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【書籍発売中・コミカライズ連載中】幸せに暮らしてますので放っておいてください!  作者: 風見ゆうみ
第二部

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第55話 2人きりの夜

「そんなに緊張しなくてもいい。絶対に何もしないから」


 私の様子がおかしいことに気が付かれたライリー様は、苦笑して言った。


「ライリー様を信用していますので、そんなことはわかってるんです! でも、緊張するじゃないですか」


 ベッドの上で膝を抱えて座ると、ライリー様は読んでいた本を閉じて私を見る。


「そういう風に意識されると、逆に何もしないほうが悪い気になってくるんだが?」

「駄目です! 皇太子殿下がそんなことをしてはいけません!」

「皇太子だからこそ多めに見てもらえるかもしれないぞ?」


 ライリー様は動揺している私を見て楽しんでいるようだった。


 酷いわ。

 私だけ意識してるみたいじゃない!


「ライリー様」

「ん?」

「私を一晩だけ猫に変えてください」

「……どうしてだ?」

「寝顔を見られたくありません」


 ぷいと顔を背けると、ライリー様が謝ってくる。


「からかって悪かった。大丈夫だよ。背を向けてくれていれば見ないから」

「寝返りを打つに決まってます! ですから、朝にライリー様に見られる可能性が高いんです!」

「俺に寝顔を見られるのがそんなに嫌なのか?」

「嫌とかいうわけではなく恥ずかしいんです」

「きっと可愛いと思うけどな」


 ライリー様のほうを見ると、優しい表情で私を見つめているから頬が熱くなる。


 こんな顔を見られたくないから、余計に猫にしてもらいたくなってしまう。


「絶対に可愛くありません!」

「わかったよ。猫にすればいいんだろう? 俺も正直、そのほうが有り難いからな」

「どういうことですか?」

「今は秘密だ」


 ライリー様は微笑んで呪文を唱えると、私の視界が狭まり、ライリー様を見上げる形になった。

 いつもの白猫だからか、猫になることに抵抗感はまったくない。

 お座りしてから、ライリー様をお礼を言う。


「にゃーん」

「猫になったら何を言っているのか、さっぱりわからないんだよな」


 ライリー様は苦笑したあと、私に手を差し出してくる。


「おいで」

「……にゃあ」


 躊躇していると、ライリー様は今度は楽しそうに笑う。


「猫の時は撫でさせてくれてただろ? 一緒に寝よう」

「にゃああ」


 それはちょっと……。

 猫の姿とはいえ、ベッドの上だと恥ずかしい……って、そんなことを考えている私のほうがおかしいわね!


 平常心よ。

 ライリー様は人間の状態だって、私に何かするはずないんだから、猫なら尚更よ!


「にゃう」


 ぴょんとライリー様のベッドに飛び移る。

 ライリー様はそんな私を優しく抱き上げてくれた。


「可愛いな」

「にゃうにゃう」


 ブルブルと首を横に振ると、ライリー様は私を抱いたまま立ち上がる。

 そして、姿見の前に立って私の頭を撫でながら尋ねてくる。


「ほら、可愛いだろ?」

「にゃあ」


 自分で言うのもなんだけれど、鏡に映る白猫はとても可愛かった。


「納得したか?」

「にゃう」


 首を縦に振ると、ライリー様は満足したのかベッドに戻る。

 そして、私を枕元に置くと、ライリー様も横になった。


「一緒に寝よう」

「……にゃあ」


 猫の姿なのにドキドキしてしまうのは、ライリー様のお顔がいつもよりもすぐ近くにあるからだわ。


 落ち着かなくてもぞもぞしていると、ライリー様は魔法で部屋の明かりを消してくれた。

 カーテンの隙間から漏れてくる月明かりに照らされている場所以外は暗闇に包まれる。


「おやすみ、マリアベル。明日はテッカの家に行くんだ。今日の疲れが残らないように早めに寝たほうが良い」

「にゃう」


 頷くと、ライリー様は私の頭を優しく撫でてくれた。

 私が楽な姿勢をとると、ライリー様は触れる範囲の部分を撫で回してくれた。

 気持ち良くて喉は鳴るし、ウトウトしてしまう。


 ああ、気持ち良い。

 それに今日は疲れたから眠いわ。


「にやあ」


 おやすみなさい、ライリー様。


 前足をライリー様の手に乗せると、額に優しくキスをしてくれた。


 ちゅっ。


 身を起こして、ライリー様の顎にキスをしたあと、ゆっくりと目を閉じる。


「……可愛すぎだろ」


 ライリー様のそんな言葉が聞こえたけれど、反応できないくらいに眠かった。


  


*****



 そして、次の日、目覚めた時には私は人の姿に戻っていた。

 しかも、ライリー様のベッドではなく、自分のベッドの上にいた。


「おはよう、マリアベル」


 ライリー様はすでに目を覚まされていて、服まで着替えている。


「……おはようございます、ライリー様」


 寝顔を見られたくなかったのに見られてしまったわよね?


「悪いな。眠ったら魔法が解けてしまったみたいだ」

「そ、そうなんですか?」


 よくわからないけれど、ライリー様の魔法はそんなものなのかしら?

 ゆっくりと上半身を起こして、時間を確認しようとした時、部屋の扉がノックされた。


 ライリー様が返事をすると、扉は開かれずに声だけ聞こえてくる。


「おはようございます。朝早くから申し訳ございません。わたくし、国王陛下の代理の者でございます」

「……どうかしたのか?」


 私が寝間着のままだからか、もしくは相手が男性だということ以外わからないからか、ライリー様は扉越しに尋ねる。


「……フェール殿下を見ませんでしたでしょうか?」

「フェール殿下? パーティーの時しか見ていないが? 何かあったのか?」

「それが……、昨日の晩にお部屋に戻られたのは確認しているのですが、朝、メイドが確認しますと、お部屋にいらっしゃらないのです。失礼なことを申し上げますが、昨晩、マリアベル様に会いに来られたということはなかったでしょうか?」


 男性に尋ねられて、私とライリー様は顔を見合わせた。


 

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