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救済の英雄譚~ゆかいな乙女達~  作者: アビ
1章 森からの脱出
2/178

1.

「そうか・・・。やはり死んでしまったのか・・・」


 新しい世界と言っていたため、恐らくここは地球ではないのだろうと思う。

 愛する妻と息子にもう会えないのかと思うと涙が止めどなくあふれ出してきた。

 どれくらい時間がたったかわかないがしばらく泣いた後に思い直す。


「せっかく機会をもらったのに泣いてばかりではダメだ・・・。冷静になって現状確認しないと」


 まずは自分の体を見てみる。

 手を見ると40歳で多少はあった手のしわが少ない。

 ものすごく綺麗な手である。

 手と足を見ても平均的くらいには毛が生えていたが全く無くなっている。

 まさかと焦って頭を触ってみたらちゃんと髪の毛はあった。


「良かった。流石に生えていたか・・・まさかこっちは生えてないとかないよな」


 ズボンを引っ張って中を見てみる。


「ちゃんと生えていたか。若返ったとは思うが15歳は超えてそうだな」


 ふと前を見ると視線が高くなっているような気がする。


「背が高い?」


 どれくらい高くなったのかはわからない。

 以前の170cmの視界の高さの見慣れていた視線より明らかに高い。

 今までとの違いで180cmは超えていると予想ができる。

 本を読んだりすることも多いので、読んだ事がある異世界転生などで定番な文言を呟いてみる。


「ステータス。・・・・ステータスオープン・・・。んなわけないか」


 流石に安直すぎだなと思い違う事を考える。


「次は外を見てみるか」


 慎重にそーっと出口に近づき外を見てみる。

 完全に森だ。

 日は差しているが大量にある巨大な木にさえぎられており若干薄暗い。


「え・・うそ・・」


 距離はあるが正面左手方向に推定4mはありそうな、巨大な黄色い熊が見えた。


「あんな巨大な〇ーさんは可愛くないぞ・・・。見つかって襲われたら確実に死ぬ・・・」


 緊張のあまりごくりと唾を飲みこむ。

 洞窟にいるところで襲われたら確実に追い込まれて殺されてしまう。

 洞窟から出て冷や汗をかきながら右手方向に音を立てないように進む。

 なるべく木で巨大な〇~さんの視界から隠れられるよう進んでいく。

 後方を確認しながら進んで行き、少なくとも100mは離れられた。

 少し安心してホッと息を吐いて正面を向くと・・・。


「やだ・・なにあれ怖すぎ・・」


 100m先くらいに3mはありそうな真っ赤な狼がいた。

 しかも明らかにこっちを向いている。

 即判断する!正面には怖い赤い狼、左後方には巨大〇―さん。

 ならば右手方向しかない!思いっきりダッシュ!


「あんなの無理無理無理無理無理、もう死んだかも!」


 思わず口から出てしまう。

 せっかく新しい体をもらって違う世界に来たのに1時間くらいで死ぬとか絶対に嫌だ!

 全力で走り続けて気づく。

 明らかに物凄い速度で景色が過ぎていく。

 しかも息が乱れない。

 この体なら逃げきれるかも!と思いひた走る。

 かなりの距離を走ったと感じた所で後ろを振り返って見た。

 既に赤い狼の姿も気配も感じなかった。


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