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第70話・謎の旅商人

 フルレティの氷結結界を消し去る準備のため、アースラは急いでアストリア帝国へ戻って来た。

 アースラの考えていた結界を消し去る方法にはいくつか条件があり、そのためにはシャロとシエラの協力がどうしても必要だった。ゆえにシャロとシエラを見つけなければいけなかったが、シャロはアースラが戻って来て間もなく街中で見つけることができた。


「何やってんだ?」


 大きな薄茶色のリュックを背負った一人の中年男が熱心にシャロへ話し掛けているところを見たアースラは、すぐさまシャロへ向かって声を上げた。すると困った表情をしていたシャロはアースラを見て安堵の表情を浮かべ、すぐさま走り寄って来た。


「師匠、助けてください」

「何だってんだ?」

「おおっ! あなたは昨晩アストリア兵たちを助けた英雄の一人ではありやせんか」

「あんたは?」

「おっと、これは失礼、あっしは世界を股にかける旅商人でマルロ・マルレイと申すでやんす。以後お見知り置きを」

「で、その旅商人がこんなお子様に何を売りつけようとしてんだ?」

「実はあっし、皆様のご活躍を聞いて役立ちそうな道具をお買い上げいただきたいと思い、こうして売り込みをしておりました」

「そういうことか、残念だが俺たちは悠長ゆうちょうに買い物をしている暇はない、悪いが他を当たってくれ」

「あなた方はストリクスが呼び出した悪魔、フルレティを捜しておられると聞きやしたが、絶対お役に立ちますぜ」

「どこでその話を聞いた?」

「へへっ、どこの誰に聞いたかは言えやせんが、商人は新鮮な情報を仕入れる速さに、それを適切な時に提供することが重要でやんす。しかもそれを特定の人物へ売りたいとなれば、できる限り調べは入念にしておくものでやんすよ」


 マルロは自身の商人魂を熱く語ると、ニヤリとした表情を見せた。


「なるほど、自分の仕事に情熱と信念を持ってるってわけか。シャロ、大事な話があるからシエラと合流して猫飯亭で待ってろ」

「師匠はどうするんですか?」

「俺はこの商人が扱う道具を見て来る」

「話が分かるでやんすねえ、あっし自慢の道具の数々、絶対にお気に召す一品と出会えやすぜ」

「本気ですか師匠」

「こんな時に冗談言ってどうすんだ、いいからさっさとシエラを探して来い」

「わ、分かりました」


 アースラが早く行けと言った感じで右手を振ると、シャロは不満げな表情でシエラのもとへ向かった。


「さてと、アンタの言う自慢の道具はここで見せてもらえるのか?」

「あっしの扱う道具はそんじょそこらには売ってない貴重な品ばかりでやんすから、人目につく場所でお見せするわけにはいかないでやんす」

「だったらどこへ行けばいいんだ」

「あっしの知り合いがやってる店が近くにありやす、まずはそこへ行きやしょう」

「分かった、だが今の俺には時間がない、案内や道具の紹介は手短に頼むぞ」

「かしこまりやした、時は金なりと言いやすからね」


 そう言うとマルロは素早くきびすを返し、アースラを知り合いがやっている店へと案内し始めた。

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