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神を名乗る者が現れた事によって法王国は神を信仰する国であったこともあり喚起した。
そして神を名乗る者はジャンヌ率いる軍事国家を蹂躙し始めた。
未来兵器である銃やレーザー、レールガン等も効かず、魔術による攻撃も効かないため、一方的な虐殺だったそうだ。
そして軍事国家が滅亡寸前になったところで神を名乗る者は急に法王国を攻撃し出した。
法王国の民などは急に神から裏切られて攻撃され始めた事で絶望的な顔をしながら死んでいったようだ。
「その時の男の顔が今でも目に焼き付いている!人を殺す事に快感を感じているのか愉悦で醜い笑みを浮かべながら信じていた者達へ大量虐殺を繰り返す・・・あの悪魔の顔が今でも忘れられない!」
そしてジャンヌは決意して軍事国家で持っているあらゆる技術を総動員して自身を完全に改造しサイボーグ化する事で神を名乗る者に立ち向かった。
「我が主導で行った様々な実験や殺した人達には何度謝っても許されるものではない。もちろん許してくれと言う気もない。我についてきた民のために我は戦ったのだから誇りを持っていた!だからこそ!それをもう今回の世界は終わりだと言い出し、外野で見ていて急に現れた奴が人々を蹂躙していく様が許せなかったのだ!」
ジャンヌは怒りが凄まじいほど感じられるが表情が全く変わらない。
完全に表情が死んでしまっているようだ。
「そして我は奴を絶対に許したくはなかった!一矢報いたいと思い、最高の金属であり変幻自在な超合金Rで全身を改造しサイボーグとなり、人工知能AIも組み込み、気力や魔力を抽出する事に成功して、宝玉に込めて体にいくつも埋め込みそれを使い奴に立ち向かった!」
「そうか、ジャンヌが神闘法を生み出した人間だったのか」
「そうだ。通常の兵器や魔法は全く通じなかったが当時はMPとSPと呼んでいたものを人工知能AIにより同時利用しすることで、通常よりも強くなり神に攻撃が通じる事を発見したのだ」
「し、しかし今回の世界は終わりというのはどういうことじゃ・・・」
リルは気づいているのであろう・・・その神を名乗る者が親であることを・・・。
俺はこの話の結末が既に見えてしまった気がしていた・・・。
すぐにブリキッドに確認を取りたくなったがここまで来たら話を止める事に意味は無い。
「我と悪魔との戦いは壮絶な物となった。山を崩し、島が消滅し、大地を削り、大きな亀裂を残すような激しい物になった。悪魔を満身創痍になるまで追い込んだが我は敗れてしまった。我は体がバラバラになっていたがかすかに生きており、まだ意識はあった。奴は我が死んだと思っていたのであろう。そして奴の言葉が聞こえたのだ。悪魔の言葉が!」
ゴクリとリルが唾の飲み込んだ音が聞こえた。
「余計な力を使ってしまった。今回はリセットする力が残っていないから修正で我慢するか。次回は予め間者を送り込む事で操作して楽しむとしよう。まずは掃除から始めるとするか」
「そして我は上半身のみだが動ける状態だった。近くにあったダンジョンに何とかたどり着いた。そして残り少ない体積の形状を武器に変えてダンジョンに吸収されて、3000年の時を絶望と怒りで過ごし、待ち続けた。奴を・・悪魔を共に打倒してくれる者を待ち続けたのだ」
3000年も動けず怒りと絶望のみの感情で支配され、復讐の時がいつ来るかもわからない時間を過ごせば感情と表情が死んでしまうのはわかる気がする。
ジャンヌの人生はまさに壮絶の一言だ。
隣に座っていたリルはブルブルと震えていた。
自分が間者と気づいたのであろうか。
神の目により視界を共有し、神の言葉にしたがって世界樹という名のマナの穴の蓋をずっと守り続け、更にケイスを殺すように指示されたのだ。
気づかない訳がない。
そして恐らく石板により召喚された勇者も間者だろう・・・。
しかし、話を聞いていて最初は違和感であったが途中で確信したことがケイスにはあった。
震えるリルの肩をそっと抱き寄せてケイスは問いかけた。
「リル、神の声は男だったか?」
「そうじゃ・・。童に神託をする時は男の声で指示があったのじゃ・・・あとは乗っ取るからか目を共有する瞬間は少しぼーっとするのじゃ」
「ブリギット、お前は召喚された時は赤ん坊だったよな?召喚された時は流石に覚えていないと思うが、物心が付いてから神からの指示という物に心辺りはあるか?」
「えっと、もう無いけどたまにぼーっとする瞬間があったな。後は夢を見て最後に男の声でこの通りしろとか言われたよ。アタイはこういう性格だからそういう夢に従わなかったけどね。10年前にエルフの森にある赤い花を摘んで来て薬を作る夢を見たのと、エルフの森の南西にある大きな魔物の死体を燃やす夢を無視したのが最後だったかな」
なーーーーー!お前が無視したからエルフは流行り病で激減したのか!!
しかし、ブリキッドは当時11歳だ、仕方ないだろう。
既に10年前でブリキッドが神に見限られて間者から外されているのは幸いだったな。
そうか、俺は戦争を止めるために呼ばれたのではなかったのだな・・・。
「ははは・・・ふははははははは!」
「ご、ご主人様、どうしたのじゃ?」
「ケイスさん!何か良いことを閃いたのですね!」
「ケ、ケイス様どうしたんだ?」
ジャンヌはこっちを無表情で見ている。
「俺をこっちの世界に連れてきたのは女神様だった。女性の声で世界を救えとな」
ジャンヌの眉がピクリと動いた。
「ジャンヌ、どうやらお前の待ち続けていたのは俺で間違いなさそうだ。一緒にやろうぜ相棒!神と言う名の悪魔退治をな!」
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