表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/12

プロローグ 見る目のない親からの勘当。

新作です!


応援よろしくお願いいたします!!









「いい加減にしろ、クロス! 貴様はシェフィールドの名に、泥を塗る気か!」




 親父はそう言うと、俺の肩を力いっぱいに殴った。

 不意を打たれる形になったこちらは、らしくもなく後ずさる。いきなり何をするのか。そう思って父を睨み返すと、彼はまるでオークのような顔をして俺を見ていた。

 それを認めて、俺は「なるほど、いつもの押しつけか」と確信する。



「シェフィールドは魔法学を認められた貴族家系だ。それだというのに、貴様はなぜ毎日のように剣を振っている!? ――私への当てつけか!!」

「うるせぇな……」

「この……父に対して無礼な言葉を使いおって……!?」



 こちらが言い返すと、親父はさらに表情を怒りに歪めた。

 そして、その拳を強く握りしめて叫ぶ。



「貴様はシェフィールドに生まれた以上、魔法を極めなければならない! そういう宿命であり、運命なのだ! その証拠に、貴様の潜在魔力は――」

「それが『うるせぇ』って言ってんだよ!!」

「な……!?」



 だが、そんな文句は聞き飽きた。

 そもそもだ。この親父は、俺のことなんて微塵も考えていない。

 考えているのはシェフィールドという家のことだけで、生まれてずっと、俺はそんな家のしがらみに逆らってきたのだ。

 剣術だって、その一つ。

 自分がしたいことを見つけて、それを極めたい。

 そう思って騎士団の団長に直接、指導してもらえるように頼み込んだ。



「アンタは一度だって、俺の意思を確認したことがあったか!? 生まれてからこれまで、ずっと家の尊厳と歴史しか口にしない! 俺はアンタの人形じゃねぇ!!」

「貴様、私を愚弄するのか……!」

「アンタだけじゃねぇ、このシェフィールド家すべてだ!!」

「この生意気なガキが……!!」



 夕暮れ時の中庭で、親父との口論は続く。

 いよいよ堪え切れなくなったのか、相手は俺に拳を振り上げた。

 しかし、魔法理論しか取り柄のない中年男性の格闘術など怖くもない。俺は顔目がけて迫るそれを首を傾げて回避し、親父の腕を掴んだ。

 そしてその流れのまま、足を払って転がす。



「アンタとは違うんだよ、俺は……!」

「くそ、この出来損ないが……」



 無様に膝をついた父親に背を向けて、俺はその場を後にした。







 ――その夜のこと。

 俺は親父の部屋に呼び出しを受けた。

 そこまできたら、もう自分がなにを言われるのかおおよその予想はできる。



「……クロス。貴様には、とことん愛想が尽きた」

「そうかよ」



 そう切り出した父は、憎しみのこもった眼差しで俺を睨んでいた。

 対して俺は、なにも思わない。何故ならこの男の本性は、この十五年で嫌というほどに知り尽くしていたからだ。その証拠に、次に出た言葉も彼の思考を証明する。



「貴様如きに、シェフィールドの名は相応しくない」



 ――結局は、家柄なのだ。


 当主としての責任。

 あるいは、尊大な自尊心だろうか。


 この瞬間に、親父は親父でなくなった。

 そして同時に――。




「貴様は明日、荷物をまとめてこの家から出ていけ!」




 俺こと、クロスはシェフィールドの名を失った。


 なんの後ろ盾もない。

 自分の暮らしを保証してくれるものもない。



 だが、それは――。





「あぁ、清々するぜ……!」





 虫唾が走るしがらみからの解放を意味していた。



 


次の更新は22時頃に!



面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白そうですね、続きが楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