いて話をした。
「お前の意思は本当にそれなのか?」
「...わからない。でも、キスしたら教えてあげる...」
「冗談は程々に...な?」
やっぱりこいつは優花じゃない。俺は、隙をついて逃げようとした。
「...っ!」
「ふふっ...捕まえた...」
優花が俺の腕を掴んで微笑みながら顔を近づけてくる。これは終わった...と思いながら目を瞑った。その時、教室のドアが開いた。
「玲央!今助けるぞ!」
颯太だ。刺股を持ちながら俺と優花に近づいた。
「すまんな優花、友達を助けるためなんだ!」
颯太が優花の腹に刺股を挟んで壁に押さえつけた。
「颯太...なんで...」
「颯太!?でもお前どうするんだ?」
「大丈夫だ!必ず合流する!」
「お前ら逃げるぞ!」
俺は颯太を置いて他の生徒と一緒に逃げた。
「怜央先輩、颯太先輩はどうするんですか!」
「とにかく今は教室に戻るぞ!」
颯太が優花を押さえつけたまま俺らは教室に戻り、ドアに鍵を閉めた。教室に戻った俺は一息をついた。そのとき廊下から颯太を呼ぶような声が聞こえた。
「颯太!?」
聞き覚えがある声だ。一年の高槻悠真の声だった。悠真は颯太の小学校から仲の良い友達で、俺も時々頼み事をした事があって少々仲が良かった。でも颯太が中学校に入ってから、後から入学した悠真と話してる所はあまり見なくなり俺も話す事がなくなっていた。俺は廊下から二人の会話が聞こえた。
「何やってるんだよ!そーたがやっても無理だろ!」
「違う!こいつが玲央を襲ってキスしようとしたから助けようとしただけだ!」
「分かった!話は後でいいか?1...2...3...で逃げるぞ!」
俺はあの二人が来ると分かったのでドアを開けて二人に合図を送ってタイミングを伺った。
「刺股は!?」
「とりあえずいい!玲央先輩が待機してる!いくぞ!1...2...3...!」
俺は颯太と悠真を教室に入れて力強く扉を閉めて鍵をかけた。
「悠真くん...お願い...ここ開けて...じゃないと...」
「やっぱり女子生徒がおかしい...」
悠真が廊下にいる優花を見ながら呟く。
「これはウイルスなんじゃないか?」
「ウイルスってどういうことだ?」
俺は悠真に質問した。
「女子生徒だけに移るウイルスの可能性があるんだ。それに僕は見たんだ。他の男子生徒が女子生徒にキスされて、倒れたところを...」
「感染源はキスなのか?」
颯太も悠真の話に気になって質問した。
「そうだと思う。男子はキスされると死ぬけど女子はどうなのかわからない」
「優花と千紘はそうなった理由はわかるのか?」
「分からない。僕はこれくらいのことしか手がかりが掴めなかった...」
俺らは悠真の話を聞いて女子生徒を元に戻す方法を考えた。5分くらい考えていたとき、俺はふと誰かの存在を忘れている事に気づいた。
「ていうか、真央は?」
「俺はみんなが散らばってから知らないぞ」
「まだ生きている可能性があるのか?」
「確かに。まだその現象になっていない女子生徒もいる可能性がありますよね」
その時だった。ドカーン!という巨大な爆発音とともに教室のドア近くに吹っ飛んできた。
「うわっ!あぶねぇぇぇ!」
「ふふふっ......」