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ケイスはキャロちゃんがタタタっと王様の所にかけていくのを見届けた後にブリキッドに言う。
「じゃあブリキッド、ガルーダで風の移動阻害魔法を宜しくね。最初は弱めからお願い」
「わかった!」
ガルーダを呼び出すブリキッドは少し動きづらい位の風を勇者パーティーに向けて起こす。
アキオ君がそれを受けながら嬉しそうに言う。
「おお!すごい!弱めでもここまで動きにくくなるのですね!強めにするとどれくらいになるのですか?」
飽き男君がおバカな発言をしてしまったためブリキッドが調子に乗る。
「おう!スゲーだろ!アキオは良くわかってんじゃねーか!んじゃ結構強めにするぞ!」
「ちょっと!まて!」
ケイスの止める言葉は遅かったようだ。
もはや木々をなぎ倒しかねないほどの強風が勇者パーティーに襲い掛かる。
鎧を着ている飽き男君、カイ、きららさんは重さもあって耐えられるようだ。
どうやらエリさんはとっさにバリアを張って凌いでいるようだ。
そして身長130cmしかなく小柄で風の勢いをもろに受けそうな悪魔のローブを着ていたミクさんは天高く巻き上がる様に吹っ飛び始めた。
「なのーーーーーーーーーーーーーー」
焦ったケイスは追いかけてもはや人間ではない全力の10m越えのスーパージャンプをしてミクさんを抱きとめる。
イッテー!全力でジャンプしたら骨折しちゃった・・・着地前に足をヒールする。
着地は衝撃を殺せて軽い痛みで済んだがこれ以上筋トレすると自分で自分を殺しかねないとケイスはぞっとする。
リルを殴った時もそうだったがどこまで筋力が伸びるのだろうか。
頑丈な体ではあるが俺にもフィジカルアップ系の装備がいるかも知れないな。
どうやら風の勢いで目を瞑っていたり、後ろを振り向ける状況ではなかった勇者パーティーには見られる事は無かったが、王様とキャロちゃんは見ていたようだ。
「コラー!ブリキッド!止めて止めて!」
「あ!ごめんなさい!ケイス様!」
ケイスはミクさんを抱っこしたままお怒り状態で勇者パーティーの場所に戻る。
「さっき強くし過ぎると危ないって話しをしたばかりじゃん!もー本当に危なかったよ!」
「ほ、本当にごめん!ケイス様!許して!」
「あほ過ぎじゃろ。1歩も歩かず忘れるとは鶏以下じゃな」
カラカラカラと大爆笑しだすリル。
「流石に今のはないですよぉ。ブリキッドちゃん」
おバカの代名詞であるルルにこんな事を言わせてしまうブリギット。
「うぅぅ。ケイス様、本当にごめんなさい。許してください」
口調すら変わって泣きそうになるブリキッド。
「あっちで特訓開始するまで反省していなさい」
王様達がいる方を指さすケイス。
王様達の方を指さした時に見えたのだがキャロちゃんがケイスのスーパージャンプを目撃してしまった様だ。
大興奮してこちらに来てしまいそうなのを必死で止める王様が見えた。
あーあ、キャロちゃんに後で何て説明しようか・・・。
考えながら王様達の隣で正座して項垂れるブリキッドを確認して、勇者パーティーへ視線を戻してからケイスは声をかける。
「ごめんね。いきなり悪い例になっちゃった。大丈夫だった?」
「えっと、僕たちは大丈夫でしたが・・・」
飽き男君が仲間たちの方を見ながら言う。
「羨ましい・・・」
エリさんがケイスの胸元を見ながらボソっと言う。
「ん?」
ケイスは胸元を見ると寝ているミクさんがいた。
普段キャロちゃんを抱っこしているので違和感が全くなかったのだ。
「ミクさん!起きて起きて!」
「ん~後5分なの~・・・ハ!ごめんなさいなの。なんかケイスさんに抱っこされていると落ち着くなの」
降りてくれるミクさん。
巨乳じゃなければ喜んで抱っこするのだがなぁと失礼なことを考えるケイスであった。
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