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第76話・幼女悪魔の我がまま

 悪魔フルレティと食事をしたあとでアースラたちは宿へ戻り、シャロとシエラが泊まっている部屋へ入った。するとフルレティは黒髪のツインテールを揺らめかせながら部屋にあるベッドへ真っ先に向かい、その上に飛び乗った。


「こんなに硬いベッドは初めてなのだ」


 簡素なベッドの上に寝転んだフルレティは、楽しそうにしながら右へ左へ転がり始めた。

 そしてアースラたちはそんなフルレティを見ながら部屋にある木製の丸型テーブルの椅子に腰を下ろし、揃ってベッドで寝転がっているフルレティの方へと視線を向けた。


「楽しんでるところを悪いがフルレティさんよ、しっかりと話をしておきたいんだ」

「フルレは美味しい物を馳走してくれたそちのことが気に入ったのだ、だから特別にフルレと呼ぶことを許してやるのだ」

「……分かった、それじゃあフルレと呼ばせてもらう」

「よろしいのだ、ところでそちの名は何と言うのだ?」

「俺はアースラ・ティアーズベルだ」

「ではフルレはそちのことをベルと呼ぶのだ」

「好きに呼んでくれ」

「うむ、ならばベル、そっちのちっこい娘とこっちの青目娘は何という名なのだ?」

「ちっこいのがヒストリア・シャーロット、そっちが――」

「私はシエラ・リース・クロエだよ、よろしくね」

「そちもフルレの言葉が分かるのか」

「うん、ちょっとだけなんだけどね」

「それはとても感心なことなのだ、ならばそちにもフルレと呼ぶことを許してやるのだ」

「ありがとう、フルレちゃん」

「うむ、ではフルレはそちのことをシエラと呼ぶのだ」

「うん」

「決まりなのだ、ついでにそっちのちっこい娘はリアと呼ぶのだ」

「師匠、私の方を見て何か言ってるんてすが、何を言われてるんですか?」

「これからはお前をリアって呼ぶんだとさ」

「そ、そうなんですか?」

「ああ、ところでフルレ、本当に魔界に帰るつもりはないのか?」

「うむ、こっちには美味しい物と面白そうな物が溢れているみたいなのだ、だからフルレはベルたちと一緒に居ると決めたのだ」

「俺たちは冒険者をやったり便利屋をやったりで、フルレが考えてるほど面白いことなんてやってないぞ」

「冒険者? 便利屋? 何なのだそれは?」

「簡単に説明すると、誰かの頼みを聞いて問題を解決する代わりに、それに見合った報酬を貰う仕事だ」

「ほほう、悪魔との契約とはちと違うようだが面白そうなのだ」

「別に楽しいもんじゃないぞ」

「フルレは魔界で退屈していたからちょうど良いのだ、フルレもベルたちと同じことをするのだ」

「同じことをするって言われてもな」


 アースラがどうしたものかと言った感じの表情を浮かべていると、シエラがアースラの方を向いて口を開いた。


「ベル君、フルレちゃんは帰る気がないみたいだし、とりあえずは一緒に行動してた方がよくないかな? こっちのことを知らないフルレちゃんを一人にしたら色々と大変なことになっちゃうかもだし、ベル君が一緒に居る方が安心だと思うけど」

「シャロ、フルレが俺たちと一緒に行動したいと言ってるんだが、お前はどう思う」

「えっ!? そ、そうですね……フルレティさんからは悪意のようなものは感じませんし、師匠とシエラさんが大丈夫なら私はいいと思います、ちょっと怖いですけど。それにシエラさんが言っていたように、何かあった時は師匠が居ないと止めようがないと思いますし、フルレティさんの魔界語がちゃんと理解できるのも師匠だけですから、師匠の近くに居てもらうのが一番いいと思います」

「揃いも揃って俺に押しつける気満々かよ、ったく、しゃあねえな」


 二人の意見がほぼ一致してしまったことに対し、アースラは深い溜息を吐いた。

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