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救済の英雄譚~ゆかいな乙女達~  作者: アビ
6章 この世界の真実 ~感情のない軍人美女ジャンヌ~
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 ケイスパーティ一行はインテリジェンスウェポンのジャンヌと出会い、ジャンヌから長くなるから落ち着いて話す事を提案されたため、話を聞く前に一旦王城に戻り食事を取っていた。

 飽き男君の一言で事件が起きてしまう。


「ケイスさん、今日はダンジョンに行っていたのですよね?いい物はでましたか?」


 目をキラキラさせながら聞いてくる飽き男君。

 そしたらリルが左手を前に突き出し上に向けながら


「そうじゃのぅ。今回は凄くいい物が出たのじゃ~。幸せじゃ~」


 左手の薬指に付いた指輪を見せびらかす様にうっとりとした目で言い始める。

 ガタっと勢いよく立ち上がるキャロちゃんとエリさん。

 勇者パーティメンバーはびっくりしてエリさんの方を向く。


「エ、エリ?」


 飽き男君の声でエリさんはハっとした表情をして一言呟きながら座る。


「す、すみません。何でもありません」


 キャロちゃんが目をキラキラさせながら言う。


「リル様!羨ましいですわ!ケイス様に付けて頂いたのですか!?」


「そうじゃよ。愛を囁いてもらいながら付けてもらったのじゃ。至福のひと時だったのじゃ~」


 なんかイラっとしたケイスは言う。


「戦闘用の装備だし戦闘時以外は俺が預かっておくよ」


 見せびらかしているリルの左手に手を伸ばす。


「だ!ダメじゃ!ご主人様!それだけは勘弁してほしいのじゃ!」


 リルは言いながらケイスとは反対の方向に左手を避ける。

 ケイスの反対にいるのはルルである。

 ルルはリルの指輪を外そうと手を付ける。

 それに気づいたリルはお腹に左手を隠すようにしてうずくまり始める。


「辞めるのじゃ!ルル!」


「ちょっと位いいじゃないですか!私も付けたいです!」


「だ、だめなのじゃ!これだけは本当に勘弁して欲しいのじゃ!大好きなご主人様から頂いた童の命より大事な指輪なのじゃ!これが外されたら童は死んだも同然なのじゃ!これだけは絶対に勘弁して欲しいのじゃぁぁぁぁぁ!」


 ケイスは何言ってんだこいつと思っていたが周りの人の反応は違っていた。

 普段は神獣として威厳のある発言や態度を取っているリル。

 たまにバカなことを言ってケイスにゲンコツを落とされてはいるが神の僕として信仰の対象として相応しい威厳のある態度と言葉と力を持っている。

 そのリルがまさに幼児の様にイヤイヤしながら必死に指輪を守ろうとしているため、唖然としてしまう。

 その中で打ち解けて仲良くしているキャロちゃんが爆弾を落とす。


「リル様かわいい・・・・」


 皆同じことを思ったようで急に全員が愛らしい物を見るような目でリルを見始める。

 リルはイヤイヤしていたがシーンとなっている事に気づき、顔を上げて回りを見渡す。

 皆がリルをいつもと違う顔で見ている事に気づいた。

 愛らしい物を見るような目で見ていたのだが、リルは普段そんな目を向けられたことがないため違う様に受け取ったようだ。


「うわーーーん!みんなで童をバカにするのじゃぁ!どうせ童は情けない女なのじゃ!ご主人様を満足させることもできない行き遅れなのじゃぁぁぁぁ!」


 ケイスのお腹に抱き着き先ほどダンジョンであった様な号泣をし始めてしまうリル。

 どうやら蔑んだ目で見られていると勘違いしたようだ。

 今日はルルとブリキッドにバカにされすぎて心に傷を負ったリルはまだ完治していなかったのだ。

 ケイスはあーあ、また始まったよと思いリルを抱っこしながら食堂から出て近く階段にリルを抱えながら腰を下ろす。


「皆リルの事を可愛いと思って見ていたんだよ?」


「うぅ、憐みの目をされていたのじゃ」


「俺がリルに嘘ついた事ある?キャロちゃんがリル様可愛いって言ったの聞こえなかったの?」


「うぅ、大好きなご主人様の言うことは信じられるけど・・・でもでも」


「本当だよ?リルは夜、二人で一緒にいる時、いつも俺は可愛いって思っているよ?」


「本当に?本当の本当に?ご主人様は童を可愛いと思ってくれているのか?」


「本当だよ。じゃあリーゼさんに聞いてみようか?」


 隣に追いかけて来た侍女のリーゼさんが立っている。


「リーゼさんは先ほどのリルを見てどう思いました?」


「いつものリル様とは違いギャップが凄まじかったので物凄く可愛いと思ってしまいました。申し訳ございません」


「ほら。聞いたでしょ?」


「うぅ、リーゼは今隣で聞いておったのじゃ。話を合わせただけかもしれんのじゃ」


 こじれると面倒な奴だな!と思いながら。


「じゃあ話を聞いていない皆に手を挙げてもらおう」


 リルを抱っこしながら食堂に戻る。


「皆さんすみません。先ほどのリルを見て可愛いと思った方は手を挙げてください」


 満場一致で手が挙がる。


「ほらね?ちゃんと見てみなリル?」


 ビクビクしながら周りを見るリル。


「そ、そうじゃったのか。みんなごめんなさいなのじゃ」


 いつもすまんとか言っているのにごめんなさいと言っているからまだ傷は癒えてないなと判断したケイスはリルを座らせてからリルの眼を見ながら言う。


「リル、俺はちょっとだけ怒っているんだぞ?リルは俺と二人でいる時は凄く可愛いからな。でもな、そんな可愛いリルを俺しか知らなかったのに皆に知られちゃったじゃないか。俺だけで独占していたかったのにな。リルだってその気持ちはわかるだろ?」


「え?・・・ご主人様のかっこいい所を・・・独占・・・童の悩みを相談した時のかっこいいご主人様を独占したいのじゃ・・・わかるのじゃ!コホン!皆、迷惑をかけたのじゃ。今さっきの出来事は記憶から消してくれなのじゃ。頼んだのじゃ」


 何て単純な奴だ!威厳を大事にする人はこじれるとめんどくさい事を再認識したケイスであった。


いつも読んで頂き、ありがとうございます。

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