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3人がケイスに駆け寄ってきてリルが声をかけてくる。
「ご、ご主人様。大丈夫か?涙を流しておったのじゃ。痛い所はないか?苦しい所はどうじゃ?そ、そうじゃ神のしずくを・・・」
泣いていたケイスが相当心配であったのであろうか、リルは心配性すぎると言いたくなるほどの慌てようであった。
「リル、ありがとう。何ともないよ。無事に新魔法ができた。無事に呪われた知力0になる部分だけなくす事ができた」
「流石ケイスさんですー!呪い何てケイスさんにかかればイチコロのころっころう〇ちです!」
コロコロう〇ちは兎の君のじゃないかな・・・。
「ケイス様!流石だよ!アタイのために・・・愛は凄まじい力を出すんだな・・・。イヒヒ」
弓を取って抱きしめてニヤけ始めるブリキッドを見て、弓だからブリキッドためだったが愛のためではないぞ?と思うケイス。
「ご主人様は流石じゃのぅ。かっこよすぎるのじゃ~。じゃがこの魔法は周りに知られてしまうと呪い武器の価値が変わり、大変な事になりかねないのじゃ。当分はご主人様のことを知っておる王とローヌとドライとガルフ以外には知られない方が良いのじゃ」
「そうだね。魔法石も手に入ったし、これを元手にローヌさんに呪い装備を買い集めてもらって、ダンジョンと戦争が始まったら使うようにしようか」
今更だが本当にリル以外はまともな思考なメンバーがいないなと思いながらローヌ商会への転移を出すケイス。
気配は執務室になかったので中に入る4人。
どうやらドライさんは気配からすると接客中の様で執務室のソファーに座って待たせてもらう事にする。
ブリギットは弓が相当お気に入りになったようで弦をビヨンビヨンと引いてずっと感触を確かめている。
「そうだ!ケイス様!呪われた原因だった人ってなんて名前の人なんだ?大切に使いたいからその人に誓いたい事があるんだ」
「ヤオラって男の人で村一番の狩人だった人だよ」
「そうか。同じ狩人の人なんだな!ヤオラさん!アタイがヤオラさんの弓を大切に使うぞ!世界一の狩人になって見せるから見ていてくれよ!」
そしたらいきなり周りをキョロキョロし出すブリキッド。
「どうしたんだ?ブリキッド」
「今・・・男の人の声で・・・楽しみにしているぞって・・・」
「ははは。ヤオラだろうね・・・早く奥さんの元に行けばいいのに使い手が見たかったのかな」
「そうか!聞こえていたんだな!良し!がんばるぞ!」
気合を入れて弦をビヨンビヨンさせているブリキッド。
そしてガチャっとドライさんが部屋に入ってきた。
「おわ!ケ、ケイスさん。お待たせしてしまったみたいですみません」
「いえ。ドライさん。仕事中にすみません」
「いえいえ、それでダンジョンで手に入った物の商談ですか?会長から休みの日は私にケイスさんの事は全て任せると言われているのでお伺いできます」
「おお!良かった!助かります。そ、それで取り出したいので、て・・手袋をお借りしてもいいですか?」
手袋?といった不思議そうな顔するドライとプ!っと笑い出す3人。
手袋を取りに立ち上がったドライさんが急にブリキッド目掛けてダッシュし始めた。
「な!その弓は一体!!!!」
「ちょ!なんだよドライさん!びっくりさせんなよ!」
「そ、その弓・・・見せて頂いてもよろしいでしょうか?」
物凄く嫌そうな顔をするブリキッドにケイスは渡してあげてと言い、渋々と渡すブリキッド。
「こ、こんな効果の説明は初めて読みました。弓の名前となっている者も腕は良いみたいですが普通の村の狩人ですし・・・」
「ご主人様が呪いの負荷効果だけ解く魔法を開発したのじゃよ。ドライや」
「な!!!そんなことができるのですか!?呪い装備の立ち位置が・・・むしろ普通の神器級より・・・」
興奮しすぎているドライさんを落ち着けないと、と思い声をかけるケイス。
「ドライさん。とりあえず落ち着いて座ってください。ちゃんとこれから説明します。ブリキッドが大事にしている弓なので渡してもらってもいいですか?」
ハっとした顔をしてブリキッドに弓を渡すとぱああああと顔が輝きだして弓を抱きしめるブリキッド、そして座るドライさん。
「し、失礼しました。少し興奮しすぎてしまったようです」
「コロコロコロ、わかるのじゃ。価値と常識がひっくり返るからのう」
そして落ち着いてきたドライさんに説明と手袋を受け取って商談を始めるケイスであった。
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