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第7話・魔法の理

 石畳いしだたみの道と様々な材料で造られた家や商店、木製の屋台などが立ち並ぶアストリア帝国領内にある町の一つ、円形城塞都市リーヤ。

 その宿の一室に寝泊まりをしていたアースラとシャロは、夜の座学を行っていた。


「よし、それじゃあ最後に以前教えたことをいくつか質問する。まずは魔法序列について簡潔に答えてみろ」

「はい、魔法には第1から第12序列まであり、序列が上がればそれだけ強力になり、かつ、扱いが難しくなります」

「じゃあ第11、12序列魔法とはどんなものだ」

「11、12序列に属する魔法は現在では消失魔法ロストマジック扱いとなっているものが多く、その多くが奇跡の力と言われるものが多いです」

「上出来だ、次に魔法士マジックエンチャンターとは何か簡潔に説明してみろ」

「マジックエンチャンターは魔法を操る者の総称で、一部例外はありますが、魔法は魔導書で習得するか、魔法の心得がある人に教わるのが基本になります。ですがこの行程を踏んでも、全ての人が魔法を使えるようになるわけではありません」

「よし、ちなみに俺が狩猟しゅりょうの森で魔獣を倒した時に使った魔法が何か分かるか?」

「第5序列魔法ホーリーライトか、ホーリーウインドのどちらかだと思いますが、あの時の状況を考えるとホーリーライトだと思います」

「その理由は何だ」

瘴気しょうきに覆われた魔獣を一瞬で消し去ったこと、そして魔法が使用された際の眩しい閃光を考えると、師匠が使った魔法はホーリーライトだと思いました」

「いい洞察だ」

「そういえば師匠って、どこまでの序列魔法が使えるんですか?」

「そんなの教えるわけねえだろ」

「どうしてですか?」

「マジックエンチャンターにとってどんな魔法を使えるかは勝負の重要な駆け引きになる、だからどんな魔法が使えるかなんて話すわけねえだろ」

「それはそうかもですけど、私にくらいは教えてくれてもいいじゃないですか、一応弟子なんですから」

「駄目だ」

「どうしてですか?」

「お前が他の誰かに口を滑らせる可能性もあるからだよ」

「私がそんなお喋りさんに見えますか?」

「だから可能性の問題だって言ってんだろうが、それに俺たちが戦う相手はモンスターや魔獣だけじゃない、人も含めた多くの種族も対象範囲なんだ。だからお前も無闇に自分の力について喋ったりするなよ、足元をすくわれかねんからな」

「はい、でもそれだと、私の使える魔法を知ってる師匠には勝ち辛いってことになりませんか?」

「まあそうだな」

「それってズルくないですか」

「ズルくなんてねえだろ、俺はお前の師匠だし」

「えー! やっぱりズルいですよっ!」

「うるせえ奴だな、今日の座学は終わりだ、さっさと寝ろ」

「あっ、逃げるんですか」

「どうしても知りたいなら力尽くで使わせてみろ」

「言いましたね? いつか必ず使わせてみせますから、首を洗って待ってるといいですよ」

「おーおー、いつも威勢だけはいいな、やれるもんならやってみろってんだ」

「やってやりますよ! その時になって吠え面をかいても知りませんからねっ!」

「その前にお前の吠え面を十万回は見てやるよ」


 こうして二人が借りている部屋からはしばらく言い争いの声が聞こえ、最終的に苦情を受けた宿の主人から厳重注意を受けた。

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