麗しの陛下
「いらっしゃい!!おじさん達今日も来てくれたの?ありがとうございます!!」ベアトリーチェは元気いっぱいに挨拶をした。「おう、今日もあんたの推しの話を聞こうと思ってな、頼むぜ!」男達はベアトリーチェの頭を撫でながら席についた。「あ、そちらのお客様、ご案内します!」ベアトリーチェはメーベルト達に近づいてそのまま後退りをした。「まままま、まさか?」ベアトリーチェはメーベルトにすぐに気がついて動転している。すぐにテリウスがベアトリーチェに近寄り「黙って!案内」と言い、ベアトリーチェはカチコチになりながらメーベルト達を席に案内した。
テンパるベアトリーチェにテリウスは飲み物を注文してベアトリーチェはカチコチになりながらテーブルを離れて行った。メーベルトはそんなベアトリーチェを見て微笑んでいた。
「ベアトリーチェ!今日も麗しいの陛下の話を頼む!」先程の男達が催促した。「あ、いえ、今日はお預けです!!」ベアトリーチェが言った「いやいや、推し活にお預けはないぞ!!さあ,頼むよ」男達は催促をする。ベアトリーチェはチラッとメーベルトを見るとメーベルトは頷いた。推しが許可をしてくれた!「まあ、そんなに頼まれるなら、、」とベアトリーチェは話し始めた「私の陛下は完全なる皇帝で、存在自体神!!」「そうだ神だ!」合いの手が入る。
「おじさん達わかっているわね、そうなのよ、いわゆるその神の幸せを切に願うのが推しの仕事!常に陛下が笑って過ごせるように我々は願うしかない!!」「おう!家族で願ってるぜ!!」「いいわね、おじさん、認めましょう」などと言ってベアトリーチェはいかにメーベルトが素敵で素晴らしいか、そして推しとしての心得を熱弁した。
メーベルトは嬉しそうに聞いていた。国民に好かれることは本当に嬉しい。ベアトリーチェは純粋にメーベルトを応援していることも十分伝わったのだった。
「ベアトリーチェ」テリウスが呼んだ。「はい」ベアトリーチェは緊張しながら二人のテーブルに行った。「ここに座れ」テリウスは自分の横に席を指差して言った。「へ陛下の目の前、、」ベアトリーチェは驚き赤くなる顔を隠しながらちゃっかり座った。
手の隙間から見るメーベルトは神だった。神レベルの美しさのメーベルトを見てベアトリーチェは言った「眩しすぎて、、」メーベルトは笑って言った。「ベアトリーチェはどこ出身の貴族なんだ?」
「おお、神よ、麗しの推しが私ごときに興味を抱いてくださるとは、、」と独り言を言いながら「北の大地フィーレンです。フィーレンのマクラーレンという落ちぶれ貴族でございます」と答えた。
「フィーレン、、そこは初代皇帝の出身地だったな」メーベルトは言った。「はい、我々の誇りです。その為フィーレンは陛下を尊敬して、敬愛する人たちが多く、私の家門であるマクラーレンは特にその思いが強い家系です。私も幼い頃から陛下一本で、、あ,。それはいいとして、」「何か足りない物ありませんか?飲み物とか?お食事とか?」「じゃあ、何かおすすめの料理をお願いしようか」メーベルトはそう言ってベアトリーチェに頼んだ。「わかりました!麗しの陛下お願いします!」と言って注文をした。
「な、何だそれは?」メーベルトはそんな料理があるとは!と驚いて聞いた。「はあ、わたくしがいつも麗しの陛下と言って叫んでいるのを聞いた女将が作ってくれたメニューです」と自慢げにベアトリーチェは言った。「流石に恥ずかしいな」メーベルトは少し照れた。「ああ、その表情さえわたしにはもったいのうございました」と訳の分からないことをベアトリーチェは言って幸せを噛み締めている。
「はいお待たせ」女将が麗しの陛下を持って来た。色とりどりの野菜とサラミが乗っているピザだ。「美味しそうだな」メーベルトが言った。「あんた初めてかい?」女将はメーベルトに聞いた「ああ、初めてだ」メーベルトは答えた。「この子ベアトリーチェって言うんだけど、本当に陛下が好きでね、寝ても覚めても陛下陛下ってすごいんだよ。最近なんて存在を認識してもらったって言って大騒ぎして飲みまくって大変だったんだよ」
女将ははいらん情報をメーベルトに言った「お,女将、その辺で」ベアトリーチェは焦った本人目の前に流石に恥ずかしい。。「でね、この子欲がないんだよ。折角覚えてもらえたらその先を求めるのが普通だけど、もうそれで十分って本当無欲な子でね、いい子だろ?ところでどうだい美味しだろう麗しの陛下」女将はメーベルトに気がついていたがウインクして去って行った。
「すみません」ベアトリーチェは恥ずかしそうに謝った。「いや、嬉しいよベアトリーチェの愛をもらって私は幸せだなぁ」と言ってメーベルトは笑った。ベアトリーチェは半泣きになって「ありがとうございました!!」と言って去って行った。「あの子変わってるけどいい子だな」テリウスが言った。メーベルトは頷きながら思い出した。フィーレン、初代皇帝の出身地で皇帝への敬愛が強い地域。マクラーレンは没落貴族と言えども教育も厳しく格式を重んじる家系だ。そんなところの娘があんなに自由にできるのだろうか?と不思議に思ったが、もう時代が違うのかもしれない。メーベルトはそう思いながら麗しの陛下を食べた。