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全く答えになってない。

まぁ皇太子が言うからには、ディーは先生で間違いないんだろう。全然先生っぽくはないけど。というか、制服来てるからそりゃそうだろう、って感じなんだけど。確かに、この色気で十代は無理があったので納得だ。

学園に入学して間もないとはいえ、私は全く見覚えがないので、高等科の先生なのかもしれない。何担当の先生なんだろう。


「……お姉さん……?」


皇太子はいぶかしげにディーを見た。


(あ、そっか)


確かに、高等科の先生をそう呼ぶなんてどんな関係?と思われても不思議はない。ディーの話しなかったし。


「あの……殿下。この方は、私が人身売買に巻き込まれたとき、脱出する手助けをしてくださったんです。私も、まさか、ここの先生とは思いもしなかったですわ。また会えるとも思っていませんでしたし。偶然ですよね」

「……」

「……殿下?」


詳しく説明をしたつもりだったのに、皇太子はなおもいぶかしげだった。えっ。私、なにかおかしなこと言ったのかな。


「……リーリア。こちらは、ディートリヒ・アウクリア先生だ。高等科で、剣術を教えてくださっている」

「え」


なにそれ。ディートリヒ・アウクリアって、なんかものすごく男の人みたいな名前じゃない?

今度は私がいぶかしげにディーを見る。


「お、姉、さん……?」

「ふふ。ディートリヒ・アウクリアです」

「……」

「こんななりで失礼。正真正銘、お兄さん、です」


お、お色気お姉さんは、まさかのお色気お兄さんだった!!


「ええっ!」


こんなお色気お兄さんありなの?女装なのに、私よりよっぽど美女じゃない。


「……ぜ、全然気付きませんでした」

「そりゃ、あの野郎どもも気付かずにさらったんだもの。貴方が気付かなくてもしょうがないわ」

「……」

「驚かせてごめんなさいね」

「……いえ、それはいいんですけど……」

「ほら、あの人身売買のグループって、女性しか狙わないみたいだったじゃない?いくら探っても尻尾が掴めなかったものだから、いっそ売られる女性として潜入出来ないかと思って、女性に成りきったのよ。そしたらあっという間にさらわれて、潜入成功だったというわけ」

「はぁ……」


なんで人身売買グループに女性になりきってまで潜入しないといけなかったのかは別に知る必要もないと思うのでさておき、男の人なのにこんなお色気ばっちりだなんて、美人ってずるいわ。


「ん……?じゃあ、今は?」


今現在も、ディーはお色気お姉さんの格好のまま──ちゃんと制服仕様──である。

ただの学園で、教師であるはずのディーがお色気お姉さんでいる必要などないように思えるが。


「……」

「……」


私の言葉に、皇太子とディーが顔を見合わせる。えっ。私、そんなおかしなこと言った?


「……趣味よ!」

「……はぁ、なるほど」


(じゃあ、しょうがないか)


別に個人の趣味をとやかく言うものではないというのをよく分かっているのですぐに納得したわけだが、ディーはケラケラ笑った。


「やだあ、冗談よ。いくら趣味でも、自分の職場で勝手にこんな格好してたら大変じゃない」

「はぁ、」


いや、今、冗談を言う必要があったの?そう思ったとき、皇太子が咎めるようにディーの名前を呼んだ。


「先生」

「殿下。このまま誤魔化してもいいですけれど、リーリアがターゲットである事実は変えられません。きちんと話して、色々と分かっていたほうがいいと思いますわ」


えっ、なにそれ。ターゲットって私が?なんの?嫌な予感しかしないんですけど……。

ひきつった顔を隠せないままでいると、ディーと目が合った。そのままにんまりと笑われる。うわ、またデジャヴ。


「リーリア。貴方、ついてないのねぇ」


……そうなんですよねぇ。







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