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リーンハルトがケイスの部屋に入室してきて声をかけてくる。
「お?アキオ殿がいるではないか。ジャンヌ殿がいるのに大丈夫なのか?」
こちらからの勇者パーティへの間者にアキオを引き込んだ事を説明せねばなるまい。
「ええ。アキオには全て話して勇者パーティメンバーを確認してもらう役になってもらいました」
「なるほど。アキオ殿はケイス殿を信頼しているから大丈夫だろうな。それでこの前話していた城の呪いの装備を一緒に見に行こうかと思ってきたのだが大丈夫か?」
「おお!大丈夫です!是非、お願いします。アキオも関係あるから一緒に見に行こう」
とっておきと言っていたのでかなりの物だろう。
「え!?の、呪いの装備をですか・・・?」
ゴクリと唾を飲みこむアキオ。
「そうだよ。大丈夫だから安心して見に行こう」
リーンハルトについて行くケイスパーティとアキオ、ジャンヌは見えやすい様に胸当てに変わっている。
わざわざリーンハルトが呼びに来た理由が気になる。
「しかし、何でリーンハルト殿がわざわざ案内してくれるのですか?」
「危険すぎる装備のために部屋の鍵は儂か宰相のタイアーク、見回りをたまにお願いする隊長のダリルだけなのだよ」
「なるほど」
そしてリーンハルトについて行って着いた場所は城の宝物庫の隣にある鉄っぽい素材でできた頑丈の扉だった。
リーンハルトが鍵を差し込んで扉を開けて中を見ると、そこにあった物を見た時に魔王がいるかと思うほどに紫色の不吉な全身鎧が鎮座していた。
全員入った後に扉を閉めてから言うリーンハルト。
「これがコースランデ王国にある最高であり最強の装備でもある呪い装備だ。700年くらい過去の話だ。この国に覇王と呼ばれた力も知恵も凄い勇者が着ていた鎧で、帝国が攻めてきた戦争で予知した様に作戦を練り帝国兵の相当数を殺し、神にまで抗おうとしたが最後は一緒に召喚された勇者に裏切り者として殺されたと言う逸話がある。ケイス殿と関わってからこの意味が分かった気がする」
リーンハルトは言葉の最後の方は下を向きながら言っていた。
「ええ、恐らく夢を見て行動し帝国を止めたが、帝国が力を持ちすぎてバランス調整として虐殺に利用されたのではと気づいたのでしょうね。善良な神なら攻める帝国に夢を見せて止めるでしょうからね」
ケイスは鎧に近づいて鑑定をしてみる。
残虐覇王の鎧:??? 全属性耐性特大、打撃耐性特大、斬撃耐性特大、パワー2倍、フィジカル2倍、スピード2倍、魔力2倍 神特効 着た者は全身を針に貫かれて失血死するまで脱ぐことが出来ない
「な、なんだこれ?級がわからないし耐性が全て特大だ。しかも能力が全部2倍。神特効まであるが・・・呪いの効果がアイアンメイデンかよ!しかも失血死するまで脱げないって・・・」
ケイスが言った直後に胸当てが光だしジャンヌが現れて言う。
「相棒よ。級が見えない物は我の完成形もそうなるが偽の神によって見せない様になっている。全ては神を殺そうとした者が関わる物だ。内容は神殺級だ」
ケイスの首に手をまわし両脚でケイスの腰を締めながら、抱っこされている様な体勢のまま無表情でジャンヌが言う。
「そ、そういう事か・・・。しかし、俺は魔法使いだし、神殺しならジャンヌがいる。かなりの性能だが・・・誰かこの鎧を着たいメンバーはいる?」
ケイスはパーティメンバーに確認を取る。
「ぬぅ、童はタンクだから着た方が良いのはわかるのじゃが・・・こんなゴツゴツしたのは着たくないし童も一応、神獣じゃからなぁ・・・着たら死にそうな気が・・・」
確かに神獣が神殺しの鎧を着たらその場で死にそうだ。
「私は動きやすい装備がいいので着たくないですぅ」
リルはスピード型だからこんなゴツゴツした鎧は着ないだろう。
「アタイも狩人だから鎧はちょっと無理があるなぁ」
狩人がこんな鎧を着ていたら流石に笑う。
「だよなぁ。じゃあこの性能は勿体ないから魔法剣士のアキオに向いている装備だし、アキオに譲るかな」
ケイスが言った瞬間にニヤリと笑ったパーティメンバーの4人が一斉に言う。
「ホレ!アキオ!ご主人様がアキオに着て欲しいと言っておるのじゃ。今すぐ着るのじゃ!」
「アキオさん!今すぐ着るのお手伝いしますね!ほら早くこっちに来てくださいです!」
「おい!アキオ!さっさと来い!アタイも喜んで手伝ってやるよ!」
「・・・・・・着ろ、命令だ」
一気にまくし立てる4人、まだ呪いを解除していないのに着せようとしている。
「ひぃぃーーーーーーーーーーーーーーー!」
アキオが扉を開けて逃げ出してしまった。
「そ、そういえばアキオにまだ呪い解除の魔法を話してなかったな。もう虐めるのは辞めてあげて・・・」
しょうがない、追いかけて話をするしかないかとため息吐いたケイス。
「あの・・・。ジャンヌさん?アキオを追いかけるので降りるか胸当てに戻ってもらっていいか?」
追いかける前にジャンヌへ言うケイスであった。
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