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第55話・弟子の成長

 両目を閉じて意識を集中していたアースラは、永劫の氷花が根から吸い取っている魔力を追って根の位置を細かく探っていた。


 ――師匠の魔力が地面に伝わっているのが分かる、もしもこれだけ大量の魔力を使ってるところをモンスターに襲われたら、いくら師匠でも無事ではすまない、私がしっかりと師匠を守らなきゃ。


 凄まじく集中しているアースラの様子を見たシャロは、重くのしかかるプレッシャーを感じながら静かに周囲を警戒していた。


 ――かなり深い所まで根が伸びてるみたいだが、これならなんとか間に合わせることができそうだな。


「よしっ、根の位置は分かった、俺はこれから永劫の氷花を掘り出す、シャロは引き続き周囲の警戒を続けろ」

「分かりました」


 こうしてアースラは永劫の氷花の採取を開始し、持って来ていた魔道具で根を傷つけないようにしながら慎重に掘り進め、あと少しで採取が完了するところまできたが、そこへやって来た魔晶ゴーレム二体とクリスタルウルフ三体に運悪く見つかってしまった。


「ちっ、あともう少しだってのに、シャロ、モンスターを絶対にこっちへ近づけるな! できるだけ振動がないように倒すか追っ払うかしろ!」

「分かりました!」


 返事をしたシャロは持っていた槍を構え、今にも襲い掛かろうとしているモンスターたちへ向かって走り始めた。


 ――時間をかければそれだけ採取の邪魔になる、ここは師匠から注意を逸らさせて一気にけりをつけないと。


 そう考えたシャロは左手で魔法を放つと見せかけるため、炎を出してモンスターたちの左側面へ移動を始めたが、モンスターたちはシャロを警戒してはいるものの、その場を移動する様子を見せなかった。


 ――どうして動かないの? まさか動けない師匠を確実に仕留めようってこと?


 思惑と違って動かないモンスターたちを前にシャロは戸惑いを見せていたが、迷っている時間を作るとそれだけこちらが不利になると思ったシャロは、思い切って攻撃を仕掛けようと考えた。


「マテリアルブースト!」


 考えを纏めたシャロは持っている槍を魔法で強化してから素早い動きで距離を詰め、ゴーレムの背後に回り込んでからその背に槍を突こうとした。


「っ!?」


 しかしその攻撃はゴーレムと一緒に居たクリスタルウルフによって妨害され、シャロの初撃は失敗に終わった。


 ――先にクリスタルウルフを倒さないとダメかも。


 素早く見事な妨害を受けたシャロは、二度目の妨害を防ぐためにクリスタルウルフへと矛先を変えた。


「フレイムエンチャント! クイックアップ!」


 シャロは魔法で強化した槍先に火属性を付与し、更に自身の素早さを魔力で上げると、即座にクリスタルウルフへ攻撃を仕掛けた。


「ギャワン!!」


 元の素早さでは勝るクリスタルウルフも、魔法で強化されたシャロの動きは捉えられなかったらしく、一瞬でその体を貫かれて炎に包まれた。

 シャロは続けて残りのクリスタルウルフを素早く倒し、それと同時にフレイムエンチャントを解いてゴーレムの背後に回り、同じ箇所に連続攻撃を繰り出した。すると七回目の攻撃で傷が入り、八回目の攻撃でそこを突いて一体目のゴーレムを撃破した。


「次っ!!」


 シャロは休むことなく二体目のゴーレムを視界に入れ、一体目と同様に連続攻撃を繰り出してゴーレムを撃破した。


「撃破完了!!」


 こうして無事に魔晶ゴーレムとクリスタルウルフを撃退したシャロの活躍により、アースラは永劫の氷花の採取に成功し、それを持って来ていた専用の魔道具に移し替えてから急いで山を下りた。

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