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第37話・大切だからこそ

 全てというわけではないが事情を話したアースラに対し、シエラは寂しそうな、それでいて悲しそうな表情を浮かべて口を開いた。


「そっか、それを探すためにベル君は裏の仕事をやってたんだね」

「ああ、でもこのことは誰にも言うなよ、特にシャロにはな」

「シャロちゃんが大事だから裏に関わらせたくないんでしょ?」

「そんなんじゃねえよ、アイツが裏のことを知ったら面倒くさいってだけだ。それに裏の仕事をやってる理由には俺の個人的な目的も含まれてるから、それにアイツをつき合わせる必要はないってだけだ」

「相変わらずベル君は嘘をつくのが下手だよね」

「嘘なんてついてねえよ」

「まあそういうことにしておくよ」

「ちっ、それよりもシエラ、俺に果たしてほしい約束ってのは何なんだ?」

「それはとりあえず後回しでいいよ、それに今その話しても意味がないってことがよく分かったから」

「どういうことだ?」

「それはまだ内緒だよ。それよりもベル君、言われた通りに裏の仕事はもうしないつもりだけど、その代わりにベル君の探しものの手伝いをさせてもらえないかな?」

「あのなあ、俺の探しものを手伝うってことは裏と関わることにもなり兼ねないんだぞ、それじゃあ意味ないだろうが」

「だったら私は裏の仕事を続けてでも俺ベル君の手伝いをするよ? それでもいいの?」

「ぐっ、大人になったら急にさかしくなりやがって」

「それが大人になるってことだよ。それでどうするの? 手伝いを認める? それとも認めずに私が独断で動くのを許す?」


 シエラは『もう答えは決まってるよね?』と言った感じでアースラにグイっと顔を近づけ、返答を迫った。


「ちっ、わーったよ、俺の負けだ。ただし俺の手伝いをしたいなら、それなりの実力がないと足手まといになる、だから明日その実力を試させてもらうことにするが、それでもし俺が頷くだけの実力が伴ってなかったら、その時は素直に手伝いを諦めてくれ、頼む」

「……うん、分かった。でも実力が伴っていたら、その時は素直に私の手伝いを受け入れてね」

「分かった」

「よしっ、それじゃあ私はそろそろ宿に帰ろっかな」

「いや、今日はもう遅いからここに泊まって行け、俺が使ってるそこのベッドを使っていいから」

「昔みたいにベル君と一緒に寝ていいってことかな?」

「こんな狭いベッドに二人で寝れるか、俺は隣の部屋を借りて寝るんだよ、それに昔のはお前が勝手にベッドに潜り込んでただけだろうが」

「私は狭くても構わないよ?」

「俺の安眠を奪おうとするんじゃねーよ、それじゃあ明日のためにしっかり寝とけよ」

「はーい」


 シエラの誘いを軽く流すと、アースラは部屋を出て一階へ下りて行った。

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