第49話・情報収集
猫飯亭でカリンから詳しい話を聞いたアースラは、いつものように依頼内容の確認を始めた。
「それじゃあカリン、依頼は永久氷山にある永劫の氷花を採取して持ち帰り、病気で寝込んでいるメグルを元気な体に戻すということで間違いないな?」
「はい、間違いありません」
「了解した、それじゃあ仕事をやる前にいくつか質問があるから、分かる範囲で詳しく答えてくれ」
「はい」
「メグルはどれくらい前から体調を崩してるんだ?」
「えっと、確か1ヶ月くらい前からだったと思います」
「その1ヶ月間に何か変わったことはなかったか?」
「変わったことですか? うーん……特になかったと思いますけど……あっ! そういえばお姉ちゃんが体調を崩すちょっと前に、妙な人たちが孤児院に来たことがありました」
「妙な人たち?」
「はい、深い灰色のローブを着たちょっと気味の悪い人たちです」
「そいつらに何か目立つ特徴はなかったか?」
「うーん……そういえば、その中の一人がお姉ちゃんと握手をした時に見えた腕にフクロが描かれているのが見えました」
「フクロか……カリン、このあとメグルに会って話をしてみたいんだが、それは大丈夫か?」
「お姉ちゃんにですか?」
「ああ、仕事をするために直接会って聞いておきたいことがあるんでな」
「体調にもよりますけど、少しなら大丈夫だと思います」
「分かった、それじゃあさっそく行こう」
「はい、分かりました」
こうして正式にカリンの依頼を受けたアースラたちは猫飯亭をあとにし、カリンたちの住む教会へ向かった。
× × × ×
「お待たせしました、中へどうぞ」
カリンと一緒に教会へ来たアースラたちは、メグルの様子を見て来たカリンの案内で部屋の中へと入った。
「皆さん、カリンのお願いを聞いていただいてありがとうございます。ゴホゴホッ!」
「体は起こさなくていい、横になってくれ」
「そうですよ、無理しないでください」
そう言うとシャロは素早くメグルへ近寄り、両手でその体を支えてゆっくりと寝かせた。
「ゴホゴホッ! すみません」
「気にしないでください」
「具合の悪いところすまないが、依頼を果たすために少し話を聞かせてもらっていいか?」
「はい、私にお答えできることなら」
「すまない、なるべく手短に済ませるから少しだけ我慢してくれ」
「はい、分かりました」
メグルの返事を聞いたアースラはベッドの横にある小さな椅子に座ってメグルを見据えた。
「体調が悪くなったのは1ヶ月くらい前からだと聞いたが、それは間違いないか?」
「はい、間違いありません」
「具合が悪くなる前に深い灰色のローブを着た妙な連中がここへ来たらしいが、そいつらとはどんな話をしたんだ?」
「あの人たちは『世界中の人々を助けるための旅をしている』と言っていました。そしてそのために孤児院などを回り、色々と生活の手助けをしていると言っていました」
メグルの言葉を聞いたアースラは何かを思い出そうとしているかのようにし、右手の人差し指の背を顎に当てた。




