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13歳、必要ならばバトりましょうとも!





肝試しの日から一週間。

ターゲットってどういう意味だったっけ?と、思うくらいには平和な日々が続いていた。


(って!平和過ぎない?肝試しの前と全く変わってないんだけども?!)


皇太子とディーの話では、未だに犯人もいなくなった人も見つからないらしい。それどころか、最近では今までに増して全く動きがないようで、完全に手詰まりみたいだった。


「エルディ嬢?どうかされました?」

「い、いえ。なんでもありませんわ」

「そうですか?それならよかったですわ」

「はは……」


愛想笑いで誤魔化す。

いけない、いけない。いくら現実逃避したくとも、本当に意識をそらしてどうするのだ。

私はお茶会に来ていた。

いつだったか、主人公であるエミリを囲んでいたうちの一人である公爵令嬢、ヴァルティス様のお茶会である。あのとき誘ってくれたのは社交辞令とかではなかったらしく、本当に誘ってくれたのだ。ちょっと心配そうな兄とロイをよそに、私はうきうきと参加した。だって、そんな明るいうちから、令嬢たちの集まるお茶会で、なにがあるっていうの?

ヴァルティス様のお茶会は、高位の貴族令嬢のお茶会らしく、参加しているのは同じように高位のご令嬢たちだ。マナーには恐ろしく気を使わないといけないが、出されるお菓子は美味しいし、なにより、ヴァルティス様がお気に入りだという、お茶がとにかく美味しくて、大満足だ。

ただ、盛り上がった末の、ある話題についていけないのだけが問題だった。


「ねぇ、ヴァルティス様、それで?どうしたのです?」

「ふふ。それで、殿下は私に笑いかけてくださって「いつもありがとう」と言ってくださったのですわ」

「きゃあ!素敵!」

「素敵ですわ」

「素敵といえば、生徒会のマルク・リディガー様もとてもお優しくて……」

「あら、会長のアヴェル・エルディ様だって本当にお優しいんですのよ。この間私が困っていると、笑顔で助けてくださって」


いや、最後の誰の話?本当に兄の話だろうか。まぁ、妹には意地悪でも、他の人には優しいものか。

ではなく!


「……ふふふ」


笑い声が棒になっていないかちょっと不安だ。

最初こそお茶の話とか、それこそ学年の雰囲気とかの話だったのに。それがどうして、こんな色めきたった話になってしまったのか。

さっきから、ものすごく帰りたい。


「そういえば、エルディ嬢は殿下と親しくされているんですよね?」

「……えっ。いや、皇女殿下と親しくさせていただいてるので、その関係で少しお話させていただいているほうではあるかもしれませんけども」

「……まぁ、そうだったんですね。道理で学年も違うのに殿下と親しげにお話されているわけですわね」

「……えっと、まぁ……」

「皇女殿下のご友人なら、殿下も無下には出来ませんもの、ねえ」

「……」


思わず笑顔がひきつった。エミリを囲んでいた内の一人、確か侯爵令嬢のフローラ・ジェミリア。よくありがちな感じの、公爵令嬢の取り巻きだと思ってたけど、さっきから言動になんとなく悪意があるような気がする。この人に何かしたっけ?

皇太子やセルシアさまと親しくしていて、国王夫妻に声をかけられたせいで、私はある意味有名になっちゃったっぽいけど、悪意を向けられるようなことはしていないと思うのだが。


(まぁ、皇太子とお近づきになりたい女子からすれば、ちょっと邪魔かも?とは思うけど……)


そういうのを全力で回避したい私としては、勘弁してほしいところである。


「……そうですね。恐れながら、妹のように思ってくださっているのかもしれませんわ。兄、アヴェルも幼い頃から殿下と親しくさせていただいているようですし」

「妹……?まあ、そうなんですの?」

「確かに、殿下は皇女殿下を大切にされていますものね」

「私も聞いたことがありますわ。両殿下はとても仲がよろしいとか」

「そうですわね」


(なにこれ)


まるで牽制でもされてるみたいで居心地が悪い。妹という単語を出しただけで、先程までの悪意みたいなものが消えた気がしたからだ。


(やっぱり恋愛関係って面倒くさい!)


前世なら中学生だ。爽やかな初恋とかならともかく、そういうどろどろとした恋愛関係にまだ、巻き込まれたくない。


「……嬢、エルディ嬢?」

「あっ。すみません、なんでしたっけ?」


げんなりしてる間に、話かかけられたみたいだった。慌てて聞き直すと、私と同じ伯爵令嬢が、こともなげに言う。


「ですから、アーデムさんの話。ご存知?」

「アーデムさん?いえ……」

「アーデムさんね、いなくなってしまったんですって」


なんですって?






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