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「え……っ」

「そういえば、エルディ嬢はアーデムさんと仲がよかったですわよね?」


いや、エミリと仲がよかった覚えは微塵もないんだけども。

私が答えられない間にも、令嬢は好き勝手に話している。


「なんでも、学園の外の殿方の元へ行ったとか」

「私は、あまりの素行の悪さにこっそり家に帰されたと聞きましたわ」

「まぁ……」


出るわ出るわ、エミリのよくない噂。というか、入学してまだそんなに経ってないはずなのに、なにをしたらこんなことになるんだろうか。

色々気になるところだが、ともかく、こうしてはいられない。


(やっぱり!巻き込まれるなら、そりゃ私じゃなくて、主人公よね!)


「エルディ嬢?」

「あ、あー、あの、向こうの方で、兄が呼んでおりまして!」

「え?」

「っいえ!もう見えない所へ行ってしまったようです。ヴァルティス様。家の急ぎの用事かもしれませんので、恐れながら、中座させていただいてもよろしいでしょうか?」

「……家のことなら仕方がないわ。許します」

「本日はとても楽しい時間をありがとうございました。失礼いたします」


私は焦る内心を誤魔化して優雅に見えるよう礼をとった。兄の、というか家のせいにして罪悪感はあるが、緊急事態なのでしょうがない。兄には弁明して、後からちゃんとフォローしてもらうことにしよう。


(急がなきゃ!)





「アーデム嬢が?」


お茶会を中座したのに会うのが皇太子じゃバレたときに恐ろしいので、ディーだけ探していたのだが、皇太子にあっさり見つかってしまった。

「アウクリア先生とお話を」と再三か言ったにも関わらず、皇太子はさっさと私をこの間のサロンへ促した。まぁ、ディーもすぐ来たけど。

この間のサロンには、ディーと皇太子と私の三人。ロイはともかく、言い訳に使ったのだから兄は呼ばなきゃいけないような……?でも、生徒会で忙しいと言われればなにも言えなかった。多分ロイもこき使われてるんだろうな。

ともかく、主人公だ。


「はい」

「おかしいわね、私の情報では、エミリ・アーデムの名前は出なかったけど……」


そう言うディーは普通の男教師の格好だった。見慣れない格好なのに、口調だけは一緒なので妙な感じだ。それどころじゃないので気にしないことにするが。


「悪い噂も一緒に流れているからかもしれませんわ。男性と学園を出たとか、家に連れ戻されたとかなんとか……そちらの話のほうが目立って、危機感がないのではないかと……」

「……リーリアは悪い噂は事実ではなくて、アーデム嬢は生徒がいなくなる一連の事件に巻き込まれたと思ってるんだね?」

「……はい」


(というか、主人公なんだから絶対そうでしょ。私がターゲットって、どう考えてもおかしかったし)


皇太子はディーと顔を合わせる。ディーはこっくり頷いた。


「……分かった。なにか手がかりがあるかもしれない。アーデム嬢を探すようにするよ。教えてくれてありがとう」

「いえ……」


私がターゲットと勘違いされたばっかりに、イベント発生に気付くのが遅れた可能性もある。皇太子にはさっさとエミリを助けてもらわないと寝覚めが悪いというものだ。


「……」


私がターゲットって勘違いだったみたいだし、イベントは皇太子が対処してくれるはず!これで私のピリピリした日常は終わりだわ!

と、意気揚々と部屋へ帰った──この期に及んで、犯人が捕まってないんだからまだ危険なのに変わりはないと心配されて、皇太子に部屋まで送り届けられそうになったけどなんとか回避した、というひと騒動があってものすごく疲れた──のに、まさか、こんなことになろうとは思ってもなかった。



『リーリア・エルディ


エミリ・アーデムを助けたくば、旧図書館まで一人で来い。このことを誰かに話したり、一人で来なかった場合、エミリ・アーデムの命はない。



なんで?!

これ、恋愛乙女ゲームのはずよね?!






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