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ケイスは思いついた考えを王様に告げる。
「王様、こういうのはいかがですか?俺はどちらにせよ100年戦争には参加します。無事に終えてから元々の目的としていた世界を旅した後に国に参上致します。今回の功績と100年戦争の功績をひっくるめてキャロ様を妻として私にください」
王様が呆れた表情をしながら言う。
「それケイス殿の褒賞になっておらんだろ。むしろ儂とキャロが喜ぶだけなのだが。キャロなんて泣いて喜ぶぞ・・・」
キャロちゃんがケイスにべったりなのは周知の事実であり、王都でも手を繋いで歩いているし、抱っこしているのは大勢が見ている。
ケイスは元子持ちであり、家族が宝物であったため反論する。
「え?大事なお嬢様を頂くのですよ?一番大事な家族を与えるので大きな褒賞だと思うのですが・・・。あ、ちなみに王位は絶対にいりません。王族になれというなら妻達と末席でお願いします」
王様がそれを聞いて喜びながら答えてくる。
「グッハッハッハ!ケイス殿がそれでいいと言うのであれば喜んで受けるぞ!」
その時、大人しく聞いていたケイスパーティメンバーが一斉にバンと机を叩いて立ち上がってから叫ぶ。
「ダメじゃ!絶対に許さん!そんなのは認めんのじゃ!」
「そうです!絶対にダメです!許しません!」
「ケイス様!それはないよ!ダメダメダメダメだ!」
思わぬ批判を受けたケイスはビックリして問いかける。
「え?キャロ様だよ?なんでダメなの?皆と仲がいいし問題ないって言っていたじゃん?」
リルが目を瞑ってからカッと開きケイスの目を見ながら言ってくる。
「ご主人様、よーく考えるのじゃ。ご主人様は間違いなく世界の英雄になる。いや伝説の英雄になるじゃろう。その英雄譚は未来永劫に語り継がれることになるのは間違いないのじゃ」
ただでさえ英雄にされてしまい英雄譚など真っ平なケイスはどうでもいいと思い聞き返す。
「えー?英雄譚とかわからないけど、仮にそうだとしても何でダメなの?」
リルが更に机をバン!と叩いて怒り出す。
「あったりまえじゃ!世界を救った英雄がこの国に凱旋する。その後、何も受け取らずに去る。じゃがその英雄を愛していた姫様は悲しみに暮れる。しかし!英雄は世界中を回り、世界の安全を見届けて戻ってきた!そして王へ姫様を自らくださいと言い姫様と遂に結ばれる!まさにハッピーエンドじゃ!」
そのリルの白熱した語り草にルルとブリギットは強く相槌を打ちながら言う。
「間違いないです!絶対にそうなります!」「そうだ!間違いねぇ!」
そしてリルの白熱した語りはゆったりとした口調になる。
「そして伝説の英雄はコースランデ王国の姫様とその他パーティメンバーの妻達と幸せに暮らしたとさ・・・となるに決まっとるじゃろー!」
ゆったりとした口調で終わったと思ったらいきなり怒り出す。
「そうですそうです!一緒に戦ってきた私たちが完全にその他になります!」
「絶対にそうなる!そんなの我慢できねぇよ!」
ケイスはうわー!何この意味不明な理由、大激怒している3人がアホに見える。
しかし、周りの反応は違った。
「ケ、ケイス殿。コースランデ王国に取っては非常に素晴らしい話しですが、確かに皆様が言うことは正しいと思います。私がこの国の事を記す書記をしておりますので仰られた内容になるかと・・・」
タイアークさんが汗を流しながら3人のバカを弁護する様に言う。
ケイスはその理由を考える。
コイツ等3人でも国が滅ぼせそうだしな・・・世界が平和になった途端に滅びる国として名前を歴史に残しかねないからかも知れない・・・。
あまりに怒っている3人を見て王様も宰相に続いてくる。
「そ、そうだな。ケイス殿のパーティ全員に我が国は色々と助けて貰っている訳だ。こ、ここはやはり一旦保留にすると言うのはどうじゃ?ケイス殿」
はぁとため息をついてケイスは言う。
「保留でお願いします・・・」
項垂れながら言うケイスであった。
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