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第79話・女王様の受難

 悪魔としての姿を見せたフルレを前に、エミリーは椅子に座ったまま驚きの表情を見せていた。


「ヤギーに似た角に黒い翼、鋭く先が尖った尻尾、人間や他の種族とも違った言葉、まさかこんなにちっちゃな子が本当に悪魔だなんて……」

「これで信じてもらえたか?」

「正直言って信じられない気分だけど、こういったことでアースラは嘘をつかないし、その姿を見たら信じないわけにはいかないわね」

「その言い草じゃ俺が他のことでは嘘ついてるみたいじゃねえか」

「実際そのとおりだと思うけど、違ったかしら?」

「ちっ、シエラといいエミリーといい、どいつもこいつも口だけは達者に育ちやがって」

「アースラと一緒に過ごした時期があるから こんな風になっちゃったのよ。それよりも、そちらのフルレティさんを同行させることになった経緯いきさつを説明してくれないかしら」

「ああ」


 こうして説明を求められたアースラは、順を追ってこれまでの経緯を丁寧に説明した。


「――なるほどね、まさかこんなことになるなんて想像もしてなかったけど、シャロさんやシエラさんが言うように、フルレティさんにはアースラの側に居てもらう方がいいでしょうね」

「エミリーもそういう結論になるか」

「アースラの実力を考えればそうするのが妥当だと思うけど」

「分からん話ではないが、何でも俺に押しつけられるのは正直困るな」

「それもそうよね……だったらアースラ、フルレティさんがこっちで過ごすための資金はある程度こちらで支給するから、それでフルレティさんの面倒を見てくれないかしら」

「資金的な援助は助かるが、悪魔に援助をしたりして大丈夫なのか?」

「エオスの民の悪魔に対する印象は色々とあるけど、フルレティさんに敵対する意志が無いなら、こちらから手を出す必要はないじゃない。それにできれば仲良くしておく方が色々といいじゃない? 多種族国家の女王としては」

「なるほど、ここで恩義を売っておいて、何かあった時はフルレの力を借りようってわけか」

「あら、何のことかしら? 私は純粋に仲良くできればと思ってるだけよ」

「よくもまあそんな見え透いたことをいけしゃあしゃあと……しかしまあ、多種族国家の女王としては有りな判断だな。そんじゃまあ、手始めに今回の件を解決するために使った道具代、千五百万グランを支払ってくれ」

「ちょ、ちょっと待って! 千五百万グランってどういうこと!?」


 アースラの口から飛び出したとんでもない金額にさすがのエミリーも驚きの声を上げながら立ち上がり、血色の良い顔色を青ざめさせた。


「さっき話した中で出てきた倍化玉が三つで千五百万グランなんだよ」

「そんなにお金がかかるなら一言相談してよねっ!」

「時間が無かったんだからしゃあねえだろうが、それにフルレによる人的被害は兵士以外に無かったし死者も出なかったんだ、それを考えれば経済的な打撃も少なかったわけだし、それくらい気前良く支払えってんだ」

「いくら私が女王でも、はいそうですかってすぐに用意は出来ないわよ! それに国家予算を使うのだって色々と面倒な手続きがいるんだから!」

「倍化玉の料金はツケにしてもらってるし、早いところ支払ってやりたいんだよ」

「何と言われてもすぐには払えません!」

「しゃあねえなあ、支払いを待たせるのは気が引けるしなるべく早く頼むぜ、その代わりに他にかかった経費は請求しないでやるからよ」


 こうしてエミリーはアースラが使った倍化玉の代金を支払うために奔走ほんそうし、二日後の夕刻にアースラの言った金額を用意することができた。

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