16
「街だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
更に1週間後ついに平和すぎる?森を抜けた。
低い草が生えた草原の先に石の塀に囲まれた町が見える。
門番さんが空いた門の前に立っているのが見える。
塀は門番さんより若干高いので恐らく2mくらいだろうか。
広大ではないがそこそこ大きいので、色々とこの世界を知ることが出来そうである。
「さて、どうしよう。このままだと完全に不審者だ」
死闘に次ぐ死闘により最初から着ていた布の服とズボンはズタズタである。
何度も自分や魔物の血を浴びて洗っても落ちず、茶色と黒のコラボレーションである。
もはや服ではなくなっている。
「考えてもしょうがない、体だけ洗って覚悟を決めて行こう」
人目につかない様に森に戻り、服?を脱いで全裸になる。
そして複合魔法でお湯を出し、全身を洗っていく。
そう!複合魔法が使える様になったのである。
これ+これ=これ、と理論上合っていれば出せるのであるが、同時にイメージする必要があるため、並列思考は必須である。
今回は火と水の複合である。
洗い終わったら温風ジェット魔法で体と髪を乾かして再度服?を着る。
「よし、行くぞ!」
と胸を張って街に近づいていく。
堂々としていた方が逆に良いと思ったのである。
後ろめたさは無いよ?アピールをするのだ。
ここからは元営業マンのスキルを活かすしかない。
街に入るのに並んでいる人がいなかったので、門に近づくと門番さんが
「目的は?身分を証明できる物はあるかい?というか服がボロボロじゃないか。大丈夫か?」
と心配してくれた。
これならいける!
「ありがとうございます!大丈夫です。身分証明の物は無いです。両親と3人で山奥に住んでいて、魔法の修行をしながら育ち、年齢的に自立をしたかったので、街に冒険者になるために来ました。ここまで来るのに魔物にいっぱい襲われて、こんな状態になっちゃいました」
あははと笑いながら答えると門番さんは
「そうか。大変だったな。若いのに強い魔法使いなんだな。強い冒険者は街のためになるから歓迎するよ。入っていいよ。」
と脇に寄ってくれる。
「ありがとうございます!がんばります!冒険者ギルドはどちらにありますか?」
と言い、笑顔で聞いてみる。
「まっすぐ行った所の突き当りに二つの剣が交差した看板がある建物だよ」
丁寧に教えてくれる。
笑顔で「ありがとうございます!」とお辞儀をして街に入る。
内心は入るのに通行税でお金が必要だったらどうしようと心臓バクバクであったのだ。