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「ふぅ、しかしご主人様の脳味噌はどうなっておるのじゃ。言うこと言うことに説得力がありすぎて予言をしている様にしか聞こえんのじゃ。まぁそんなご主人様もかっこよくて素敵じゃのぅ」
ため息を吐きながら呟くリル。
「げヴぃぶばんぎばがべべぼべばべんぶばびぼぶばヴべぶ!」
お茶請けのお菓子をリスの様に突っ込んで何かを言っているルル、多分俺に全部任せて置けば大丈夫ですと言っているのであろう。
「ま!ケイス様だからな!今更だ!ガッハッハッハ!」
思考を完全に投げて笑い出すブリキッド。
「たぶん能力のおかげだと思うよ。そうだ、リーンハルト殿。この国に今まで見つかった能力の一覧みたいな物はないですか?」
「う、うん?ああ、数はそこまで発見されていないが確認された物のリストがあるはずだ」
下を向いて呆然としていたリーンハルトが顔を上げて答える。
「それを見せて頂く事はできますか?どうやら俺が女神様に頂いた能力は今まで世界に発現した能力全てが使える可能性があります」
「なんと・・・まぁ偽の神と言えど神と戦うための使者だから当然なのかもしれんな。わかった。用意しておこう。それで儂にこの話をしたと言うことは何かを頼むために話しをしたのだろう?先ほどケイス殿にされた話しだが、ドワーフに関しては間違いなさそうだし、海人族もあり得る話だ。もはや全種族で大戦争が・・いや世界大戦が起こるのは避けられなさそうだ。しかも人族国家はバラバラにだが全ての種族に隣接しておる。ケイス殿に任せるしかない・・・何でも力を貸すぞ」
「ありがとうございます。俺もできる限り犠牲者を減らしたいのですが、身体は一つしかないので、少しでも犠牲を少なくして終わらせたいと思っています。そのためには作戦が漏れていては話になりません。まずはこの国の勇者パーティを偽の神から見限らせてつつ仲間に引き込みたいと思っています」
「そうだな・・・。しかも勇者パーティの実力はケイス殿のおかげでメキメキと伸びておる。仲間に引き入れる事が出来ればかなりの力になるであろうな」
「はい。恐らくもう少し伸びれば俺が使徒として召喚された直後・・・並列思考を持っていなければですが相打ちくらいにはできるレベルになると思います。もっと力を伸ばし装備を強化すれば召喚されてまだ浅い使徒であれば勇者パーティで止められると思います」
「なるほど。それでまずは何をすればいいのだ?」
「恐らく彼らは今日、偽の神による夢を見ると思います。明日の大暴走の会議で俺を悪だと植え付ける事をすると予想が出来ます。元々、俺は勇者パーティに大暴走のボスを倒させて国の英雄にするつもりでした」
ふむっと王様が顎に手を当てる。
「確かにケイス殿に頼りっぱなしは国に取って良くないと思っていたから勇者パーティにはそのことを話したりはしているな。ケイス殿を食客に迎えたから近くで見て少しでも力を吸収するようにも言ったぞ。ガルフにもそれは言ったのだろう?」
「ええ。アキオがあそこまで変わるとは思いませんでしたが、そのために以前、朝食の時に発破をかけたのです。大暴走の作戦会議では俺が大暴走のボスは勇者パーティにやらせるべきだと率先して発言して、それを勇者パーティが快く引き受けられる様にしたかったのです。偽の神への対策に後からなるとは思いませんでしたがそれを逆手に取ります」
「なんと・・・ケイス殿はそこまで考えて発言しておったのか・・・。ケイス殿、王をやらんか?キャロを嫁に取ってもらい儂は引退してもいい気がするな。ダッハッハッハ!」
「キャロちゃんなら大歓迎ですー!」「童もキャロなら問題ないのじゃ」「可愛すぎるキャロ様は独占されそうで怖いけどアタイにちゃんと構ってくれるなら問題ないぞ!」
良くわからない事を言い出す女性陣3人。
「いや、王様とか勘弁してください。世界を旅して最後は愛する者達とゆっくり過ごしたいです・・・」
「そうですねぇ。私と100人子供を産むには王様はちょっと忙しそうですねぇ」
変態兎さんは黙っていて欲しい!ケイスは続けて話す。
「コホン!恐らく今日の勇者パーティが見せられる夢の内容は作戦会議で俺から大暴走のボスは勇者パーティが倒すべきと発言されて、それを受けると勇者パーティは全員死ぬ夢を見る確率がかなり高いと思います。それを逆手に取ります。そのために思わぬ方から発言して貰いたいのです。そのため今から話す様な流れでお願いしたいです」
ケイスは考えていた作戦を王様に話す。
「な、なるほど。それならば完全に裏を付けるから勇者パーティは逆に夢を見せている偽の神に疑心を抱かせる事が出来るわけじゃな。やはり王をやらんか?」
とりあえず王様から言われた事を無視するケイス。
王様に毎回時間を貰う伺いを立てているとどこで漏れるかわからない。
次から王様を含めて集まりたいときは夕食時にケイスが普段はパーティーミーティングというが、パーティー「会議」をしたいから集まってね、とパーティー向かってに言うようにすることになった。
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