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第132話・弟子を追って

 黙ってアースラたちのもとを去ったシャロがアストリア帝国を出てから1日と少しが経った夕刻、シャロを捜していたアースラたちもようやくアストリア帝国へ到着した。


「思ったよりも時間がかかったのだ」

「仕方ないよ、途中でモンスターに襲われてたキャラバン隊を助けた上に護衛までしてたんだから」

「ったく、キャラバン隊の奴ら、もう少し強い護衛を雇えってんだよ、依頼料をケチるから護衛に逃げられた挙句に危ない目に遭うんだ」

「できるだけ出費を抑えたいってところはいかにも商人らしいじゃない?」

「それで命を落としたら話にならんと思うがな。それに結果として俺たちに高い護衛料を払う羽目になったんだから、あの商人たちは商売人としては三流ってことだ」

「ふふっ、言ってることは厳しいけど、確かにそうかもね」

「そんなことよりもベルよ、どうやってリアを捜すのだ?」

「三人で手分けして捜す?」

「いや、その必要はない、アイツが行く場所は一つしかないからな」

「それはどこなのだ?」

「シャロが死者蘇生に関する情報を得ようと考えていたなら、真っ先に行く場所は冒険者組合しかないってことさ」

「なるほど、確かにそうだね」

「行く場所が決まっているならさっさとリアを迎えに行くのだ」


 こうしてアースラたちは目的の冒険者組合へ急ぎ足で向かい始めた。そして辿り着いた冒険者組合に入った三人は、空いている中央カウンターへと向かった。


「ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「この二日間にショートカットの明るい茶髪をした女の子が訪ねて来なかったか?」

「女の子ですか? 歳はいくつで、背丈はどれくらいの子ですか?」

「歳は十一で背丈は俺の腰くらいだ」

「うーん……それくらいの女の子がここへ来れば目立つはずですが、自分の記憶にはないですね」

「別の職員が見てるかもしれない、悪いが全員に聞いて来てもらえないか?」

「さすがにここの職員全員に聞いて回るのは無理ですよ」

「そこをなんとか頼む、なんだったら俺たちが直接聞いて回ってもいいんだ」

「そ、それは困りますよ、業務に支障がでるかもしれないので」

「どうかしたの?」


 男性職員が困り顔を浮かべると、その職員よりもやや年上に見える女性が声を掛けてきた。


「あっ、サリィ先輩、この方たちが人を捜してるみたいなんですが、職員全員に聞いて回りたいって言ってるんですよ」

「職員全員に? 分かった、ここは代わるからこの資料を五番カウンターと三十番カウンターに持って行って」

「分かりました、お願いします」


 そう言うと男性職員は資料を受け取ってその場を去り、サリィは男性職員が座っていた席に座った。


「すみません、後輩に代わって私がお話を聞かせていただきます。人を捜してらっしゃるとのことですが、どのような方をお捜しでしょうか?」

「歳は十一、ショートカットの明るい茶髪で、背丈は俺の腰くらいの丁寧な喋りをする女の子だ」

「丁寧な喋りをする、ショートカットで茶髪の女の子ですか? ……もしかしてあの子のことかな?」

「何か知ってるのか?」

「はい、昨日のお昼頃、私が受付をしていたカウンターにそんな感じの女の子が来たんです」

「そいつとはどんな話をしたんだ?」


 アースラがそう尋ねると、サリィは周囲を気にしながら身を乗り出し、顔を近づけて小さく口を開いた。


「失礼ですが、あなたはその女の子とはどのようなご関係ですか?」

「俺はアイツの戦いの師匠で保護者だ」

「……分かりました、あまり大きな声で言わない方がいいと思うので、このまま話しますね。実はその女の子、死者蘇生に関する情報を集めていたんです」


 ――やっぱりか。


「その子はどこへ向かうとか言っていたか?」

「いいえ、話を聞いたらすぐにここを出て行ったので、どこへ向かったかは分かりません」

「そうか」

「お役に立てずすみません」

「いや、アイツがここへ来たことが分かっただけでも良かった、助かったよ」

「それなら良かったです。それとあの子、凄く沈んだ表情をしていたので早く見つけてあげてくださいね」

「ああ」


 こうしてシャロだと思われる人物がアストリアへ来たことが分かると、三人はそのまま冒険者組合をあとにした。

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