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執務室の気配が1つな事を確認してからコンコンっとノックして「どうぞ」ローヌさんの声が聞こえて執務室に入る。
「本日はいかがでしたか?」
もはや挨拶の前に聞いてくる完全に商人モードだ。
ソファーに座って出た物を説明しながらおいて行く。
疾風のレイピア:遺跡級 風の中級魔法を1時間に一回使える ミスリルでできたレイピア
ウィンドウアロー:遺跡級 少ない魔力消費で矢を放てる弓
反射の盾:遺跡級 魔法を反射する事が出来る盾
そしてまた出たオリハルコンと最後に雷神剣を置く。
「ケイスさん、この国の国宝の剣が遺跡級で炎の勇者様が使っている剣と言うのを知っていますか?」
「へぇ、知りませんでした」
「もはや国宝級のオンパレードですね。ケイスさんがいると全ての国の国宝が入れ替わりそうです。ほっほっほ」
「え?でも遺跡級はポコポコでますよ?」
「ランク5ダンジョンに挑む人はいませんよ。この国の勇者5人、すなわち上級職4人と英雄職1人で半年かけて死にかけながら1階層を何とかクリアしたのですよ?」
た、確かに言われて見れば数千人に一人の上級職と、世界に片手で収まる人数しかいない英雄職を5人集めるのは普通に考えると無理だな・・。
俺は使徒だろうからいいが、恐らく英雄職で普通に戦えるルルはやはり天才なのだな。
「い、言われて見ればそうですね」
「ちなみに今回はどちらをお売り頂けますか?」
「えっと弓とレイピアは使い道が無さそうなのでお売りいたします」
「おお!国宝級を2つも!嬉しいですね!そういえば昨日お渡し頂いたローブと指輪の販売先が決まりました」
おお、流石ローヌさん!てか早すぎない?
「早すぎませんか?」
「商談自体は明日ですけどね、それも売り先は」
ローヌさんが言いかけた時にガチャリと誰かがノックもせずに入ってきた。
「邪魔するぜ!」
入ってきたのはため息を吐きたくなる奴だった。
ローヌさんがびっくりして声をかける。
「こ、困りますよ。現在商談中です。明日が商談のはずでしょう。炎の勇者様」
そう、この国の勇者パーティである。
なるほどね~こいつらが買う、いや国が買うのか・・・すぐ決まるわけだ。
「早くパーティを強化して2階層にいきてーんだよ。おや、おいおい!いい武器が並んでいるじゃねえか、この弓とかミクが使えそうじゃねーか?」
「私はこのレイピアが欲しいな~!」
なんかギャルみたいな女がレイピアを指で刺している。
鎧を見ると騎士系の職業だろうか。
他の3人は飽きれた様な顔をしながら見ているから、いつも通りで止めても無駄だと思っているのだろうな。
あ、神官っぽい服装の前に謝罪してくれた女性が俺に気づいて、びっくりしてからペコってしている。
覚えていてくれたのだな。
買うなら誰でもいいし、ローヌさんがいるこの国が強化されるなら勇者パーティに売っても構わないが、本当に失礼な奴だなとため息が出る。
「おいそれそれ!その奥の剣、俺にふさわしいじゃねーか!使ってやるからよこせ!」
残念イケメン勇者がずんずん進んでくる。
「こ、困ります。商談中なので外でお待ちください」
ローヌさんが体を張って止めようとする。
「じゃまだ!」ローヌさんを押して通る。
ローヌさんは転んで痛そうにしている。
ケイスの頭の中でブチ!と堪忍袋の緒が切れた。
「俺様が使ってやるんだからありがたく思えよ。てめー獣人なんて連れまわしやがって獣臭がするから消えろよ」
残念イケメンが雷神剣に手を伸ばそうとする。
ケイスの頭の中でブチブチブチ!と堪忍袋の緒が切れまくる。
雷神剣を掴もうする手を掴み、力を込める。
「い、いってえな何すんだてめぇ。俺は勇者様だぞ!」
残念イケメンが一生懸命に引っ張ったり押したりしているが、全く動かない。
コイツザコだな・・・。
ちょっと懲らしめた方がいいなと判断し、並列思考でどうすればコイツの鼻を綺麗にポッキリ折れるか考える。
「お前らが明日購入しようとしている装備も俺の装備だ。明日の商談は無しだ。どうしても売ってほしければ王様にでも泣きつくんだな」
ケイスは言いながら残念イケメンを握っている手を少し強める。
「いてててて!てめーはなせ!」
引っ張ろうとした瞬間にパッと手を離すと、残念イケメン君は派手にすっころぶ。
「こ、この野郎。覚えとけよ!オラてめぇら行くぞ!」
ここで魔法を使う訳にはいかないし、力で勝てないかもと思って逃げたのだな。
全員を引き連れて出ていく。
「ローヌさん、大丈夫ですか?」
「いたたた。腰を打ってしまいました」
ローヌさんにヒールをかけてあげる。
「ありがとうございます。しかしあんな事を言ってしまって大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ローヌさんならわかると思いますが、俺は愛する人と親しい人に害を与える人間には徹底した罰を与える主義なのです」
「ええ。ケイスさんならそうすると思いました」
「なので明日くらいには恐らく王城から使者が来て恐らく、どうしても売って欲しいと言われると思いますが、ローヌさんが考えている3倍の価格だったら依頼主が売ってもよい言っていたと伝えてください」
「え!でもそんな事を言ったらケイスさんは・・・・」
「ええ、それが狙いですから」
この世界で初めてケイスは狡猾な笑みを浮かべるのであった。
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