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13歳、いっぱいいっぱいなんですが!





予想外のことが起きすぎて疲れたのか、びっくりするくらいぐっすりと眠ってしまった翌日、私とエミリちゃんは生徒会室に招かれていた。多分、話とやらをしてくれるんだろう。

迎えに来てくれたロイの後ろを歩きながら、私は溜め息を隠せなかった。

文化祭はやっぱり中止になったので学園に生徒はいない。辺りは静まりかえっていた。


「……昨日まであんなににぎやかだったのにな……」

「まぁ、あんなことがあったらしょうがないでしょ」

「そうだけど……まだ全然楽しんでなかったのに、って思ったら残念じゃない」


特に私は、文化祭が始まってすぐに気の詰まるお茶会に引っ張られた訳だし。


「生徒会としても残念ですよ。あんなに長期間準備に追われていたのに、それが全部ぱあですからね」

「……」


確かにそうかも。文化祭のため、全然関係ないロイまで駆り出されていたことを思い出して兄にちょっと同情した。


「まぁ、大怪我した生徒もいないですし、穴に落ちたお嬢様たちも無事だったのでよかったと、会長もおっしゃってはいましたけど……」

「……」


やっぱりされた兄の長い説教を思い出して、苦い顔になる。

半分くらい、文化祭がぱあになった八つ当たりもあったのではないか、とちょっと思った。


「……そういえば、ロイは今回のことについて、何か分かってるの?」

「あー……詳しいことはまだですけど、なんとなくは聞いてますよ」

「そうなの?」

「……まぁ、お嬢様たちと別れたあと、こっちはこっちで大変だったんで。あんなもの見るわ、皇太子殿下は押し倒されてるわで……」

「……へ」


なんか今の話の中で、出てくるとは思ってもいなかった言葉が聞こえたような……?

私が首を傾げてロイを見ると、ロイはしまった!とでも言いたげな顔をした。なにそれ。なんでそんな顔?

なぜか詰め寄って詳しい話を聞きたいところだったけど、このタイミングで生徒会室に到着してしまった。

生徒会室にいるんだろう兄たちをこれ以上待たせる訳にもいかなく、私は口を閉じる。

ロイは見るからにほっとした。 


(いやいや、生徒会室で今の話の詳しいところが話されなかったら、絶対尋問してやるんだから)


私は固く誓った。





ノックをして、扉を開ける。

と、よく分からないが、揉めていた。

そこで、返事を待たずに開けてしまったことに気付いて、まずかったかなと思ったのだが、すぐにこちらに気付いた面々は、さっと口を閉じる。

よく分からない空気に戸惑いかけたが、とりあえず無難に挨拶することにした。


「……ええと、お話し中申し訳ありません……リーリア・エルディ、並びにロイド・エルディ、エミリ・アーデム、ただいま参りました」


生徒会室に居たのは四人だ。

上座に座っている皇太子と、その背後に立っているディー。その斜め前に隣国の王女。そして、我が兄がいつもの生徒会長席に座っている。

その中で返事を返してくれたのは、皇太子だけだった。


「……うん。おはよう、リーリア、ロイド、アーデム嬢」


「……おはようございます」


あれ、なんか変な顔になった気がする。

流石に失礼だと分かっているので、礼で誤魔化した。

幸い、皇太子は気にしていないらしい。席に座るよう促してくれる。

兄はなんか笑ってるみたいで、肩が小刻みに揺れてたけど。

そんな兄の対面で、皇太子と隣国の王女の横顔が正面に見える席に、エミリちゃんと並んで座る。ロイはまた、私の背後に立った。座ればいいのに。


「……まずは……二人とも、本当に怖いをさせてしまったね。本当にすまなかった」

「え!いえ!そんな!大丈夫です!」

「私も大丈夫です!」


そもそも、皇太子のせいとかじゃないのに、頭を下げられるといたたまれない。

エミリちゃんと慌ててとりなすと、隣国の王女がふんっ、と鼻で笑った。なんで?


「お嬢さん方、もっと謝ってもらいなさいな。今回の騒動の原因は、元を正せば、このお方なんだから」

「……スティアラ王女」


ディーがすぐに嗜めるように呼んだけど、隣国の王女に言動を撤回するつもりはないようだ。

どういうことなんだと聞けないまま、エミリちゃんと一緒に戸惑っていると、皇太子が苦く笑った。


「……そうだね。その通りだ」

「……殿下」

「ねぇ、リーリア、アーデム嬢。夏の休暇前に、君たちが男子生徒に捕まってしまった事件があったよね?」


私とエミリちゃんは頷いた。忘れもしない。死にかけた日でもあるけど、エミリちゃんと仲良くなれた日でもあるし。


「……そのとき、リーリアには学園から生徒が突然消えているという話をしたね。それで、僕たちはこれまで、その件と合わせて、二人が捕まってしまった件とを調べていた。その犯人が、今回、この騒動を引き起こしたんだよ」

「……」

「犯人は……マルク・リディガーとアンリエッタ・ソフィレ……この二人だった」


私は信じられない思いでエミリちゃんと顔を合わせた。

だって、そんな設定ある?リディガー様って、攻略対象だったんじゃないの?

エミリちゃんも顔をひきつらせていたので、多分ゲームの設定じゃないのだろう。

つい、兄を見てしまった。初対面から兄を助けてくれていたリディガー様。兄との付き合いは、きっと長い。

そんなことに、気付いてしまったからだ。


「……」


私が考えていることが分かったらしい兄は、困ったように眉をひそめた。

おおかた、俺のことは気にするなとでも思ってるんだろう。


「……どう、して………」


私は、そんなことしか言えなかった。






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