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主人公、やきもき





(なんなの?なんなのよ!)


エミリは苛々していた。


(主人公は私なのよ?!)


意地悪な令嬢たちから助けてくれるイベントに、リーリア・エルディとかいう入学式でも邪魔してくれたモブが乱入してからというもの、ちっともうまくいかない。

何故かモブを挟まないとイベントが始まらなくなったのだ。面倒なことこの上ない。


(それもこれも、最初にジルディオさまと仲良くなりそこねたからだわ!)


やっぱりあのモブのせいだ。

悪役令嬢とその取り巻きに囲まれているのをジルディオが助けてくれるあのイベントで、ジルディオが自分に興味をひかれるようになって、話しかけても大丈夫なようになるはずだったのに。

まぁ、それはあのモブの兄だという男子生徒のせいもあるけど。自分に気があるのかと思って色々話しかけてみたのに、全然響いてなさそうだったから、早々にもう話しかけないでおこうと思った。


(……まぁあのモブ、モブらしく引き際はわきまえてるみたいだけど)


ジルディオと二人きりになれるからだ。それでもなぜか、全然好感度が上がってる気はしないけど。


(一年生の時は攻略対象は、皇太子のジルディオさまと公爵家の私生児だけだから、私生児が見つからない今、ジルディオさましかいないのに……)


まぁ、新入生歓迎パーティーではちょっとはお近づきになれたかと思ったけど、服を着替えて戻ってきた頃には、ジルディオはいなくなっていた。まだまだ好感度が足りなかったんだろう。あわよくば新しい服をプレゼントされないかな?と思ったけど、そんなことはなかったし。

こうなったら、事件イベントだ!それでぐっとジルディオに近付ければいい。終わりよければすべてよしだ。そう思った。

だから、ゲームとちょっと違うけど肝試しイベントを提案したのに。


(なんで私じゃなくて、あのモブが巻き込まれてるのよ?!)


本当にバグとしか思えない。あのモブ。


(……)


『リーリア!リーリア、どこだ!』


あのモブがいなくなったと分かったときの、ジルディオのあの取り乱しようったらなかった。白い影を見て、悲鳴を上げてしまったエミリではなく、呼んだのは、そのモブの名前で。


(白い影見ちゃって、ものすごく怖かったのに……!)


本当なら、呼ばれるは自分の名前だったのはずなのに。


(エミリ・アーデムが主人公じゃないの?)


主人公なら、なんでもうまくいくはずだ。なにかに巻き込まれても攻略対象が必ず助けに来てくれるし、攻略対象は、主人公を絶対に好きになるはずなのに。

どうしてこんなにうまくいかないのだろう。


「……なにか、落ち込んでるみたいですね」


はっと振り返る。

全然見覚えのない男子生徒だった。ゲームでもこんな男子生徒見たことないのに、主人公である自分に話しかけてくるなんて。


「……どなたですか?」

「僕は貴方の味方ですよ」


(はぁ?)


こんな設定あったっけ?


「邪魔者がいますよね?」

「え?」


男子生徒がにやりと笑う。

表情がよく見えなくて、それがより不気味だった。


「……邪魔者を排除したいですよね?」

「……」

「僕についてくれば、貴方は、望みを叶えることが出来ますよ」


うさんくさ!

と、思ったのは事実だけど、男子生徒の言っていることが魅力的だったのも確かだった。


(排除って物騒な言葉なのが引っ掛かるけど、ようするに、私が主人公として正しくゲームが回るようになるってことよね?そうよね、そうこなくちゃ)


「分かりました、ついていきます」


エミリは堂々宣言する。

男子生徒また、にやりと笑った。





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