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救済の英雄譚~ゆかいな乙女達~  作者: アビ
3章 人族の街コースランデ王国 ~親友達と天使との出会い~
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今回はちょっと長めです。

 さぁやってまいりました闘技場です。

 王都の中にあると聞いていたのでそこまで大きくはないだろうと思っていたが、市民区にあり東〇ドーム並みだった。

 むしろグラウンドより戦うスペースは狭いので観客席が多い。

 東〇ドームより完全に観客数が多いのである。

 しかも人気剣闘士同士の対決後なので満席なのも困ったものだ。

 解説の方が魔法道具の拡声器みたいなもので言う。


「さぁ!本日のエクストラマッチが始まります。これは英雄の誕生間違いなしの一戦だ!」


 英雄とか言うな!頼む!


「では対戦者の入場です!まずはコースランデ王国が誇る!最強の勇者!アキオ――!」


 アキオって名前なのかよ!

 女の子達をやり捨てしているから飽き男と命名してやろう。

 そして飽き男が手を挙げながら入場してくるが全く歓声が上がらない。

 流石に嫌われすぎだろ。

 ここでやることやったら俺は英雄扱いになってしまうかもしれん。


「そしてその最強の勇者に挑むのはなんと!闘技場の経営者ローヌの親友!さすらいの武道家ケイスゥゥーーーーー!」


 な!ローヌさん闘技場も経営しるのか!半端ないなあの人!そして昨日ローヌさんの言っていた英雄譚の始まりの意味がわかった。

 解説に今のセリフは間違いなく言わせている。

 ローヌさんは元々狡賢く並列思考を持っている俺でも狸爺め!と言わせるほど策士だ。

 そして俺も愛する者や仲が良い者は何としても手放したくないから同じなのでわかる。

 ローヌさんは世界を旅したいと言っている俺を国に釘付けにして逃がさないつもりなのだ。

 恐らく、いや間違いなく最初のローヌ商会での揉め事があった時から全てを先読みして、あの時点で人気剣闘士の試合をこの日に合わせていたのだろう。

 完全に嵌められた!これで3回目だぞ狸爺め!

 トホホと思いながら、もう英雄になるしかないと入場していくケイス。

 ローヌめー!と思い、ちらっと見たら特別席に王妃様以外、全員の王族が見えた。

 もちろんローヌさんも居て、こっちを見てニヤリとした。

 はい確信犯ー!王族全員まで連れてきやがった!


「経営者のローヌさんの親友だってよ!これは楽しみになってきたぜ!がんばれーーー!」


 大歓声が上がり始める。

 そうなるよなと思いながら冷めない様に歩きながら右手を挙げる。


「さぁ両者入場してきたところで会場も温まりました!早速試合を開始します!」


「ウオオオオオオ!ケイスがんばれーーーーー!」


 大歓声が上がり始める。

 終わった、回避不能だ。


「試合開始!」


 もうなるようになれと武道家ぽい構えを取り、前に出している左手の手のひら上に向けて、来いよ!みたいにチョイチョイと挑発する。


「てめーーー調子こいてんじゃねーぞ!」


 明らかに単細胞の飽き男君は魔法攻撃作戦を捨てて、国宝のフランベルジュだったかな?で斬りかかってくる。


「さぁ先方はこの国!最強!の勇者アキオによる連続攻撃だ!速い速い速い速い!」


 飽き男君の攻撃は遅いのでヒョイヒョイと全部避ける。


「しかーーーし!流石ローヌの親友ケイス!避ける避ける避ける避けるーーーーーーー!すごいぞ!ケイスーーーーー!」


 明らかに俺への解説の方が大声で気合が入っているし、飽き男君が国の最強を無駄にアピールしている八百長試合である。

 ケイスの名前を2回も言うところが確実に俺の名前を国の人に覚えさせようとしている。

 飽き男君は5分くらい斬りかかってきて息も荒れており、既に肩で息をしている様な状態だ。

 飽き男はこのままでは埒が明かないと思ったのか、一旦距離を取る。

 そしてまたケイスは同じような挑発をする。ちょいちょい!


