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「本当ですか?!」


真っ先に食いついたのはソフィレ様だった。

好きって言ってましたもんね。私はとっても聞きたくないんですが。

でも、これもイベントなのか、私の願いもむなしく、男子生徒はつらつらと話し始めた。ですよね……。


「多分僕たちのグループが一番に第四庭園に到着したんだと思います。他に誰もいませんでしたから。少し歩いていると、シェルテ嬢が、き、聞こえる、と……」

「……なにが?」

「お、女の人の、泣き声、が!」

「……」

「……もちろん、みんな、半信半疑でした。聞こえていない人もいましたから……。そのとき、確かに見たんです。し、白い影が、目の前をよぎるのを……!」


あっ。駄目だ。

これ、イベントの、きゃっきゃうふふのための、軽めの怪談ではなくて、前世での心霊番組とかであったような、ちょっとガチめのやつっぽい。

私、今までこういうの、避けに避けてきたのに。よりによって、ファンタジー世界でどうしてこんな目に。あ、ファンタジー世界だから?そんな馬鹿な。


「……リーリア。どうかした?」


皇太子に呼ばれてはっとする。

あんまり怯えてるのが顔に出ると皇太子にも分かってしまうと思って、わざとらしかったけど咳払いで誤魔化した。


「いえ、なんでもないです」

「……そう」


なんだか、私が怖がってることなんてバレてる気もするけど、皇太子は苦笑しつつそれ以上続けることはなかった。流石というか、なんというか。

皇太子は未だ怯えている様子の男子生徒へ向き直る。


「グループの他の生徒たちはどうしたの?」

「……それが、情けないことに、必死で逃げてきてしまったので……」


いや、仕方ないと思う。私でも必死で逃げるかもだもん。それか、怖すぎて身動きが取れないか。

後ろのほうで主人公がぼそっと「ほんと、情けないわねぇ……男なら女の子守りなさいよ」なんて言ってるのが聞こえた気がしたけど、聞こえなかったことにした。

例によって男子生徒に事情を聞いている皇太子には聞こえていないようだったし、心優しい主人公だと思ってただけに、ちょっとがっかりだったし。


「そうか、分かった。じゃあ、他の生徒たちを探そうか。君みたいに他のグループに遭遇しているかもしれないからね」

「は、はい……」

「リーリアたちは元の場所に残るか、ここに残ったほうがいいかもしれない」

「「えっ」」


声を出したのはソフィレ様と主人公だった。ソフィレ様にいたっては若干悲しそうだ。第四庭園の白い影、楽しみなのかもしれない。


「……結構歩くかもしれないからと、思ったんだけど」

「いえ、殿下。ここまできて、第四庭園に行かないというのも、すっきりしませんわ」


ソフィレ様はきっぱり言った。

今から男子生徒のグループの生徒たちを探すうえ、白い影を探そうってこの状況で、すっきりもなにもあるんだろうか。

見た目儚げ美少女なのに、なんだか子どものようである。


「……」


ところで。

主人公がやけに静かだな、と、思ったのだ。

でも私は、このまま第四庭園に行くことになるのか、行かないで済むのかの行方を見守るのに忙しかった。

物語、もとい、ゲームの流れは、主人公を中心としているのだから、私はもっと、主人公に気を配るべきだったのだ。


「きゃーーっ!!」


耳をつんざくような悲鳴が聞こえかと思えば、私は思い切り腕を引っ張られた。

咄嗟のことで、ぐらり、と身体が傾ぐ。


(へ……っ、)


そして、私は、自分がとにかく厄介なことに巻き込まれやすいのだということを、すっかり忘れていたのだった。






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