ニワトリコッコの大冒険
鳥は、青空を自由に飛ぶことができる。
そして、僕には翼がはえている。
でも、その翼をはためかせても、僕は飛べなかった。
「コッコは、ケガでもしてるのかい?」
鳩胸が自慢のハトキチが尋ねた。
「いや? いたって健康さ」
「なら、どうして飛べないの?」
飛べない理由は、僕にも分からなかった。
大人になったら、自然と飛べるものだと思っていた。
けど、僕は自分の羽をバタバタと上下に動かしても、その場をジタバタするだけだった。
そこへ、カラスのカラスケが飛んできた。
「お前、知らないのか? ニワトリは飛べないんだよ」
ハトキチは、豆鉄砲を食らったような顔をして、何故だか僕より驚いた。
カラスケの話によると、僕らニワトリは空を飛べない鳥だそうだ。それはこの先もずっと変わらない。
僕はショックだった。
いつか、あの空を飛んでみたいと夢見ていたからだ。それが永遠に叶わないなんて思いたくない。
翌日、コッコは湖までやってきた。
水面に映るコッコには、ちゃんと羽がはえていた。
「どうして……」
そこへ、ハクチョウのハクコがやってきた。
「コッコ、どうしたの? 元気がないようだね?」
「ハクコさん、ニワトリは飛べない鳥だと言われたんだ」
「そうなのかい?」
「でも、僕は空を飛んでみたい」
「ならコッコ、夜空のハクチョウに頼んでみるといいよ」
「夜空のハクチョウ?」
「みんなが眠る夜、夏の夜空を飛ぶハクチョウがいると言われてる。そのハクチョウは願い事を叶えてくれるんだよ」
僕は夜空を飛ぶハクチョウに会ってみたくなった。
その夜、僕ははじめて夜空を眺めてみた。
そこには沢山の星が輝いていた。
夜空は、みんながいつも飛んでいる空とは、まるで違っていた。
「あそこにあるのは、ハクチョウ座!?」
眺めていると、流れ星が流れた。
「空を飛びたい!」
僕は思わず叫んでいた。
すると、流れ星が僕のもとへと降ってきた。
気づけば、僕は星の上に乗っていた。
「えっ!? 僕、今飛んでるの!?」
コッコは流れ星に乗り、夜空を飛んでいた。
上から下を眺めると、いつも見ていた景色がとても小さく見える。
「わーすごい!!」
コッコは、これまで見たことのない世界に見とれていた。
遠くの街が見える。
湖が小さく見える。
そして、夜空に輝く星たちが、とても近かった。
翌朝、コッコは目を覚ました。
顔をあげると、いつもの青空が広がっていた。
コッコは自分の羽をバタバタと上下に動かしてみたが、その場をジタバタするだけだった。
あれは夢? いや、夢じゃない!
僕は、夜空を飛んだんだ!
ハクチョウ座の流星群に乗って!!
ハトキチが近づいて来た。
「飛ぶ練習でもしてるのかい?」
「ハトキチ! 僕、空を飛んだよ!」
「な、なんだって!?」
「ハトキチも飛んだことがない、夜空をね!」
「夜空!?」
ハトキチは、豆鉄砲を食らったような顔をして、やっぱり僕より驚いていた。