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第73話・一人ではやれないこと

 フルレティの氷結結界を打ち消すための条件を揃えたアースラは、シャロとシエラの使うウーマを新たに借り、急いでフルレティのもとへ向かっていた。


「師匠、ふと思ったんですが、一つ質問してもいいですか?」

「今じゃないと駄目なのか?」

「はい、もしかしたらこの作戦自体が駄目になる可能性もあるので」

「言ってみろ」

「私とシエラさんが使う倍化玉ですけど、本当に師匠が聞いたような効果が出るんですか? もしもその商人さんが言ってたことが嘘だったり、想定している効果が出なかったりしたら、フルレティとの勝負は師匠の負けってことになっちゃいますけど」

「ああ、それなら心配ない、倍化玉の効果はもう試したからな」

「えっ、もう試してたんですか!?」

「使ったことがない道具をぶっつけ本番で使うわけねえだろうが」

「てことは、五百万グランの道具を三つも、しかも一つはもう使用済みって……」

「ベル君はお金の使い方が豪快になったね」

「あのなあ、必要な物に金を使うのは当たり前だろうが、それに代金は必要経費としてエミリーに請求するから俺には何の実害も無いしな」

「あっ、なるほど、さすがはベル君だ、その狡賢ずるがしこさは昔と変わらないね」

「シエラ、褒めてるつもりかもしれんがまったく誉め言葉になってないからな」

「大丈夫、褒めてないから」

「尚更悪いわ」

「あははっ」


 こうしてウーマを走らせることしばらく、三人は氷結結界を展開する悪魔、フルレティのもとへと辿り着いた。


「これがフルレティの氷結結界、中が吹雪いてて見えないし、それになんて大きさと魔力なの」

「師匠、こんなの本当に壊せるんですか?」


 実際に氷結結界を見た二人はその凄まじい規模と魔力を目の当たりにし、驚きを隠せないでいた。


「思ったよりも早かったのだ」

「な、何ですかこれ!? 何か聞こえてきましたよ!」

「これは魔界語?」

「シエラは分かるのか」

「それなりにはね」

「何やら騒いでおるようだが、どうしたのだ?」

「大悪魔様の威厳ある声に俺の弟子がビビっちまっただけさ」

「なるほど、まあそれは仕方なかろうなのだ。ところで、その二人は何なのだ?」

「一応俺の協力者だが、俺一人で結界を消さなきゃいけないってことはないよな」

「いかな方法でも使うがいいと言ったのは我なのだ、だから誰に協力してもらおうと構わぬのだ。だが、その程度の人数で我の結界を消し去れると思っておるのか?」

「俺はその結界を消すために戻って来たんだぜ、その俺が戻って来たってことは、その結界が今から消えてなくなるってことだ」

「面白い、ならばやって見せるがいいのだ」

「ああ、ちなみに俺がここを離れてから結界の位置は変わってないか?」

「ピクリとも動いてはおらぬから安心するがいいのだ」

「よし、それじゃあ見事に結界を消し去ってやるからよーく見てろよ? シャロはここから右側面へ行け、シエラは左側面を頼む」

「はいっ!」

「分かった」


 アースラの指示を受けた二人は即座に移動を始め、それぞれが移動した結界面のちょうど真ん中辺りで足を止め、道具袋から倍化玉を取り出した。

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