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第94話・答えを求めて

 猫飯亭で弁当を受け取ったあと、アースラたちは三頭のウーマを借りて平原を走っていた。


「前方右に見える大きな木の方へ向かうのだ」

「うん、分かった」


 先頭を走るウーマの上に乗っているシエラはモコを抱いて乗っているフルレの指示に応じ、ウーマの向きを変えた。するとその後ろについて来ているアースラとシャロも向きを変え、それに続いた。

 そしてそのままフルレの指示に従って進むことしばらく、アースラたちは広い森の近くにウーマを止めて降り、そこからはウーマの手綱を引きながら森の中へと入った。


「――あの赤い実をつけた木の先に泉があったのだ」


 森へ入って進むことしばらく、フルレはそう言って目的の場所へ走り始めた。


「何もないのだ」

「そうですね、泉どころか水溜まりもありません」

「もう移動しちゃったのかな?」

「多分な、だが他の場所に比べて強い力を感じるから、この辺りに精霊泉があったと考えて間違いないだろうな」

「それじゃあ探索はこれでお終い?」

「ああ、これ以上探りを入れても仕方ないからな」

「ならば早くこの森を出て食事にするのだ、フルレはお腹が空いてたまらないのだ」

「私もだよベル君」

「わーったよ、引き返して森を出たらすぐ飯にする」


 精霊泉を発見することができなかったアースラたちは来た道を戻って森を出ると、周囲を警戒しやすい場所に陣取り、遅い朝食を摂り始めた。


「――ところで師匠、モコ君のことはどうするつもりなんですか?」

「念話なんて力を持ってる以上、他にどんな力を持ってるかも分らんし、置いて行くわけにはいかんだろ」

「それでは連れて行ってもよいのだな?」

「ああ」

「良かったね、フルレちゃん」

「うむ、これで安心したのだ、良かったなモコ」

『うん、ありがとう、フルレお姉ちゃん』

「言っておくが、モコの面倒はお前たち三人で見ろよ、それとモコの飯代もお前らが稼げ」

「分かったのだ」

「師匠、モコ君の面倒を見るのはいいんですけど、町へ連れて行く時はどうするんですか?」

「そうだね、モンスターを連れた人が増えてきたって言っても、まだまだ世間の風当たりは厳しいもんね」

「それについては考えちゃいるが、少し時間がかかるだろうな、だからその間は町で目立たないようにモコを隠しとけ」

「それってどれくらいかかるんですか?」

「そうだな、早くても3日はかかるだろうな」

「それじゃあその間は頑張って隠さなきゃね」

「そうですね――って、モコ君いつの間にか寝ちゃってますね」

「ホントだ、こうして見ると寝顔も可愛いね。わあっ、本当にモフモフで気持ちいいなあ」


 シエラはぐっすり眠っているモコへ手を伸ばし、その体を優しく撫でながら恍惚こうこつの表情を浮かべた。


「あっ、私も撫でたいです」

「フルレもなのだ」


 シエラの言葉を皮切りにシャロとフルレもモコの体を優しく撫で始め、三人揃って恍惚の表情を浮かべた。


「お前らモコを可愛がるのはいいがさっさと飯を食え」

「「はーい」」

「はーいなのだ」


 こうしてアースラたちは念話を使えるファジーロッパーのモコを連れて行くことになり、アースラはこの3日後、錬金術と魔女魔術学を応用して作った、モコの姿が愛玩あいがん動物のウーサに見えるようになる特殊な耳飾りを作り上げた。

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