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救済の英雄譚~ゆかいな乙女達~  作者: アビ
5章 エルフの里を救え ~豪快な女ブリキッドとの出会い~
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 エルフの森へ出発する当日の朝食時に勇者パーティに攻略状況を聞いた際、上級斧使いのカイから会話を振られた。

 カイは坊主頭のガタイが良いまさにスポーツマン!というタイプであり、ケイスとも仲良く話すことが多い。


「ケイス、ランク5ダンジョンの2階層に何度か挑戦しているんだけどよ。敵に苦戦してうまく進まないんだよな。何かアドバイスみたいなものは貰えないか?」


 ふむ、確か2階層は黒いウルフと大きいワニと大きいスライムが出て来て、ルルがスライムを倒せなかったため、ギルド資料室で情報を集めてスライムには核があり、それを壊せば倒せるとわかった経緯があった。

 スライムが意外に厄介者でウルフとワニが前衛位置に立ち、スライムが酸を俺の方まで飛ばしてくるという攻撃をしてきたので通常パーティだとかなり厄介なのがわかる。

 ピンポイントで教えてしまっても勇者パーティのためにはならないなと思うし、大暴走の前に勇者パーティーには成長して貰わないと困る。

 俺は2階層攻略後も王城やギルドの資料室にある魔物の情報や弱点などは覚えて、それを元にパーティに指示を出している。

 ケイスは元々頭が良いし並列思考があるので本をゆっくりペラペラめくるスピードで覚えられてしまったが・・・。


「うん、アドバイスはできると思うのだが正解をいきなり与えてしまうと勇者パーティは行き詰まりになってしまうと思う。なのでヒントを出すよ」


 一斉に勇者パーティの全員がこっちを向いて「ヒント?」と首をひねっている。

 若干一名はガクガク震えながらこちらを向いているがそれはいいだろう。


「そう、ヒント。同じような問題にぶつかったらまた行き詰ることになるだろ。そのために答えを教えるのではなく、ヒントのみにするってことだよ。今日から2週間位は王都を離れるからわからなかったら戻った時にまた聞いてくれ」


「なるほどなぁ」とカイが言い、全員が頷いている。


「例え話になるのだが今食べている食事は1~10段階に分けると既に8か9段階目だろう。その前には生産者が作り、業者が運んで、店で売られて、王城の方が買って、調理されて、配膳されて初めて食べられるだろう?」


 うんうんと聞いている勇者パーティ、一人は頷いているのか震えているのかわからん。


「君たちは勇者として召喚され、神様の加護も与えられて強い状態でこの世界にきた。そして半年間戦闘訓練をしてすぐにランク5のダンジョンへ向かっている。おそらくこの世界に来た段階で普通の人が戦うための事を1~10の5段階目くらいから初めているのだと思う」


 うんうんガクガクと頷いている。


「だから初心に戻って1~4段階目を取り組むべきだと俺は思うんだよね。既に勇者として知られてしまっているから恥ずかしいかも知れないけれど、いつもどうやって依頼を受けてから目的地に向かうまでに何をどうしているかなど、初心者冒険者などに聞いたり、中堅冒険者に聞いたりするのも良いかも知れないね」


「ハッハッハ。確かに俺達は聞きづらいかも知れないな」


 カイが笑って答えている。


「だと思うよ。でもね。アキオ」


 ビクっとしてこちらを飽き男君が見ている。


「君はこの勇者パーティのリーダーであり、パーティの中衛ポジションだろう?後衛の人達は常に詠唱があるし、前衛は後ろを振り向いている暇なんかない。俺たちのパーティは俺が無詠唱で魔法ができるのもあって、全て作戦を考えて指示を出すのは俺がする。パーティメンバーの命は俺が預かっている様な物だ。勇者パーティは君がするんだ、いやするしかないんだ」


 えっ!と驚いたような顔をしている飽き男君。


「だからさっき言ったような行動は君が率先してやらなければならない。君は王都での評判はどん底で辛い立場にいるのはわかっている。だが自分でやった行いの結果であるのも間違いない。だがどん底ということはもう下がる事はないんだ。やるべきこともわかりきっているはずだ。何もしなければ始まらないから後は行動するしかないだろう?」


 下唇を噛み真剣な顔をしてこちらのやや下を向いているため、恐らく何をしなければいけないのかはわかっているんだろうな。


「君たちはこの国を代表する勇者パーティだ。だからこんな所で躓いていては行けない。君が率先して行動を起こし、パーティを円滑に回すことでパーティとして完成し、強くなっていけばどんどん評価は変わってくるだろう。今はどん底かも知れないがいずれ周りの反応は変わると思う。その頃には勇者パーティのリーダーである君はこの英雄になれるかも知れない、いやならなければいけない」


「ぼ、僕がケイスさんの様な・・英雄に・・・」


「そうだ。君達はこの国の旗印であり国の英雄になるべきだ。俺は流れの冒険者だからずっといる訳じゃない。ただ、この国の事は好きだし、仲が良い人もいっぱいいる。もしアキオが特訓してくれと言うなら喜んで付き合うし、相談にも何度でも乗ろう。君がこの国を守ってくれるなら喜んで時間を割くよ。だからアキオには頑張って貰いたいんだ」


「ケ、ケイスさん、ぼ、僕はあんな酷いことしたのに」


 半泣きになり始める飽き男君。

 一人称が僕になっているし、調子に乗っちゃっただけで元々は悪い奴じゃないのだろうな。


「あの時は怒ったけどもう過去の事だし、俺も怒りすぎてやりすぎちゃったと思う部分があるからね。だからお互い水に流してこれからはお互いに仲良く頑張ろうな」


 飽き男君は立ち上がり90度にお辞儀をして顔を下げたまま泣いている。


「ケイスさん!あの時は申し訳ありませんでした!僕はケイスさんの期待に応えられるように立派な勇者になれるように頑張ります!いやなります!ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いします!」


「うん、期待しているよ」


 勇者パーティや王族の人達はうんうんと感動しているようだ。


「流石ケイス様ですわ!わたくし感動しましたわ!」


 キャロちゃんがよよよとハンカチで目を拭いている。


「アキオさん!頑張ってくださいね!ケイスさんの言うことを聞いていれば何事もバッチリなのです!」


 手を上に挙げるルル。


「これが落として上げるって奴なのじゃな」


 ゴチーン!


「いったーーーーーいのじゃ!本当のことなのに酷いのじゃ!ぁぁ気持ちぃぃのじゃ」


 せっかくいい雰囲気をぶち壊しやがってこの駄犬!


いつも読んで頂き、ありがとうございます。

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