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救済の英雄譚~ゆかいな乙女達~  作者: アビ
8章 新装備と新たな仲間 ~縛られていたゼフィール~
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何とコースランデの3階層のボスでいたリッチが死者の森の2階層のボスでもいたのである。

カッコ付かなかったからかリッチが頭蓋骨の口の部分に右手を軽く握った拳の親指側を当てて、ワザとらしい咳をして再び同じセリフを喋り出す。

「コホン。良く来た冒険者よ!待っていたぞ!ささ、道を綺麗に掃除しておいたのでどうぞ。お通りください」

両手の平を次の階層へ行く階段がある扉に向けて差し出すリッチにケイスは吹き出してしまう。

「ブハ!お前!もしかして前に自滅した奴と同じ中身なのか?」

それを聞いてルルが喜ぶ。

「えーーーー!あの時の骨さんですかー!不完全燃焼だったので今回こそぶった切ってやるですぅ!」

リッチが骨しかないのに何故か焦った顔をしているのがわかってしまう程に震えて言い出す。

「お、お嬢さん!待ってくだされ!同じ意識の個体がダンジョンで復活するのは、すぐの時もあれば100年以上も暗闇で待ったりする事があるのですぞ!後生ですから許してくだされ!」

ケイスはダンジョンのシステムに興味が湧いてルルに声をかける。

「ルル。ちょっと待って。話しを聞いてみたい」

ルルは明らかにえー!という顔をしているが口では違う事を言い出す。

「ケイスさんが言うならちょっとだけ待ちますねぇ」

ルルに完全にロックオンされているリッチは焦る。

「旦那!何でもお伝えするのでお嬢さんを説得してくだされ!」

何か不憫に感じてしまうがボスを倒さないと宝箱が出ないので苦笑いをしてしまう。

「旦那!顔から倒したい欲求が出ていますぞ!許してくだされ!」

リッチはもはやスケルトンの王と呼ばれる魔物であるはずが、必死に懇願してくる姿がスケルトンの平民にしか見えない。

「あー、えっと聞きたい事を聞いてから決めていい?」

「ダメですぞ!そんなの殺されるのがわかっているのに答えるはずがないですぞ!」

「だって呪われた装備が欲しくてこのダンジョンに来ているのに、ボスを逃したら意味ないからなぁ」

「な!呪われた装備が欲しいのですか?なぜですか伺ってもよろしいでしょうか?」

物凄く低姿勢な物言いで聞いてくるスケルトンに何故か愛着がわいてくる。

「『ロードトゥヘブン』という1,000年前に凄い魔法使いが開発した呪いだけ解除して性能がそのまま残せる魔法が使える様になったから呪いの装備が欲しいんだよ」

「なんと!某が開発した魔法を復活させた方がいるとは何たる運命!」

リルが驚いて言う。

「なんじゃと!お主が1000年以上も前に魔道王と呼ばれた魔法使いか?」

リッチが活路を見出したと思ったのか手を頭蓋骨に当ててワザとらしく咳払いをする。

「コホン。さよう。某こそ魔道王と呼ばれていたルーガル・ゼフィールでありますぞ」

魔道王?あれ?どこかで聞いたようなと思ったケイスは魔力2倍の指輪を見せる。

「もしかしてこの指輪の元の持ち主か?」

「おお!某がベルベウス殿に作って頂いた指輪ではないか!リッチとなってしまい、ダンジョンに取り込まれて無くしたと思っていたが旦那がお持ちになっていたのですな!」

まじかよ。おっちゃんが作ったのか。

「ご主人様?何やらこのリッチには縁を感じるのじゃが気のせいか?」

ケイスは確かに偶然が重なりすぎてしまい考える。

「ゼフィールってどこかで聞いた事あるような気がするんだけど。どこだっけ?」

ゼフィールが活路はここしかないと思ったのかまくし立てる様に言ってくる。

「『ロードトゥヘブン』をどこで知ったのですか?」

「リルが知っていたから聞いて試したから出来ただけだよ」

リルの方を向いてケイスが言ったら明らかに失言したかのように腰が引けるゼフィール。しかし諦めない様だ。

「リル殿はどこで知ったのでしょうか?某は1057年前に死霊魔法に失敗してリッチになってしまったのですぞ。歴史には名前が残っているかも知れませんが魔法の内容までご存知なのは何故ですか?」

「童は2532年生きている神獣フェンリルじゃ。知っているに決まっておろう」

「なー!フェンリル様!?神獣様が何故このような所にいらっしゃるのですか!?」

「童はこの素敵なご主人様に召喚された召喚獣じゃからな。しかもつ、つ、つ、つ、妻じゃからな」

相変わらず妻と言いたいが上手く言えないリル。

「え?フェンリル様を召喚?旦那は化け物ですか?」

ケイスはイラっとする。

「よし、もう用はないな」

「あーーーー申し訳ございませぬ!お願いします!許してくだされ!」

ゼフィールが土下座をし始めてどうしようか悩むケイスであった。


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