プロローグ
数ある中から足を運んでいただき、ありがとうございます。
視点変更が多いお話になります。
ご注意ください。
私、マリアベル・シュミルは、今年18歳になる伯爵令嬢だ。
ダークブルーの軽いウェーブのかかった長い髪に、同じ色の瞳。
長身の痩せ型で、顔立ちは美人だと言われていた母に似ていると言われるので、そう悪くない見た目なのだと思っている…のだけど、私の妹、エルベルが目立っているせいで、社交場で私が注目される事はほぼない。
エルベルも顔立ちはお母様似で美人な顔立ちな上に、小柄でスタイルが良く、お父様譲りの金色のふわふわの長い髪にいつも潤んでいるライトブルーの瞳。
男性だけではなく女性まで虜にしてしまう微笑みや潤んだ瞳のせいで、私は何度も彼女に嫌な思いをさせられていた。
嫌な思いをする理由は、私とエルベルが一緒にいて、エルベルが何か悪い事をしたとしたら、全て私のせいにさせられてしまうせいだ。
お茶会でエルベルが左隣に座っていた令嬢に紅茶をこぼしたとすると、右隣に座っている私がこぼした事になる。
こういう理不尽な事が何度も起こり、最近はエルベルと一緒にお茶会に行くのはやめた。
それだけでなく、私には婚約者がいるのだけれど、実は3人目だったりする。
1人目の婚約者はエルベルに恋をした。
2人目の婚約者もエルベルに恋をした。
2人共に私との婚約を解消し、エルベルに婚約して欲しいと求めた。
けれど、エルベルは2人からの婚約の申込みを断った。
なぜなら、お姉様に申し訳ないからと。
私と婚約解消した2人は「なんて優しい人なんだ」と言って、彼女との婚約は諦めたけれど、未だにエルベルに恋文を送っているみたいだった。
お父様は婚約解消されてばかりの私に問題があるとして、2人目との婚約が解消された時から、私に辛く当たる様になった。
きっと、エルベルがお父様に何か嘘の情報でも吹き込んだのだと思う。
私の住んでいる国、ジファルシシュには生まれつき魔法が使える人間が少数だけれどいる。
どんな魔法が使えるかは人によって違う。
私は今のところ魔力持ちではないようで、なにか目立った特徴はない。
エルベルに関しては魅了魔法を使えるという自覚はないようだけれど、ここまで周りに愛されているとなると、魅了魔法だとしか言いようがないと思う。
そんな彼女の魅了魔法ともとれる魅力に惑わされない人間も多くいる。
その中の1人が私であるし、亡くなった母もそうだった。
そして、私の3人目の婚約者もそうらしく「エルベル嬢も可愛いと思うけれど、俺はマリアベルの方が可愛いと思うよ」と言ってくれ、私との婚約関係を続けてくれている。
エルベルではなく私の事を好きだと言ってくれる男性に出会ったのは初めてだった。
自分で言うのも悲しくなるけれど、エルベルに魅力は感じないが、私にも魅力を感じないという男性も多かったから。
このまま、3人目の婚約者であるビークスと結婚するのだと思っていた、そんなある日、皇太子妃となる人を探すため、各国の未婚の貴族の令嬢を順番に招集していくという通達がきた。
そして、それから約20日後、私とエルベルの元にも招集状が届いたのだった。
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