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救済の英雄譚~ゆかいな乙女達~  作者: アビ
7章 大暴走を止めろ ~ムッツリ神官エリの狙い~
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 ケイスは呪われた弓に魔力を流し込みモヤモヤを探し始める。

 そして弦の部分にモヤモヤがある事を見つけ、そのモヤモヤの詳細を調べるために中に魔力を流し込んでいく。

 そして一番濃くなっている部分を見つけて、そこに魔力を集中させた時にケイスは目を瞑っているのに急に視界が現れた。


「アナタ、いってらっしゃい。気を付けてね」


 美人な人が、ケイスに声をかけている


「行ってくるよリーシャ」


 ケイスの視界の人間が美人に向けてそう声をかけてキスをした。

 そうか、俺は今ヤオラの視点になっているのだと気づいた。

 視界を見る限り、小さな村であり森に囲まれているようだ。

 村人達と会話をしてから森に向かっていくヤオラ。

 どうやらヤオラは村の食料調達係で狩人として魔物を狩っているようだった。

 奥さんのリーシャは村一番の美人であり、ヤオラは皆にいじられていたのがわかった。

 ヤオラの弓の腕は良く、すぐに見つかった魔物を急所へ矢を一投で始末した。


「今日はラッキーだったな。すぐにリーシャの元に帰れるぞ!」


 嬉しそうなヤオラの声が聞こえて魔物を担いで帰り始めるヤオラ。

 そして村について家の扉を開けて「今帰ったぞー!リーシャ!」と声をかけた瞬間にゴン!という音が聞こえて急いでリビングルームの様な所に駆け込むヤオラ。

 素っ裸で服を抱えて逃げ出している4人の村人の男が見えた。

 そしてリビングルームにいたのは犯されて頭を割られた最愛の妻の死体があった。

 しばらく泣いていたヤオラ、ケイスも最愛の人達がいるため胸が張り裂けそうになり、何故か感覚があり涙が出始めるのがわかる。

 そしてヤオラは弓を手に取り、村人全てを射殺して回った。

 そしてそこで視界が閉じて、目の前に青年が立っており声をかけてきた。


「俺の意識に共感しているのはお前か・・・?」


 ヤオラが語りかけてくる。


「ああ、勝手に見てしまってすまない。辛かっただろうな・・・俺にも最愛の人がいる・・・。あんなことをされたら狂ってしまうかも知れない・・・」


「あんなことをした俺に同情するとは馬鹿だなお前。だがリーシャがあんな事されない様に目の前にいる者全員を殺してしまえばあんな事起きなくなるんだよ」


「同情より共感かな・・・。でもヤオラも視界を共有させてもらった時にわかったのだが、村を出る時、皆に声をかけられて仲良くしていたし、罪のない人を撃つ時は躊躇っていたよな。しかもバカなことをしたって自分でわかっているじゃないか」


「お前は面白い奴だな!ハッハッハ!こんな殺人鬼に何を言っているんだ」


「ヤオラはいつまでも弓の中に居てはいけないよ。早くリーシャさんの元へ行くべきだ。すぐに行けるかはわからないが、共感した俺にはできるかも知れない、いややって見せる」


「ふん。そんな事が出来るならやって見ろよ。リーシャに会えるなら今すぐにでも会いたいさ」


「わかった。やってみる!俺は困っている人を救うために力を付けて来たんだ」


「本当にバカな奴だなお前は。だが・・・いい奴だなお前」


 そこでヤオラの姿が消えて、目を瞑っている状態になったことがわかる。

 最後にはヤオラは泣いているようにも見えた。

 絶対に成功させてやる。

 魔力をモヤモヤの中を隅々まで行きわたらせるとある部分が動いているようにも感じる。

 これはヤオラが教えてくれているんだろうな・・・。

 お前のおかげで魔法が完成しそうだよ、ありがとうなヤオラ。

 動いている本当に小さな部分の歪みに向けて魔力を込め始めて、ヤオラが天に昇れるような優しいイメージを組み立てる。

 すると脳内に『天国への道』と響く。

 そしてそっとケイスは目を開けてみると弓にモヤモヤがなくなっており、鑑定してみる。

 ヤオラの弓:神器級 速射効果、パワー1.5倍、スピード1.5倍、村一番の狩人が愛用していた弓で使用者ヤオラの力が宿っている。


「できた」


「ありがとな」


 ヤオラの声が聞こえた。


「ヤオラ、お前の力を借りるよ」


 呟いたケイスは新しい魔法を完成させる事が出来たのであった。


いつも読んで頂き、ありがとうございます。

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