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ケイス達は王城へ戻り、責任者達が集まった会議が行われる。
以前、暴走会議が行われたメンバーと同じで王様、王妃様、タイアーク宰相、ガルフ冒険者ギルド長、ダリル兵士隊長、勇者パーティ、ケイスパーティだ。
こういう時の王様は完全に王様という皮を脱ぎ捨てて話す。
ある意味、こういう王様が腹心には好かれるのだろうなとケイスは思う。
「皆の者、本当にありがとう。今までの大暴走では考えられないほど被害が抑えられたのはここに居るメンバーの事前準備や力添えがあったのは間違いない」
各々、相槌を打ったり謙遜的な態度を取る。
「タイアーク、避難していた住民はほとんど凱旋に参加していたとは思うが、その後の誘導対応を宜しく頼む。ガリル、既に始まっているが魔物の死骸をそのまま放置する訳にはいかないのでそのまま対応を頼む。ガルフは冒険者達への報奨金等の対応を抜かりなく頼むぞ。そして・・・」
王様が勇者パーティへ顔を向ける。
「勇者パーティは大暴走という危機に勇敢に立ち向かってボスを見事に打倒してくれた功績を称えて、それぞれに爵位を与えたいと思うのだが受けてくれるか?もちろん領地を持つなどは無い様にする。領地の希望があれば100年戦争の危機が終わった後で与える」
勇者パーティのメンバーはお互いに顔を見合わせて、飽き男君が代表して答える。
「メンバーとは話し合っていたのですが今回の我々はお膳立てして頂いて、失墜していた国民の皆さんからの信頼を取り戻させて頂いただけでもこの上ない報酬となっております。なので出来れば大きな報酬は頂きたくないです」
「ふむ、言うと思っておったのだが…。何も無しとは流石にいかん。今の所は一代限りの名誉騎士の爵位だけでも受け取ってはくれないか?」
飽き男君が考える様に上を向いてから答える。
「確かに何も無しだと王様が我々のために演説してくださったのに、国民の皆さんに不満を抱かせてしまうかも知れません。それでは爵位をありがたく頂戴致します」
王様が嬉しそうに頷いてからそれに答える。
「うんうん、ありがとう。それでーケイス殿?爵位はー?いらんよなぁ」
ケイスに王様が困った顔で聞いてくるので返答する。
「いりませんね。そもそも今回は裏方に徹したので大した功績は・・・て無理かぁ・・・」
明らかにルルの突撃やリルの巨大ワンちゃんモードでの鼓舞、ブリキットのガルーダは目立っていた。
何も褒賞を出さない訳にはいかない王様が困った顔で言い出す。
「困ったなぁ。爵位はもちろん、お金にも困っていないであろうし・・・。装備に関しても国宝よりいい物を使っているどころか貰っているぐらいだしなぁ・・・いっそ王位を・・・」
王様の言葉にタイアークさんが真顔で怒る。
「王様?何を考えているのですか?ダメですよそれは!全く」
ガルフさんとダリルさんが爆笑している中でタイアークさんが続ける。
「元々英雄として名前が通っておりますので、褒賞無しだと流石に国民は納得しないでしょう。しかし、我が国からケイス殿が納得して頂ける褒賞を出せない事も事実。一旦は保留にしてケイス殿が欲する物があれば言って頂く形にするのはいかがですか?」
ケイスも国の所有物で欲しいと思う物は無いがこの国は居心地良いい。王様にならない条件であれば、世界を旅した後にキャロちゃんと結婚して王族の末席につくのであればいいかなぁ位しか思っていない。
そうだ!と思い、ケイスは考え付いた事を提案してみる。
しかし、この後ケイスパーティの女性陣から猛反対を受けてしまう事になるケイスであった。
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