「てめぇぶっ殺してやる!くらえ俺の必殺!ファイアーブレイクインパクトーーー!」


 飽き男君のフランベルジュから炎の中級魔法が飛び出す。

 ちなみ単なる中級魔法の『ファイアストーム』である。

 彼は中二病確定の瞬間であった。


「出たー!勇者アキオ必殺技だー!さぁどうするケイス!ケイスーーーーーー!」


 何で飽き男ターンなのに俺の名前連続言うんだよ!

 広範囲に広がった炎がケイスを包み込む。


「ケイスが燃え盛る炎に包まれてしまった!ケイス!大丈夫かケイスーーーー!」


「ハッハーーーーー!ぶっ殺してやったぜ!」


 そして炎が消えて無傷な俺が立っていた。

 この程度の炎は魔法を使わずともドラゴンローブで完全に防げる。

 飽き男はあんぐりと口を開けている。


「ケイスーーー!なんと勇者の超強力な必殺技を食らっても動かず無傷だーーーー!これが英雄か!英雄譚の始まりなのか!いや英雄譚が始まったーーー!」


 もうなんとでも言ってください、トホホ。

 さ、いくか。


「もう満足したか?そろそろ俺もいくぞ」


 高速で飽き男の懐まで飛び込む。

 恐らく飽き男や観客には消えたように見えただろう。

 すかさずボディブローをちょいっと入れる。


「ごべぇ!」と変な声を出す飽き男君。


 そしてその瞬間、俺はこの日のために開発していた『サイレス』を唱える。

 これは状態異常魔法で魔法使いに詠唱させない様に喋れなくするのだ。

 だが飽き男君の場合は詠唱のためではない。


「まいった」を言わせないためなのである。


 さぁ地獄の始まりだ。

 お前は絶対に許さない!犯罪者だとわかったので心置きなくやれる!

 しかし、安心してほしい傷は全くつかないからな!

 何故なら・・・。


「ケイスが消えたと思ったら強烈なボディブローが炸裂!ケイスーーー!頑張れケイスーーー!」


 流石に言わせろ、解説さん、お前は応援しちゃ駄目だ!

 ここからは骨が折れる程度の攻撃を倒れられないように若干上向きの角度でひたすらラッシュする。

 ケイスの身体能力なら1秒で10発は殴れる。

 そして拳が当たった瞬間全てに『ヒール』をかける。

 そう、これは全身粉々される痛みを一瞬だけ味わい続ける地獄の処刑なのである。


「ケイスの物凄いラッシュが始まった!勇者は耐えているぞ!すごいぞ!」


 飽き男君は10秒くらいで既に顔が泣いている。

 20秒ぐらいで声が出ないけど口がパクパクしている。

 あれは「まいった」であろう。

 しかし終わらない。


「ケイスのすごいラッシュだ!だが我が国最強の勇者アキオ!!流石だ!最強は伊達じゃない!まだ耐えている!流石最強だ!」


 これ、完全に超強い飽き男に勝ったケイス凄いに持っていこうとしているよな。

 30秒くらいで飽き男君の口パクパクの形が変わった。

 あれは「ごめんなさい」だな。

 40秒くらいで飽き男君の口パクパクの形がまた変わった。

 あれは「なんでもしますから」だな。

 50秒くらいで飽き男君は失禁してしまった。

 60秒くらいで残念ながら失神してしまったようだ。

 失神したら痛みを感じないし、回復しているから意味のない攻撃になってしまったのでラッシュを止める。

 そして飽き男君は気絶したまま土下座をしている様な状態に崩れ落ちた。


「遂に!最強!勇者!アキオ!倒れたーーー!最強の勇者より強い!これは間違いない!英雄!英雄ケイス!さぁ観客の皆様!英雄ケイスを大声で呼んで戦闘を称えてください!」


 英雄英雄うるせー!


「うおおーーーー英雄ケイス!英雄ケイス!英雄ケイス!英雄ケイス!英雄ケイス!」


 観客の大歓声が始まってしまった。


「そして負けてしまったのは残念でしたが失禁勇者!失禁勇者アキオ!称えましょう!」


「英雄ケイス!英雄ケイス!英雄ケイス!英雄ケイス!英雄ケイス!」


 失禁勇者はひどい!

 もう逃げようと思い、右手を挙げながら退場する。


いつも読んで頂き、ありがとうございます。

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