12 一方その頃
今回から玲央視点に戻ります。
「あれー玲央先輩ー?」
「あっちにいるかもしれないわ」
「探しましょ!」
隠れている場所から足音が遠ざかっていくのを聞いて、俺はロッカーを開ける。
「はぁっ...」
そして周りを見渡しながら呼吸を整えるように、歩き始める。撒けたものはいいが、もっと安全な場所を探さないといけない。あと、颯太と悠真と合流しなければ...。
「こんなの...中学生に重すぎる...」
「こっちだ!きてみろ!」
数分前、俺は颯太と悠真を救うために自ら身を乗り出し、体育館から校舎に入り、校内中を駆け巡った。
「もう逃げれないわよ?」
「テレポートっ!?」
前にテレポートしてきた千紘を俺は軽いステップをして避ける。
「かわされたわ!捕まえて!」
「あっぶね!」
「せんぱーい待ってくださーい!」
俺は走って廊下の角を曲がり、視認されていない隙に廊下にあるロッカーに隠れた。
そして現在に至る。今思うと、よく俺はテレポートしてきた千紘を避けたな。後ろを時々確認しながら、早歩きで廊下を歩く。ていうか今時間はどうなっているんだろう...?俺は教室に入って時計を確認する。
「12時...」
走り回って、隠れて、まだ12時...?辛すぎる。家に帰りたい。でも、そのままにしておくことは出来ない。俺は教室から出ようとすると、足音が聞こえる。足を止めて俺は息を呑む。まずい、あいつらだろう。
「俺は何してたんだろ...教室に戻っ...」
「え?」
教室に入ってきたのは見たことがある顔の奴だ。
「え...理科室で倒れてた?」
「あ、はい...ちょっと記憶が無くて...」
「名前は...?」
「福留颯人です...」
「俺は玲央っていうんだ」
確か俺が筆箱を取るために理科室に行った時が9時だったから...3時間後か?キスされた奴は、3時間後に目が覚めるってことか...。
「本当に記憶が無いのか?」
「はい...歩いても誰もいなくて、なぜか女子に追いかけられてて...」
「わかった。今起こっていることを話す」
俺は颯人が倒れていた理由や女子達が追いかけてくる理由など、ありとあらゆることを話した。
「———で今、俺は探索中で時間を確認するために、この教室に来たら颯人が来たんだ」
「ええっ!?僕がキスされた!?」
「ちょっ...!静かに...!」
颯人が大きい声を出してしまい、俺は注意する。まあ、驚いても仕方がないだろう。優花にキスされて、3時間後に目を覚ましたって。驚かない方が無理がある。
というか、あの時はなんで颯人の脈は動いてなかったんだろう。死んだと勘違いしていた俺は罪悪感に浸る。
「生きていて何よりだな...!」
「そうですね」
颯人は少し笑う。
「これからどうするんですか?」
「あいつらにバレないように、黒幕を見つけるんだ」
俺は教室から出る。そして、俺に続いて颯人も教室から出る。
「...どこ行きます?」
「理科室に行こう。そこに重要なノートがあるんだ」
「重要なノート?」
「1ページしか見れてなくて、まだ何かあるはずなんだ」
「わかりました!」
俺と颯人は理科室に向かって歩いていく。そして、颯人が一点を見つめて歩を止める。
「颯人?どうした?」
「いや...この教室、なんかおかしくないですか?」
颯人が言った教室を俺は見る。確かに何かおかしい。木の板がドアを塞いでいる。そしてその教室に近づこうとした瞬間に声が聞こえた。
「誰かー!助けてくれー!」
「この声って...?」
「...先生だ」




