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しかし700年前の覇王の鎧っておっちゃんが作ったの?ドワーフって300年位の寿命じゃないの?
流石にびっくりしておっちゃんに聞くケイス。
「え?それってもしかして700年前の話しですか?おっちゃん今いくつですか?オウタンって黒髪でした?」
ついビックリして質問を重ねてしまうケイス。
「な!兄ちゃん・・・・・・お前、覇王の鎧を知っているんだな?」
驚愕な顔をして驚いた後に真剣な顔になるおっちゃん。
「え、ええ」
「そうか。なら話は早いな。後でまとめて教えてやる」
おっちゃんが夕日を見るような黄昏た様な顔をして答える。
そこでリルがハっとした顔をして言う。
「ま、まさかお主・・・ベルベウス・バルス・ロープ・アップ・キッコウか?」
え?何そのバルスと唱えられてロープで亀甲縛りされて吊るされたベルベウスさんみたいな名前!
「バルスでもキッコウでもねぇ!ベルベウス・ハルス・ロープ・アップ・キッカウだ!」
おっちゃんが怒って訂正した後に更に続けて言う。
「お前さん。ただのべっぴんな姉ちゃんじゃないな?俺のフルネームまで知っているとは何者だ?」
おっちゃんの目が細くなり、リルを睨んでいる様な顔つきになる。
「紹介が遅れてすまんのぅ。ご主人様に仕える・・・つ、つ、つ、妻!であり童は神獣フェンリルのリルじゃ。隣にいるのは義理の娘でアホじゃ」
「誰がアホだ!ババァが妻ならアタイだってケイス様のつ、つ、つ、妻だ!名前はブリキッドだ!」
フェンリルと聞いてポカンとした顔をしているおっちゃんを置いて、ガチンコでもみ合いし始めるアホ二人。
「フェ、フェンリル?だが俺の名前を知っているなら間違いないのか・・・」
唖然とした顔をしているおっちゃん。
ブリキッドを力でねじ伏せながらリルが言ってくる。
「ご主人様。提案があるのじゃがジャンヌも見せる訳じゃし、ベルベウスに全て話した方が絶対に良いと思うのじゃ。この者は今、手抜きで装備を作っておる。話せばきっと全力で世界最高の装備を作ってくれるのじゃ。童が保証するのじゃ」
リルがいきなり意味不明な事を言う。
「え?え?手抜きで遺跡級?え?おっちゃん本当ですか?」
ケイスは世界に稀にしか遺跡級を作れる鍛冶師がいないと聞いていたが、手抜きで遺跡級を作っているなど信じられない。
「やはり本物のフェンリル様か・・・ああ、本当の事だよ。なんか訳ありなんだな?ならお互い全てを吐き出そう。そして条件を聞いてくれ。理由を話してくれて条件を飲めるなら全力を尽くす」
ブリキッドが目を回してしてダウンした後にリルが立ち上がって言う。
「しかし、まだ生きておるとはのぅ。史上最高の鍛冶師のベルベウスは1200年前から1000年前までの話しじゃが・・・まさか能力持ちか?」
ハァっとため息を吐いておっちゃんが言う。
「そうだ。『長寿』の能力を持ったドワーフだ。長くても300年の寿命のドワーフが10倍の3000年も生きる化け物になっちまったのが俺だ。何の因果かドワーフの俺が鍛冶の能力も持っちまった。史上最高の鍛冶師でありながら史上最高の殺戮者だな・・・」
そんな能力があるのか・・・ってことは俺も800年位生きちゃうのかな・・・。
おっちゃんが下を向きながら重い言葉を吐き出し、その後おっちゃんの過去を話し始める。
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