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翌朝ぐったりしていたケイスだが何とか5時に起き上がり、ケイスパーティと勇者パーティとキースを含めた混合朝練を終える。
やはりケイスの事を信じ切っているアキオとエリさんは普通にしていたが、きららさん、ミクさん、カイの3人の表情は暗く、どう見ても上の空であった。
食事で集まった時に王様も3人の様子がおかしい事に気づいたのであろう、ケイスに向かって準備完了のウィンクを飛ばしてきたのを確認して軽くうなずく。
そして午前中は対ケルベロス模擬戦を勇者パーティと行う。
そこで驚いたのが教えて1日しか経っていないのにエリさんがヒールを無詠唱でバシバシと使っているのだ!
何と1戦目を勇者パーティが勝ち、ケイスがエリさんへ魔力の補充する際に目の周りに隈が出来ているのに気づいた。
「エ、エリさんちゃんと寝ている?睡眠をちゃんと取らないといざという時に力が出なくなっちゃうよ?」
「はい!大丈夫です!ケイス様に認めてもらうために頑張っているだけです!ご心配頂きましてありがとうございます!」
エリさんは笑顔で返してくる。
そしてリルの鼻が「スンスン」となる。
「そ、そうかでも無理はしないでね?」
「はい!大丈夫です!少しでもケイス様にお近づきになれるように頑張ります!」
リルにエリさんの事で注意されていたこともあり、何か怖くなってくるケイスだが流石に強行には出ないだろうと思い直して訓練を続行する。
そしてエリさんのフォローが絶大な効果を発揮し、昨日は5戦1勝4敗だった勇者パーティは2勝して惜しい戦いも増えていた。
そして昼食が終わり、大暴走の最終会議が始まる。
参加しているのは王様、王妃様、宰相のタイアークさん、王国軍隊長のダリル隊長、ギルド長のガルフさん、勇者パーティとケイスパーティ。
座っていてもジャンヌが見えやすい様に胸当てに変形してもらっている。
今回の大暴走が起こるダンジョンは王都から北よりの北西にあるダンジョンだ。
まず兵士の配置について兵士をまとめるダリル隊長が説明を始める。
このダリル隊長は30代後半で金髪の中分、体は大きいが笑顔が絶えない方で上級剣士でもあり、一度模擬戦をお願いされて手合わせをしたことがある。
派手さは無いが堅実な剣運びで相手を誘導し、相手に反撃をなるべくさせない戦い方をする人である。
キースの指南役であるがキースの伸び悩んでいたのは、強さに憧れる12歳が堅実な剣運びが嫌だったからであろうと推測している。
「今回の大暴走は1万という数であるがランク1の魔物がほとんどであり、防壁を利用した防衛戦と言うこともあるため、王国常備軍である2000の兵士と魔法兵。侯爵と辺境伯と伯爵の常備軍500ずつお借りして3500の兵で防衛いたします。激戦が予想される北門に勇者パーティーを含め1500の兵を配置します。次に魔物が来るであろう西門へ500の兵を交代で配置し、冒険者の中堅クラスまでの方達と連携して西門を防衛してもらいます。そして残りの1500の兵は怪我や疲労した兵との交代要員と万が一に備え、東門や南門に魔物が来た場合の対応や北門や西門が崩れた場合もすぐに対応できるように致します」
ふむふむ、オークキングがいる場合は北と西門が突破できない場合は東や南に動き始める可能性があるので堅実な感じだなとケイスは聞いている。
「うむ。それではガルフ殿、冒険者の説明を頼む」
王様が告げるとガルフさんが説明を始める。
「集まった冒険者は約1000名ほどだ。ほとんどの冒険者は西門に配置するが、パーティーに強力な魔法が使える者や熟練で有名な3パーティーは北門に配置する。ケイス、お前はこの3パーティーに含まれてないから安心しろ」
コクリと頷くケイス。
王様にはケイスパーティー3名が大規模な風、雷、重力による魔法で魔物の動きを阻害できる事を話している。
3人がばらけて阻害している所を弓矢や魔法で狙いうちにする作戦を提案している。
移動を阻害されているゴブリンやコボルトなど単なる的であり、弓矢でもバタバタと倒れていくであろう。
無いとは思うがルルは門を万が一破られたりなどいざとなった時のための戦力である。
「うむ。それではタイアーク、市民の避難状況は?」
「はい、本日から市民区から貴族区へ避難を開始し、本日を含めて3日間を使い避難をさせてます。以前から避難の順番や日付を告知して事もあり、順調に避難は進んでおります」
うむと王様は大きくうなずき、作戦の大事な話を開始する。
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