最終話
短いですが、これで完結です。
「・・・・ねぇ、大輝?」
「大輝が見てた眺めも良かったのかな?」
玲奈は大輝との思い出の場所の一つである眺めの良いここで、夕陽に染まる彼と過ごした街並みを見渡しながら小さく呟いた。
大事に傷付けないよう右手に持つ大輝からのプレゼントの包装紙を丁寧に開けて四角いケースを開けて僅かに口元が緩む。
「あの時欲しかったピアス・・・・言ってなかったのに、大輝は気付いてたんだね?」
普段より大輝の視線を感じていた週末デートの日に立ち寄ったショップで見つけたこのピアスが欲しいと思うも、お小遣いで買えない値段だったため諦めて、しばらく経った後に買いに来るも売れて無かったのだった。
久しぶりに自然と笑顔になる玲奈はピアスを耳に付けてから、まるで傍にいる大輝に見せるかのようにクルッと回転する。
「・・大輝、どうかな? 似合う?」
「うん、似合ってるよ玲奈。可愛い・・」
耳元で聞こえた大輝の褒める声に玲奈は、目の前に立って照れている大輝にとびきりの笑顔を見せて、大粒の涙を流す。
「ありがとう、大輝。ずっと大好き!!」
褒められた恥ずかしさを隠す玲奈は、大好きな大輝の胸に飛び付き抱き締めると、懐かしい感触とずっと探していた優しい温もりとともに幸せな浮遊感に包み込まれた。
「もう玲奈は、相変わらず甘えん坊だよな? そんな抱き締めたら、大好きな玲奈の顔が見えないよ」
「だって、玲奈は大好きな大輝とずっと一緒にいたいんだもん!」
想いを伝える玲奈は大輝の顔を見上げ、オレンジ色の空が見えた瞬間に激しい衝撃が襲い、飛び散る意識と共に視界は暗転した・・・・・
暗く蒸し暑い夜を過ごして朝陽に照らされる学校に、朝練のため登校してきた生徒が赤黒く染まった正面玄関を発見したことで玲奈が赤く染まった状態で意識を失っているのを発見された。
玲奈が見つかった場所は幼馴染で彼氏だった大輝が亡くなったのと同じ場所であり、また彼女の姿勢から後追い自殺として学校中に広まり、この日以降、赤黒く染まった正面玄関は完全封鎖された。
それから数年の時が流れ、当時現場を見ていた教職員達は全員が異動して詳細は風化されつつあるも、冤罪から起きた悲恋は、先輩から後輩へとずっと語り継がれていたのだった・・・・。
幼馴染達シリーズのバッドエンド的なストーリーが思い浮かんだので、投稿しました。
そろそろメインである幼馴染の箱庭へ戻ろうと思います。
評価ありがとうございました。