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第103話・ニアの思いとシャロの思い

 村に来て15日目の夜、村長宅に数人の村人が集まり難しい表情をしながら話をしていると、そこに見張りを終えたアースラがやって来た。


「村長、少し話があるんだが――ああ、取り込み中だったか?」

「これはアースラさん、どうかされましたかな?」

「いや、大事な話をしてるみたいだからこっちの用事は後回しでいい」

「いやいや、大丈夫ですよ、それでどのようなご用件ですかな?」

「明日リーヤに買い出しに行きたいんだが、大丈夫だろうか? もちろん村の警護をおろそかにはしないと約束する」

「リーヤへ買い出しですか? これはちょうど良かった」

「ちょうど良かった?」

「ええ、実は我々もリーヤへ必需品の買い出しに行かなければならなかったのですが、今回は買い出す品が多く移動の足が遅くなりそうだったので困っていたのですよ」

「なるほど、つまり俺たちに護衛を務めてほしいってことだな?」

「はい、皆様に問題がなければ是非お願いしたいのです」

「こちらは何の問題もないし、警護についても任せてもらっていい、目的地は一緒だからな。だが護衛の人数が増えると守る側も大変になるから、人数は最小限にしてもらいたい」

「はい、ではそのようにいたします」

「それじゃあ、あとで買い出しの荷がどのくらいになるか、誰を連れて行くのか、どの経路を通るのかを教えてくれ」

「分かりました、決まり次第お伝えします」

「分かった」


 村長の言葉に短く答えると、アースラは部屋を出て晩御飯を食べるために食卓へと向かった。


× × × ×


 翌日の朝、リーヤへ買い出しに向かう村人が準備をしていると、村長の家から大きな泣き声が聞こえ始めた。


「ニア! 我がままを言うんじゃありません! これは遊びじゃなくてお仕事なんだから!」

「ヤダッ! ニアもシャロお姉ちゃんと一緒に町に行くの! どうしても行きたいのっ!」


 シャロは自分たちについて来ると言って聞かないニアと母親のターニャのやり取りを前に狼狽うろたえ、どうすればいいんだろうと言った感じの困った表情を浮かべていた。するとそんな二人のやり取りを見ていたアースラが、すぐ隣に居た村長へ視線を向けた。


「村長、ニアは町に行ったことがないのか?」

「はい、生まれてからずっとこの村から出たことはありません、子供を連れての買い出しは大人だけで行くよりも危険や手間が増えますからな」

「まあそうだな」

「……師匠、なんとかなりませんかね?」

「なんとかってのはどういう意味だ?」

「その、ニアちゃんを一緒に連れて行ったら駄目ですかね?」


 ――そういうことだろうとは思ったが、安直にいいって言うのは無責任だし、同情心や優しさだけで受け入れようとするのは問題だしな……よしっ。


 少し考えを巡らせたあと、アースラは言い争いを続けるニアとターニャに近づいて行った。

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